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[ 2014-06 -08 19:31 ]
トリックの創作家でもある。
彼は、詰将棋の創作も数多く発表し、1981年には全日本詰将棋連盟が発行した「古今詰将棋三百人一局集」の一人にも選ばれている。
この著は、江戸時代の伊藤宗看、伊藤看寿から、二上達也、内藤国雄といった詰将棋のプロまで、古今の詰将棋作家300人の作品を一作ずつ集めたものであり、ここに選ばれるということ自体の凄さから、彼のその実力は知れよう。
その古き友人から、驚愕の詰将棋がメールで送られてきた。
ここで、詰将棋図が掲載出来れば良いのだが、活字で紹介する。
攻め方、31角、22金、33王、持ち駒無し。
受け方、52飛、13玉。
そして何と、1手詰である!!
そもそも小林氏が発表したのは「Web Fairy Paradice」(53号)という冊子である。
この冊子は、将棋の変則ルールを主にした詰将棋などをメインとしたものである。
そもそも将棋は、インドに発祥し、西へ行ってチェス。
東に行って将棋となったが、日本へは、大将棋、中将棋、小将棋となった。
現在の将棋は9×9の盤で闘うが、大将棋、中将棋は、盤の大きさ自体が現在とは異なり、例えば、中将棋は12×12の盤で闘い、駒数や駒の働きも現在の本将棋とは違っている。
小将棋が9×9と、大、中、小の中で一番小さい盤で有りながら、この将棋が発展したのは日本将棋独自の発明「取った駒が使える」ルールを導入したからである。
さて本将棋が一番ポピュラーになっても、その後も色々な変則ルールが発明され、
現在でも色々と考えられている。
以上が前置きであるが、小林氏が「Web Fairy Paradice」(53号)に発表したときは、部分図(6×6くらいしか出ていない)の上、(注)として、「表示以外の駒配置はありません」としている。
「1手詰」とあるが、なかなか詰むことができない。
実は先の「三百人一局集」で彼は京大ミステリ研出身らしく、次のように述べている。
「推理小説の世界は、謎+論理+意外性の世界を追求してきた。この意外性重視の産物の極致として、トリックがある。トリックの性質は①犯人→探偵②作者→読者、の二種類二分類されるが、②には明らかにルールに対する挑戦が含まれている」「意外性は盲点であり、思考外であり、固定観念の打破である」
彼の詰将棋の指向として②を狙っていることがわかる。
さて先の一手詰は、私は、幾ら考えても解けず、降参し、彼から真相を聞いた。
その種明かしに驚愕する。
作者のトリックと、2つのダブルミーニングにうなってしまったのである。
(注)回答は、「Web Fairy Paradice」(54号)に掲載されています。
「Web Fairy Paradice」はインターネット上に公開されていますので、関心ある方はそちらにアクセスして下さい。
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