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by kazuo_okawa

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『泣き虫しょったんの奇跡』は、将棋棋士・瀬川晶司の自伝ノンフィクションである。

その小説を今回映像化した。
サブタイトルは『サラリーマンから将棋のプロへ』。

将棋のプロは奨励会というプロ養成機関に入会し、そこを勝ち抜き四段になってプロとなる。瀬川氏は奨励会に入会したものの26歳までという年齢制限で奨励会を退会。

従来の制度なら、二度とプロ棋士にはなれない。

瀬川氏も退会後約9か月、魂を奪われたように引きこもり、その後サラリーマンへ。
再び将棋をはじめ、その後、アマチュアとしてプロに勝ちまくったことから、それまでにない異例のプロ編入試験を実現させ、そして実際にプロ入りした。
その意味で奇跡の物語であり、その瀬川氏自身の実話である。

映画冒頭は駒を大橋流で並べる場面から始まるが、手つきが様になっている。

そして70年代からのストーリーは、谷川浩司中学生棋士誕生のニュースや、羽生善治七冠誕生へ向けて「虹をかける」記事など、将棋史を思い起こさせ、そういう点からも将棋ファンとしては実に懐かしい。

また、瀬川氏のプロ編入は、当時、リアルタイムで楽しんだ。
そして瀬川氏の原作を読んでいるものからすれば、実に感動的である。
映画自体は、現在のプロ棋士も出演し、これも楽しい。

それやこれやで将棋ファンにとっては、そのデティールも含め、実に感動的で素晴らしい映画である。

ただ、『3月のライオン』のように、将棋を全く知らないものにも楽しめるかどうかは分からない。

知らない人へ、いかにその『奇跡』を伝えるか。
『伝える』難しさ、という別のテーマを同時に思い起こしてしまう。

とはいえ、将棋ファンたる私は感動しました。
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by kazuo_okawa | 2018-09-22 19:25 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

泣き虫しょったんの奇跡

将棋のプロになるには奨励会を勝ち抜かなければならない。
勝ち抜いて四段になって初めてプロとなる。

そしてこの四段になるための奨励会には年齢制限がある。
それは、夢破れてプロになれない者に早くあきらめさせて別の道を歩む決断をさせる、という面はあるが、同時にこの制度ではいわゆる「遅咲き」は救えない。

瀬川晶司氏は一度は年齢制限から将棋界を退会したものの、サラリーマンになって、アマチュアとして活躍し、プロを打ち負かすまでに至った。
そこで、彼の周りのものは瀬川氏をプロに、と動き出す。
しかし、将棋界の壁は厚い。
ずっとそういうシステムでやってきたではないか、というわけだ。

13年前、私が覚えているのは、米長邦雄新会長が、「プロ入り試験」をする案をリードし、結局、その試験官(棋士)6人と瀬川氏が「差し分け」(3勝3敗)以上なら「プロ入り」を認めるというものだったが、その6人がバラエティに富んでいて非常に驚いたことである。

古田靖氏の「奇跡の六番勝負」(河出文庫)は、瀬川氏作の「泣き虫しょったんの奇跡』とは違うが、ジャーナリストの立場からその経緯が詳細に書かれていて興味深い。

私が一番感心したのは、羽生善治である。将棋界で瀬川氏のプロ入りに反対や慎重な意見が多い中、棋界の王者羽生善治は次のようにコメントしたという。

「瀬川さんが銀河戦でこれほど勝っているのは重い出来事です。年齢制限を設けることは悪いことではないが、20歳を過ぎたらノーチャンスはどうか。ハードルは高くても何らかの道を作ったほうがベターだと考えている」

今から考えれば、当たり前の意見だが、当時の頭の固いごちごちの将棋界でこういうコメントを出せるのは羽生善治の柔軟性であろう。

改めて羽生善治の凄さを感ずる。

「泣き虫しょったんの奇跡」は映画になる。
実に楽しみである。
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by kazuo_okawa | 2018-08-21 23:01 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

師弟~棋士たち魂の伝承

野澤亘伸氏の著(光文社)である。

内容は
「谷川浩司-都成竜馬」
「森下卓-増田康宏」
「深浦康市-佐々木大地」
「森信雄-糸谷哲郎」
「石田和雄-佐々木勇気」
「杉本昌隆-藤井聡太」
の6組の師弟の記事とともに、羽生善治永世七冠の特別インタビューを収録したものである。

まあ、正直、将棋ブームにのった「あやかり本」くらいに思っていた。

現にそういう本もあるからである。

加えてこの6組の師弟は、将棋ファンにはあまりにも有名であり、それぞれのエピソードも、将棋ファンならおおむね知っていることをまとめたものなのだろう、とくらい思っていた。

しかし…。

購入して読み進めると、不覚にも最初の「谷川浩司-都成竜馬」編でぐぐっときた。

知らないエピソードは、都成三段奨励会時代に彼女を泣かせてしまったことである。

どんなことがあっても絶対に言ってはいけない言葉を発する。
『お前のせいで、負けたんだよ』
恋人も自分の誇りも傷つけた。
電話の向こうで彼女が泣く…。

こにくだりに、三段時代の苦しみが凝縮されているだろう。

他の章もいい。

無論、王者・羽生善治のインタビューもいい。
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by kazuo_okawa | 2018-08-07 23:39 | 将棋 | Trackback | Comments(0)
羽生善治棋聖に豊島将之八段が挑戦していた第89期棋聖戦五番勝負の最終局で、豊島八段が見事に勝利し、棋聖位を奪取した。
豊島八段の初タイトルである。

応援してきたファンの一人としては率直に嬉しい。

若くから将来の名人と嘱望され、その実力通りに勝ち進んできたが、その強さに比して「あと一歩」と思うことも少なからずあった。

ソフトに勝利した直後、豊島七段(当時)にインタビューする機会を得たが、そのとき彼は力強く目標はA級八段昇格とタイトル奪取と述べていた。

またソフトの影響から、このソフトの利用は直ちに効果が出なくても、近いうちに必ず役立つ、とも述べていた。
豊島八段といえば「序盤、中盤、終盤、スキがない」。
しかしこのソフトの利用後、彼は、鋭い踏み込みと思い切りという武器を間違いなく手にした。

45手目羽生棋聖の新手47角や、「難しい将棋でよくわからない」(豊島八段の言葉)将棋は、同時に見ていて面白い将棋でもある。

これで将棋界は8つのタイトルを8人で分け合うという空前の戦国時代に入った。
関西所属棋士から3人いるというのも関西将棋ファンとして嬉しい。

無論、しかし、このまま8人のタイトルホルダーで分け合っているだけでは全く面白くない。

この先、誰が複数タイトルを集めていくのか。
そこが俄然興味深い。

豊島新棋聖には天下を取る勢いで頑張ってほしい。
心から応援している。

【追記】
Abemaの佐藤天彦名人の「振り返り解説」を聞くと、豊島八段の38手目41飛が「人間にはさせない手」と指摘していた。
居飛車豊島八段が42玉のその後ろに飛車を回るのであり「玉飛接近すべからず」という将棋の格言に反しているからである。こういうところにソフトとともに研究している姿が窺える。

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by kazuo_okawa | 2018-07-17 18:58 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

うつ病九段!

昨年度に長期間休場した棋士先崎学九段の新刊書である。
先崎九段の休場の原因はうつ病であり、その発症から回復までを自らの手で綴ったのが『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』である。

私自身、将棋ファンであり先崎九段の著はほとんど読んでいて、いつもその洒脱な文章に感心している。

そして職業柄、依頼者にうつ病患者が少なくないこともあって、直ちに購入し、そして一気に読み終えた。

本書では、うつ病発症の原因は詳しく書かれていないが、いわゆる「竜王戦挑戦者交代事件」であろうことは、発症後に、将棋ジャーナリスト大崎善生氏が、日経新聞2017年9月17日付の王座戦観戦記で次のように記載して、原因を暗示していた。
即ち大崎善生氏は「私の古くからの友人先崎学は倒れた。棋士が棋士を疑う。その図式に繊細な彼の神経は耐えられなかったのだろう」と記している。

本書は、うつ病についてリアルに描かれていて、うつ病たるものがよく理解できる。
その意味では、うつ病に関心ある方には興味深い本だろう。

しかし、将棋ファンとして強く印象に残ったのは次の一点である。

文中随所に出てくる棋士について固有名詞で描かれ、いずれも、〇〇さん、〇〇君、〇〇先生、と敬称付きなのだが、ただ一人羽生善治竜王だけは「羽生」と呼び捨てである。

無論、先崎九段が羽生竜王をないがしろにしているわけではない。
むしろ畏敬の念をもっていることは「一葉の写真」その他随所に開陳している。
しかし、敬称抜きなのである。

ここに、何とも言えぬ先崎九段の羽生竜王に対する別格の思いが読み取れる。
本書のテーマではないが、将棋ファンとして、ここが一番印象に残る。

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by kazuo_okawa | 2018-07-16 22:39 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

増田六段、勝つ!

羽生善治竜王への挑戦者を決める第31期竜王戦決勝トーナメントが進行している。

7月11日は、佐藤康光九段VS増田康宏六段 戦が行われた。

増田六段は前期竜王戦決勝トーナメントで、藤井聡太七段に敗れ、藤井四段(当時)の29連勝という新記録を許した。
その屈辱をバネに、増田六段は今期1年ぶりとなるリベンジマッチで藤井七段を制し、本局へと勝ち進んだが、明らかに強い。
本局もその充実ぶりを示している。

相手は元竜王の強豪佐藤康光である。

にもかかわらず圧倒している。
将棋連盟アプリで棋譜を追いかけると、57手目、ただ捨ての「歩頭桂」が凄い。
凄すぎる!

そもまま見事に勝利した。

やがて将棋界は遅かれ早かれ「藤井時代」が来るのだろう。
その時に、増田六段が藤井七段の好ライバルとなっていればこれほど楽しみなことはない。

さてその増田六段、次の相手は久保利明王将!

いやあ、実に楽しみな対局である。

【追記】
7月19日、久保王将は増田六段の勢いを止めて勝利した。
さすがである。
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by kazuo_okawa | 2018-07-12 00:54 | 将棋 | Trackback | Comments(0)
羽生善治棋聖に豊島将之八段が挑戦する第89期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の第3局が6月30日に行われ、豊島八段が145手で羽生棋聖に勝ち2勝1敗として、タイトル奪取に王手をかけた。

前局が豊島八段らしからぬ予期せぬ逆転負けであったので、本局も終盤はらはらしたものの豊島八段が制した。

この対局、なんといっても驚いたのは後手番羽生棋聖が4手目に袖飛車を採用したことだろう。
対局終了後の共同インタビューで、「最近力戦型の採用が多く、本局も研究されたのだと思うが」との質問に、羽生棋聖は、質問自体は肯定するわけでも否定するわけでもなく、「やってみないとわからない」と答えている。

それは単に、対局相手が若手実力者だから定跡形をはずすというのではなく、今なお、将棋の可能性を探る羽生棋聖の姿勢であり、未知の世界に飛び込む羽生流でもある。

豊島八段はレーティング1位の最強実力者であり、タイトル挑戦5回目であろことからしても、おそらくタイトルは奪取するだろう。

そしてそれがレジェンド羽生棋聖からのタイトル獲得であるところに大きな意義がある。

次局で決めてほしい。
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by kazuo_okawa | 2018-07-01 08:43 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

夢落ちか!

悪夢を見るような大逆転負けに、ニコ生の聞き手千葉涼子女流四段の漏らした言葉である。
「夢」落ちか!

17日関東からの帰路、車中でニコ生タイムシフトにより16日の対局を見る。

棋聖戦5番勝負第二局、羽生善治棋聖に挑戦している豊島将之八段からみて一勝で迎えた第二局であり、豊島八段が連勝すれば一気にタイトルが近づく!
そして現に対局は豊島八段優勢で推移していた。
ソフトの数字もそのことを示す。
普通に行けば豊島八段2連勝である。

解説飯島七段も勝ち筋を何度も解説する。
ところが、なんと、なんと、64手目豊島八段の27角が悪手!
勝ち筋を逃す!

解説の飯島栄治七段が驚く。
ソフトの数字も一気に互角となる。
この瞬間、席を立つ羽生棋聖が勝負師である。

解説飯島七段もこの流れで豊島八段の負けを予想し、もしもこのまま負ければ次局に尾を引かないとよいのだが、とまでいう。

そしてこれが引きずったのか、豊島八段は、さらに68手目羽生棋聖の攻めを見落としの48銀。

ポカである。

この瞬間、ソフトは一気に羽生棋聖に4000番台。
つまり勝負ありである。

飯島七段が「豊島さんでもこんなことがあるんですね」と驚く。
「豊島さんにはタイトルが遠い」とも…。

この後は、羽生棋聖は見逃さない。
結果は、羽生棋聖の勝利で1勝1敗。

飯島七段の繰り返す言葉が印象に残る。
「いやあ驚いた!」
「将棋は逆転のゲームというが…」
「怖いわ!」
「将棋は怖いっす」
「見落としですね。頓死ではないですが、頓死みたいなもんです」
「これは今年ワーストワンの見落としでしょう」
「いやあ」
「つらい」…。

いやあ何と。
タイムシフトとはいえ、見ている方もつらい。

豊島ファンとして実に辛い敗北である。

豊島八段には、これを引きずらず、ぜひとも立ち上がってほしい。
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by kazuo_okawa | 2018-06-17 19:23 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

棋聖戦、豊島八段先勝!

本日始まった棋聖戦、豊島将之八段が見事に勝利した。
実に強い!

羽生善治棋聖に挑戦する五番勝負初戦の勝利である。

abemaTVの「初手からの振り返り」で山崎隆之八段の解説がいい。

終盤、豊島八段が優勢であるも、羽生棋聖は勝負手を放つ。
そういうときに「これは一見『詰めろ』に見えますがそうでない」とか「有段者の方はこう攻めればいいと思われるかもしれませんが実はこのときにこういう切り返しがあるのですね」といった解説が、これが実に、壺にはまってよくわかるのである。

と同時に、山崎八段の解説により、いっそう豊島八段の充実ぶりが印象に残る。

山崎八段は、豊島八段にとっては、奨励会の有段者時代とプロになってから一番影響を受けた棋士である。
山崎八段から逆に見れば、豊島八段は、まあ「弟分」のようなものだろう。
その山崎八段が賞賛する勝ちぶり、なのである。

思えば4年前、豊島七段(当時)にインタビューをさせていただいたとき、コンピュータAIとの実践は直ちには役立たないが将来必ず役に立つ、と断言しておられた。
いよいよ花開くときが来たのだろう。

昨日のブログで予想をあげたが、おそらくその通りになるのではないか。
いやあ、実に楽しみである!!

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by kazuo_okawa | 2018-06-06 21:32 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

豊島八段!王位戦挑戦!

4日、王位戦挑戦者を決めるリーグ戦の、白組覇者豊島八段と、紅組の覇者羽生竜王との挑戦者決定戦が行われたが、豊島八段が勝利した。

角交換腰掛け銀!
終盤どちらか勝つか分からないスリリングな展開であるが見事に豊島八段が制した。
これで王位戦の挑戦者である。

豊島八段は6月6日から羽生棋聖と棋聖戦で戦うが、並行して同時に王位戦で菅井王位と闘う。
(羽生竜王も名人戦と棋聖戦を並行して闘うわけであるが…。)

豊島将之八段は、昨夏以来レーティング一位の最強棋士である。
贔屓目でなく強い。
タイトルを取ることは間違いないだろう。

羽生棋聖には三度目の挑戦であり、一日制のタイトル戦ということも併せて、豊島八段のタイトル奪取と予想する。
戦型は角換わりと相懸かりで3-1!

ついで王位戦。

菅井王位とはこの先何度も対戦するであろうからその意味でも注目である。
戦型は基本的に「対抗型」であることは間違いないだろうが、挑戦者豊島八段が、菅井王位の振り飛車を封ずる策を講ずるのか興味深いし、そもそも、昨年の菅井王位の「ゴキゲン三間飛車」が対羽生竜王用だったのか(菅井王位は振り飛車党だが居飛車も指す)菅井王位の駆け引きも興味深い。

とはいえ菅井王位は飛車を振るだろうが…。

予想は難しいが、豊島八段の「一気に二冠!」と期待したい。

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by kazuo_okawa | 2018-06-05 00:36 | 将棋 | Trackback | Comments(0)