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by kazuo_okawa
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タグ:数学的刑事弁護 ( 5 ) タグの人気記事

素晴らしい逆転無罪!

冤罪として名高い弘前事件で東大法医学の権威古畑教授が、血液型ABO式におけるB型の出現割合は21・7%、同じようにMN式,Q式,E式の出現割合から、B・M・Q・E型の出現確率は1・5%であるところ、殺人現場の血痕と被告人の血痕がともにB・M・Q・E型であるところから、両者が同一である確率は98・5%とし、これが有罪の決め手となった。

しかしこれは統計学的に誤りで、出現確率が1・5%としても、そういう血液型の持ち主が例えば10人いれば、犯人である確率は10分の1となる。

裁判官も騙されるこういう誤った「確率」はアメリカでは「検察官の誤謬」として知られているが、日本では注目されていないために、私は裁判における統計の誤りについて「数学的刑事弁護」(浦功編著「新時代の刑事弁護」成文堂・所収・2017年)と題して発表した。

さて昨日10月25日に大阪高裁で逆転無罪判決が出た「揺さぶり暴行死」事件。
「乳幼児揺さぶられ症候群」という乳幼児を強く揺さぶって起こるとされる脳損傷は3兆項から推認される(従って虐待した)として一審大阪地裁裁判員裁判判決は有罪としたが大阪高裁はこれを逆転無罪としたのである。

秋田真志主任弁護人は私もよく知っている優秀な刑事弁護人である。
無罪を勝ち取られたその努力には心から敬意を表する。

そして判決を書いたのは村山浩昭裁判長。
これまた私と同期で優秀な裁判官である。
私はまだ判決全文を読んでいないが、確率論にも言及しているという。

つまり「乳幼児揺さぶられ症候群」を3兆項から推認するのは確率論からしても誤りだということであろう。

この村山裁判長は著名な袴田事件でも再審で無罪を下した裁判官で、拙著「ホームズ!まだ謎はあるのか?」(一葉社)の冒頭に引用させていただいている。

色々な意味で興味深い逆転無罪判決である。


by kazuo_okawa | 2019-10-26 08:34 | 司法・ニュースその他 | Trackback | Comments(0)

狭山事件の全面広告

本日(28日)の朝日新聞朝刊に冤罪を訴える狭山事件の全面広告が掲載されている。

事件発生は1963年であるが、私は京都大学入学後、法学部のとあるサークルに入って「狭山事件」に関心を持つようになる。

そして1983年、弁護士になってから、第2次再審請求審の弁護団に入れてもらい、専ら「脅迫状」の担当をさせてもらった。
それは、この狭山事件の中で、直接的な「客観的証拠」が「脅迫状」であり、<石川一雄氏が脅迫状を書いていたら有罪>、<書いていなかったら無罪>となる非常に大きな証拠であるからだ。

実際のところ、何ら「筆跡鑑定」の手法などを知らなければ、例えば「ら」の字など、「脅迫状」の字と、石川氏の字とはそっくりに見える。
だから書いたのは「同一人物」と思ってしまうところに冤罪の落とし穴がある。

実は、字を書けない人が、字を覚えていくと、「ら」の一画目は二画目よりも低い位置に書いてしまうことが多く、そのような「ら」の「一致」は何ら珍しいものではない。

それゆえに「ら」の字が似ているからといってそれは何も「有罪」を立証しない。
それは、犯行現場に残された血液型がA型であっても、A型は無数にいるゆえ決め手にならないのと同じである。

そして、「脅迫状」をより細かく分析すれば、むしろ石川氏の筆跡とは異なることが分かってくる。

私自身は現在は弁護団を辞退させてもらっているが、先の経験から、狭山事件は冤罪と確信している。

と同時に、我が国の「刑事裁判」が、あまり数学的に考えていないと感じることが少なくない。

もっと、統計的手法、確率的手法をとるべきと考えて、私は、昨年、「数学的刑事弁護」(浦功編著「新時代の刑事弁護」所収)を発表させてもらった。

その動機の一つは狭山事件にある。
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by kazuo_okawa | 2018-10-28 17:52 | 司法・ニュースその他 | Trackback | Comments(0)
昨年、成文堂から690頁にも及ぶ大著が発刊された。
『新時代の刑事弁護』である。

編著者の浦功先生は、私たちの先輩であり、大阪弁護士会刑事弁護委員会をリードされてこられた方だ。
かつ私にとっては、浦先生が労働者弁護団、連合大阪法曹団の代表をされたときに、いずれも私が事務局長をさせて頂いたというご縁もある。

その執筆メンバーに加えて頂き、私は拙稿「数学的刑事弁護~検察官の誤謬に打克つ」という論考を寄せた。

刑事裁判における検察官の統計的立証には誤謬もあるので注意すべしというものであるが、幸い、好評をもって迎えられ、この新年に同期の弁護士から暖かいお礼を頂くなど大変嬉しい思いをしている。

とはいえこれも論文発表の場を頂いたからともいえよう。

昨日、その執筆メンバーの打ち上げ会があった。

大変楽しい打ち上げ会である。

各人の挨拶に、企画から出版までの苦労が伺われるが、同時に、この日本の刑事司法を良くする為の思いが詰まっているともいえる。
少しでも、日本の刑事司法の前進のために役立てばこれに勝る喜びはない。

一読頂ければ幸いです。
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by kazuo_okawa | 2018-01-23 22:58 | 出来事いろいろ | Trackback | Comments(0)

新時代の刑事弁護!

成文堂から690頁にも及ぶ大著が発刊された。
浦功編著本『新時代の刑事弁護』である。

そして、9月1日、論文集の出版を記念して、お祝いの会が開かれた。

この論文集は、浦弁護士が古稀を迎えられたことを記念して大阪の刑事弁護委員会に属する弁護士有志により企画・執筆が始まり、その後、浦弁護士の論攷も加え、その指揮を受けて、編著本として完成するに至ったものである。

内容は1970年代から現在に至るまでの刑事弁護をめぐる状況について振り返るとともに、昨年の刑事訴訟法改正をも踏まえ、未来を見据えた新しい時代の刑事弁護のあり方について、提言するものとなっている。

私も「数学的刑事弁護~検察官の誤謬に打克つ」という論考を寄せた。

拙稿は、刑事裁判における検察官の統計的立証には誤謬もあるので注意すべしというものであるが、刑事弁護に関心ある方のみならず、論理(ロジック)と経験的直感による推論(ヒューリスティック)の乖離現象に興味ある方にはその点からも喜んでいただけるのかなと思っている。

とはいえ独りよがりかもしれない。
是非お読みいただければ幸いです。
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by kazuo_okawa | 2017-09-02 22:27 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
京大奇術研出身の世界的パフォーマー池田洋介氏の新著である。

数学を分かりやすく説明する啓蒙本はそれこそ山ほどある。
しかしこの「読むだけで楽しい数学のはなし」はそれまでの類書と違う。
現に私自身がを読んで感銘を受けた。

冒頭に述べられているとおり、これまでもあるようなテーマでありながら、全て池田氏の新しい切り口を加えるというのが素晴らしい。

冒頭の主題は、まさしく読者を惹きつけるいわば「つかみ」の部分である。
ここをどういうエピソードにするかが著者のある意味で腕の見せ所であるが、これがなかなか面白い。
球体とドーナツ体の違いを示す数学のエピソードは数あるが、池田氏のこの事例には唸らされた。

他にも、パスポートとケーニヒスベルク、水差しパズルと時計盤などその意表を突く組み合わせに幾つも感心する。
加えて、文章がウィットに富んでいる。

なかでも私が関心したのは、モンティホール問題のシンプルな説明である。
実は、大阪弁護士会刑事弁護委員会のメンバー複数で論文集を発行することになり、昨秋、私が書き上げたのが「数学的刑事弁護~検察官の誤謬に打ち克つ」である。
要するに、<確率・統計を使った検察官の証明には、誤りもあるので注意しよう>という趣旨の論文だが、例として、モンティホール問題を取り上げた。
そこでもわかり安い説明を取り上げたつもりだが、池田氏の説明は秀逸であった。
さすがに専門家である。

というわけで私自身が十二分に楽しめて面白かった著である。

数学好きも、或いは数学好きでなくても、皆さんにお勧めする。



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by kazuo_okawa | 2017-03-03 21:42 | パズル・統計・数学 | Trackback | Comments(0)