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by kazuo_okawa

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KUMA(京大奇術研究会)OBのメンバーである谷英樹氏が「犬とトリックと私」という楽しいホームページを作って色々な情報を公表してる。
いつも拝見して参考にさせて貰っている。

その最近の「日記」で、北村薫『中野のお父さん』第3話『鏡の世界』の話題が出ていた。

私は未読だったので(最近、ミステリが全く追いつかない)早速購入して読む。

【以下、ネタバレしています】

谷氏曰く、(以下、ネタバレに繋がるため未読の方はご注意)として、「《180度回転》すべきところを誤って《上下反転》してしまった」という推理が正解だと思うのですが、いかがでしょうか?とある。
これは全く、谷氏の指摘が正しいと思われる。
おそらく北村薫氏のミスであろう。
これだけでは、何のことかわからないでしょうから、是非、北村氏の作品と谷氏のホームページをご覧下さい。

谷氏の指摘に触発されたが、この作品の他の箇所も興味深い。
まず、女優のエピソードである。
女優を映した写真をその女優に示したところ、気に入らないと拒否される。
しかしその同じ写真を「ウラ焼き」にして見せたら、今度は10枚中3枚気に入った、というのである。
鏡像は、一見、「左右」を反転させるが、実際は「奥行き」を反転させるものである。
しかし世の中には、「鏡像反転」を否認する人もいるという。
(高野陽太郎「鏡映反転」岩波書店が詳しい)

頭の中で画像処理して、何も、反転していないというように見えるようだ。
そういう人からすれば、鏡像も写真像も(頭の中で処理して)同じに見えようから、気に入らない写真は、表焼きだろうが、ウラ焼きだろうが、気に入らないものは、気に入らないであろう。
とはいえ、ウラ焼きを別のものと感ずる人もいるだろうから、この下りが決して間違っているわけではない。

また、またドアに書かれた文字を見て「劣情」と読んだが、それは「OYSTER」のガラス文字を反対側から見たというエピソードもある。
つまり、「RETZYO」と読んだわけだ。
この場合は、実際に目に映るのは「R」と「E」はウラ焼きに見えているはずだが、頭の中できちんと処理して「R」「E」と読めているわけだ。
これもそういう読み方をする人がいるから間違いではない。

北村薫氏が意識しているのかどうか分からないが、同じような2つのエピソードは、実は違うタイプの見え方が出ているのである。



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by kazuo_okawa | 2015-11-28 16:33 | ミステリ | Trackback | Comments(0)