公選法の「改正」により、それまで認められていた自己の望むヘルパーの代筆が突然
禁止されたその「改正」公選法は違憲だと問う訴訟。
注目点は、自己の望むヘルパーではなく、事務従事者(公務員)に代筆させるという
のが、憲法が保障した秘密投票権に違反するかどうかという点である。
そして30日、大阪高等裁判所が判決を下したが、敗訴である。
理由にも見るべきところはない。
余りにも残念である。
判決の詳細な分析は、弁護団で検討してからであり、以下は判決の熟読分析前の、私の感想である。
まず思うのは、パラリンピックが開かれている最中の判決であるが、余りにもその
精神とのギャップに驚く。
例えば、障害者ランナーと伴走者のコンビの素晴らしさが伝えられているが、本件判
決は、自己の望むヘルパーに代筆を頼むことを認めていない。
比喩的にパラリンピックの障害者ランナーを例にとれば、伴走者は「自己の望む伴走
者は認めない。伴走者は公務員とする」というようなものである。
そもそもパラリンピックの精神は「多様性と調和」である。
障害者と言っても、一括り、画一的に取り扱うのはパラリンピックの精神にも反す
る。
しかし、判決は、障害者を画一的に捉え「不正が生ずる」ということを、秘密投票権
制約の理屈付けとしている。
何処から考えても、今日の、障害者の人権に反している。
そして、一審判決同様、公務員は「中立で」「守秘義務」があるから、公務員に「投
票の秘密」を明かしても問題ない、という理屈である。
論外としか言いようがない。
そもそも憲法の規制は「公務員」に対するものである。
「公務員は憲法の規範を破らない」と言ってしまえば、憲法の構造そのものが成り立
たない。
判決は、あまりにも情けなく、そして同じ法律家として、あまりにも絶望してしま
う。