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by kazuo_okawa

カテゴリ:ミステリ( 140 )

木村拓哉、長澤まさみら豪華俳優陣で話題を呼ぶ映画「マスカレードホテル」を見に行く。
東野圭吾のヒット作の映画化である。

(少しトリックに触れています)

もともと原作自体が面白い。
映画も、ほぼ原作に忠実で、面白く見られた。

もっとも私自身は、原作にある、潜入捜査官新田(これを木村拓哉が演ずる)がホテルの客のカバンを勝手に開けようとするところ、有能なホテルマン山岸(これを長澤まさみが演ずる)が体を張って防ぐ、というシーンが印象に残っていたのだが、それは映像化されていなかった。

実はその点がいささか残念なのであるが、それでも作品自体は素晴らしい。

「マスカレードホテル」の事件は「連続殺人事件」であり、犯行現場に同じような謎の数字の記号がおかれていることから、同一犯の連続殺人とみられる。

この「連続殺人モノ」は、いわゆる「見立て殺人」モノを始め、本格ミステリにおける一つのパターンである。
しかし何といっても東野圭吾のアイデアは、次の殺人場所が予告されているというところにあり、それが舞台をホテルにする工夫である。
しかも、そこに登場するホテルの客の怪しさと、客を疑う刑事と、客のいかなる注文も受けつけ客の満足を第一義に考えるホテルマンという組み合わせに感心する。

そして中心トリック。

この「一人ずつ連続で殺される」ということ自体が、実は、「目くらまし」というのであるから、実は東野圭吾のこの趣向が面白い。

東野圭吾はこれまで同じようなトリックを全く違う作品に仕上げてきたことがあったが、このトリックも(一見それと気付かれないように)全く違う作品でも使われるのではないだろうか。
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by kazuo_okawa | 2019-02-10 15:35 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

和久峻三氏、死す!

今朝の朝日新聞を読んでいると、「赤かぶ検事」シリーズなど法廷ミステリーで著名な推理作家和久峻三氏が亡くなられたとの記事が出ていた。

京大法学部出身で弁護士、そしてミステリ作家である。

世代も違い、面識も全くないが、勝手に「縁」を感じよく読んできた。

人気作家であったが、そのミステリ自体は、いささか啓蒙的であり、ミステリ・マニアには必ずしも受けが多いわけではなかった。
それでも、1988年4月に発表された『雨月荘殺人事件』(中央公論社)は話題を呼び、日本推理作家協会賞を受賞している。

この作品が何故話題を呼んだかといえば、「公判調書ファイルミステリー」という副題の通り、我が国の刑事司法の実際の調書を本物そっくりに踏襲するという形式をとっていたからである。
通常ミステリといえばB版サイズだが、調書そっくりにするために、本書はA版サイズで箱入りであった。

当時私はすでに弁護士になっていたが(実際の調書を知っているだけに)その細部のリアルさと、凝りに凝った構成に感心したものである。

実は和久氏のアイデアは、その半年前に「世界初の捜査ファイルミステリ」と銘打たれた『マイアミ殺人事件』(中央公論社)に刺激されたものであった。

この『マイアミ殺人事件』も実際の捜査ファイルの形をとり、そしてなんと証拠品としての「金髪の毛髪」、「マッチの燃えカス」の現物が透明袋に入ってついているのである。この趣向にも当時唸ったものである。

こういう先行作品があるとは言え『雨月荘殺人事件』のような作品は和久氏でなければ書けなかっただろう。
非常に懐かしく、そして、悲しい。
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by kazuo_okawa | 2018-12-30 15:13 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

祝!ミステリ文学大賞!

実に嬉しいニュースである。

このたび、光文文化財団が主催する「わが国のミステリー文学の発展に著しく寄与した作家および評論家」に贈られる第22回日本ミステリー文学大賞に、我が京大ミステリ研出身作家の綾辻行人氏が選ばれた。

同特別賞は、文芸評論家の権田萬治氏という。

日本ミステリー文学大賞者は第1回に佐野洋氏、第2回中島河太郎氏のほか、これまで笹沢左保氏、土屋隆夫氏、島田荘司氏、逢坂剛氏など錚々たる人たちが並んでいる。

この賞の特徴的なの「作品」に贈られるのではなく、「人」に贈られるということだ。
それゆえ、優れた作品を発表したことは無論のこと、長年にわたって活躍することが必要である。

今や新本格の旗手ではなくて、本格ミステリ界の重鎮となられたことを思えば、綾辻氏に贈られるのは当然だろう。

京大ミステリ研のエースである彼の受賞は、同研究会のオリジナルメンバーとして嬉しいが、綾辻氏から直接受賞のニュースを知らせて頂いたことも更に嬉しい。
受賞を心から喜びたい。
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by kazuo_okawa | 2018-11-07 00:36 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
日本シャーロックホームズクラブの友人である飯島一次氏が、二見時代小説文庫として、『将軍家の妖刀―小言又兵衛 天下無敵2』を発刊された。

将軍家をお護りする御書院番を御役御免となって十一年になる小言又兵衛こと石倉又兵衛が主人公である。

暇を持て余す又兵衛の唯一の楽しみが、市井の芝居であり、三助に下見に行かせるもその三助が食い逃げ犯に出くわす。
腹をすかせた食い逃げ犯の父子は実は仇討を果たす途中だという。
仇討の言葉に心を躍らせる主人公又兵衛。
この仇討はどうなるのか。

一方、又兵衛は芝居の桟敷で将軍家お世継ぎの大納言・家治卿とその連れ又兵衛の娘婿の源之丞に出会う。
その帰路、幕府転覆を狙う一団に、又兵衛は家治から託された名刀を一陣の疾風の如く振るって両断する。
タイトルの「将軍家の妖刀」である。

とまあ、錯綜したストーリであるが軽妙なタッチで読ませる。

そしてシャーロックホームズクラブ員らしくミステリ風味が、面白い。

飯島氏は時代状況の設定もしっかりされている。
是非お読みいただきたい。
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by kazuo_okawa | 2018-10-31 19:51 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

沈黙のパレード

東野圭吾の新作である。

帯文句が凄い。

「ガリレオ、再始動!
容疑者は彼女を愛したふつうの人々。
哀しき復讐者たちの渾身の謎(トリック)が、
湯川、草薙、内海薫の前に立ちはだかる。
東野圭吾の最新長編。前人未踏の傑作が誕生」
である。

このうたい文句を読めばミステリファンなら買わずにはおられない。

帯文句に言う『彼女』とはみんなに愛されるも行方不明になって死体で発見された女性。
そしてその彼女を殺したと思われる人物Aが殺された。
その彼女を愛した人々が容疑者というのは、このA殺人事件の容疑者というわけである。

【以下、物語の「構想」を明かしていますのでご注意ください。】

『再始動』のうたい文句の通り、シリーズキャラクターの強みを存分に生かしている。
ガリレオ湯川をアメリカ帰りにして、警察への協力姿勢を、以前のやや消極的な姿勢とは変える。

湯川は過去の事件『容疑者X』に言及し、また関係者の料理屋で食事する場面は『真夏の方程式』を思わせる。

そしてミステリの核心であるが、
物語を読み進めれば、ミステリファンなら、誰しもクリスティの『オリエント』を思い浮かべるだろう。
それゆえ読者としては<哀しき復讐者たちの渾身の謎(トリック)>だけがメインではないだろう。
まあ、何かあるのだろうと思ってしまうのである。

しかしそれは、東野ならば当然予測できる事である。

そこからがうまい。
最初のドンデン返しが本格ミステリならではであり、これだけでも見事であるが、東野はさらにもう一ひねりするのである。

そして、その最終的な読後感がいい。

ところで映画などで観た主役湯川が、左手の親指、人差し指、中指を開いて顔に当てて考えるポーズ。
あれ、『フレミング』とは気づかなかった…。
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by kazuo_okawa | 2018-10-14 22:58 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

高木彬光、生誕の地!

熱心な本格ミステリファンなら高木彬光をご存知だろう。

高木彬光とは、1920年青森市生まれ。
青森中学より旧制一高を経て京都大学薬学部入学ついで工学部冶金学科に転じ、卒業後民間会社に就職するも敗戦により失業。
窮乏の中で探偵小説を書くことを決意し、処女作『刺青殺人事件』でデビュー、その後、数々のヒット作を飛ばし、日本のミステリ界をけん引してきた本格推理作家である。

京大ミステリ研ならなおのこと、京大の大先輩にもあたる大御所高木彬光を知らないことはありえない。

さてその高木彬光は実は17歳まで青森の生家で過ごし、そしてその場所が青森の観光名所として記されている。

4日夕刻、観光案内所へ行く。

「高木彬光生誕の地へ行きたいんですが」
「ん?」
「高木彬光。推理作家でしょう。」
「ええ?」
「いや観光地図にも載っているんで、そこへ行きたいんですが」
「ええと、高木ですね、ええと高木、高木と、2番だから、ああここですね。ここへ行くには…」

かつての大御所も、今では、まあこんなもんなんですね。
それにしても、観光案内所というのが少し悲しい…。
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by kazuo_okawa | 2018-10-05 00:03 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

村山聖の勧めたミステリ

25日、ニコ生叡王戦予選の解説を増田裕司六段が行っていた。

増田六段は、弟子を多数有する森信雄門下であり、年齢的には羽生世代の「やや下」という関西のベテラン棋士である。

解説中、森信雄一門天才村山聖(贈九段)の話題となり、映画「聖の青春」などに出ていない数々のエピソードを披露されていた。
いずれも面白いが私にとって興味深かったのは、村山聖九段はミステリファンであったということだ。

棋士でミステリファンは多い。

「本格ミステリは詰将棋のような趣がありますからね」と言ったのは羽生竜王である。
豊島二冠は一時綾辻行人を読んでいた。
香川女流はシャーロキアンである。
…とまあ、将棋とミステリは親和性があるところ、天才村山聖は東野圭吾のファンであったというのが興味深い。

そして増田六段曰く、村山九段から勧められた東野ミステリが『仮面山荘の殺人』だったという。

いやいやこれは凄い。
実にマニアックである。

何故なら本作は、東野ミステリの中では「本格派ミステリ」に位置し、おそらく東野ファンの中で本書を推薦する人は少ないだろう。

しかし本格ミステリは終盤が醍醐味である。

そう考えれば、「終盤は村山に聞け」
無類の終盤力を武器とする居飛車党力戦派の天才村山聖らしいともいえるのである。
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by kazuo_okawa | 2018-09-28 22:23 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

到達不能極を読む!

江戸川乱歩賞は、嗜好や現実性などで評価が分かれることもあるが、いろんなミステリの賞の中でまず「はずれ」は少ない。

私も毎年、楽しみにしており(昨年は受賞作なしであったが)今年も発売されてすぐに買った。
斎藤詠一氏の『到達不能極』である。

【以下ネタバレに近いのでご注意ください】

表紙が凄い。
一番大きく、しかも赤い文字で「爆誕!」
さらに「衝撃の”受賞作なし”から1年―。こんな熱量を、興奮を待っていた!」

こんな見出しなら、多くのミステリファンはワクワクして買うだろう。

過去と現在を交互に描くという、まあ、ミステリとしてはよくある手法で、無論お約束通り、過去のある人物と現在のある人物が「同一人物」としてつながる(本作では物語の中盤で明かされる)。

舞台のスケールは大きく、サスペンスタッチであることは間違いないだろう。

しかし私には、中核のSF部分がどうにも受け付けない。

私自身は、エンターテインメントとしてのSFは、それはそれで否定していない。

しかも本作のテーマでもあるこの部分は、昨今のAIやロボットの登場などから「意識とは何か」という実に興味深いテーマと絡む。
それだけにテーマとしては面白いのだが、しかしあの時代に、あれはないでしょう、と思ってしまうのである。
(あの時代のコンピュータを知れば知るほどそう思う)

結局、このSF部分を受け入れられるかどうかが、本作の評価に大きくかかわるだろう。

湊かなえ氏の選評が優しくて好ましい。
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by kazuo_okawa | 2018-09-25 01:33 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

検察側の罪人!

「法廷ミステリ」は好きであり、また職業的関心もあって、たいていの「法廷ミステリ」映画は見に行く。

時間をみつけて見に行ったのが、今話題の「検察側の罪人」である。
私自身は俳優にはそれほど関心はないのだが、「元SMAPの木村拓哉と、嵐の二宮和也というジャニーズを代表する2人による夢の映画共演」らしい。

まあそれはともかく、法廷ミステリなので見に行ったのだが…。

【以下、少しネタバレと私の評価をのべています】

ストーリーは以下の通り。
<都内で発生した殺人事件。犯人は不明である。事件を担当する検察官は、東京地検のエリート検事・最上(キムタク)と、新たに配属されてきた駆け出しの検事・沖野(二宮)。最上は、一人の男に狙いを定め、執拗に追い詰めていく。その男・松倉は、過去に時効を迎えてしまった未解決殺人事件の重要参考人であった人物であった。最上の指導のもと沖野は、被疑者に自白させるべく取調べに力を入れるのだが、松倉は犯行を否認し続ける。
…。>

まあこのあたりまでは、「弁護士のアナザーストーリー」と説明する主役の言葉や、検事が検察庁を「会社」と呼ぶところなど、かなりリアルで興味を持って観ていったのだが…。

実はこの「会社」と言う言葉のごとく、検事は基本的には「サラリーマン」なのである。

ところが主役の検事のこのあとの行動が、この「サラリーマン」からすればとうてい考えられない驚愕の行動をする。

無論、それを可能にするのが「ミステリ」の醍醐味であり、そこにリアリティがあればミステリファンは喝采する。
しかし、実は、全く「その説得力」がない。

最後の場面は、本作のクライマックスだろう。
この物語の作者が、二人の「顔あわせ」で終わりたいというのはよく分かる。

しかし、その必然性も描かれていない。
(一方が、来いと呼べば良い、というものでない)

ミステリは、「動機のリアリズム」「トリックの必然性」が不可欠である。
それがないのはミステリとしてどうかと思われる。

しかも、本作の根本トリック、すなわち、主役の「動機」、「意外な犯人」とも、実はミステリ史では、昔からある使い尽くされたテーマなのである。
原作を読んでいないので、何とも言えないが、映画自体は面白くない。

実は、日曜日夕刻という、映画館としては、比較的集まりやすい日時にもかかわらず、梅田の映画館の一番大きなシアターでガラガラであった(50~60人くらいであろうか)。
私にはそれがこの日一番の「意外性」であった。
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by kazuo_okawa | 2018-09-12 00:22 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

カメラを止めるな

一昨日だったか、テレビ朝日「報道ステーション」を見ていると、そこに、上田慎一郎監督が登場し、映画「カメラを止めるな」が紹介されていたので、見にいった。

「37分ぶっ続けのワンシーンワンカットのゾンビサバイバル映画」を撮った「映画人」の、その姿を描いた映画である。

カナダ、ドイツ、ブラジル、チェコの映画祭でも大好評を博し、先行上映からヒットし、さらに広がっていったという。

国際映画祭で受賞したからといって、見に行くというタイプではないのだが、「報道ステーション」を聞いていると富川悠太アナの巧みなトークから、どうやら大ヒットするだけの「どんでん返し」がありそうなので、それに興味をいだいて見に行く。

見事である。

<ホラー&コメディ>というジャンルらしいが、私には、
ミステリの「作中ミステリ」モノというか、叙述トリックのような作品と感じた。

無論、それを「映像」を使っているところが新規であり、面白い。

詳しくは言えないが、ミステリ・ファンにお勧めする。
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by kazuo_okawa | 2018-08-19 19:23 | ミステリ | Trackback | Comments(0)