人気ブログランキング |

私の趣味やニュースの感想など好きなことを発信するブログです


by kazuo_okawa
カレンダー

カテゴリ:ミステリ( 149 )

ないものに注目する!

日経新聞11月9日付朝刊の出久根達郎氏のエッセイ「復刊拒んだ辛口評論家」が実に興味深い。

このエッセイの内容自体は、辛口で有名な山本夏彦氏のとある本がある時期から市場に出ない謎を書いたものである。
どうも山本氏は自ら発刊を許さなかったらしい。
この内容自体も面白い。

特にその初版本を追い求める姿などは古書界に詳しい出久根氏の真骨頂だろう。

それはそれで本コラムをお読みいただきたいが、実は私が驚いたのはこの辛口評論家山本夏彦氏を冒頭で紹介する下りである。

何と、山本氏は「ないものに注目する」というエッセイを書いており、そこで「あるものは目に入るがないものは目に入らないのでそこに注目する」という趣旨を述べているらしい。

いやいや、なんというか、これは重要な思考法であるが、実はこれ、シャーロックホームズの推理法なんですね。

― 「昨夜、犬は吠えませんでしたよ」
「それが奇妙なんですよ」(銀星号事件)

思わぬところに、シャーロックが出てくる!

出久根氏にはここまで指摘してほしかったが…。
.


by kazuo_okawa | 2019-11-13 21:51 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
連れ合いと映画「マチネの終わりに」を見に行った。

原作平野啓一郎、福山雅治、石田ゆり子主演の話題の恋愛ドラマである。
【以下少しストーリーを明かしています】

ストーリーは、福山演ずるギタリストと石田演ずるジャーナリストが互いにひかれあう中、恋敵がある仕掛けをして、石田ジャーナリストを蹴落とし福山ギタリストと一緒になる。
ところが4年後、その秘密を、その恋敵が石田ジャーナリストに打ち明ける。そして…(以下略)

恋愛ドラマとして素晴らしいのかどうかは評するつもりはない。

どうにも、この「うち明け」部分が、私には引っかかるのである。
何故そこで打ち明けるのか、それがよくわからない。
全く必然性が無い。

例えば、石田ジャーナリストが、福山ギタリストとの「破局」に、ある疑問を持ったとか、(逆でもよく、例えば福山ギタリストが何かに疑問を感じ、そこから考えて、妻になった恋敵に問いただす)という展開ならわかる。

しかし物語は、その恋敵が突然「真相を打ち明ける」のである。
納得いかない!

いや男女の心の動き、感情には、その必然性などない、
むしろこれこそ恋愛の機微を描いたまさしく恋愛ドラマなんだ、と言われればどうしようもない。

まあ、いってみれば好みのジャンルというか人生観が違うんでしょうね。

というよりも、私は<「仕掛け」を、頭を使って解き明かすミステリ>が好きなんだ、ということを改めて強く実感した次第である。
.

by kazuo_okawa | 2019-11-09 22:52 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
JSHC全国大会の第二部は研究。

第三部は、私の司会のもと、綾辻行人氏と望月麻衣氏の対談。
テーマは「ホームズと京都」

と言ってもざっくばらんにホームズ体験、ミステリ作家への志望の動機、作家になってみてホームズの魅力、そして「京都とホームズ」等を語ってもらった。

実は、私は綾辻さんは何度かインタビューをしており、彼は少年時代はホームズは読みつつも、「ルパン派」だったことを知っている。
しかしながら、作家になってみて「作る側」になったとき、「ホームズ(物語)は実に強い」と知るのである。

ここの下りが興味深い故、シャーロキアン相手にも通ずるのである。

片や望月氏は『京都寺町三条のホームズ』の作者通りシャーロキアン。
それゆえこの組み合わせがいいのである。

途中、望月氏が綾辻氏に「作品の作り方」を聞くなど予定にない質問をしたころなども面白い。

もう一人特別ゲストとして参加してもらったのは、秋月壱葉氏だが、望月氏は彼女が「221B」と使っていることを知ってシャーロキアンと見抜き、この大会を誘われた。

私がそのことを聞き「221Bとなれば確かにシャーロキアンですね。実はこの会場におられる、おそらくほとんどの方が、どこかに221Bを使っていますね」と述べると
すかさず綾辻氏が「すみません。私の車のナンバーは813」と述べると会場は大爆笑。

綾辻氏とは、何度もインタビュー、対談をしているのでまるで気の合った掛け合い漫才のようである。

このように対談は随時、笑いを呼びながら、好評のうちに終えた。

終了後は、サイン会。
いずれも長蛇の列である。

私は実行委員長として、色々な人から、感謝のお礼やプレゼントを頂きました。
喜んでいたけたことを大変嬉しく思っています。

【追伸】
29日の日曜日。SNS上に見られる参加者のツィートを見ていると、皆さん、感動の声をあげておられる。
特に綾辻さんとツーショット写真や望月さんのサイン本などをあげた方が何人もおられる。
この二人の対談を「夢のようだ」と評した方もいる。お二人にオファーして企画を作り上げた身としては本当に嬉しいものである。

【さらに追伸】
そしてゲストの綾辻さんもツィート、リツィートをして頂いている。私のブックテストも取り上げて頂いている。
また望月麻衣氏はブログで詳細に書いていただいた。
この両名のSNSも見て頂けると幸いです。
.

by kazuo_okawa | 2019-09-30 00:15 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
9月28日に日本シャーロックホームズクラブ全国大会を京都大学で開催した。
私はこの実行委員長として場所の手配から内容まで主導的に進めさせ頂いたが、無事に成功して嬉しい。

特別ゲストに綾辻行人氏、望月麻衣氏、秋月壱葉氏、戸川安宣氏、新保博久氏らという、ミステリを愛する人なら直ちにわかる豪華なゲストということもあって早々に申し込みは満席となった。

全体は3部構成で、第1部は大学ミステリ研がテーマ。第2部はホームズ研究の発表。第3部は作家座談会。

第1部は、戸川安宣氏(立教大学)、新保博久氏(早稲田大学)、日暮雅通氏(青山学院大学)、私大川(京都大学)という45~50年前に各大学ミステリ研を創設し率いてきたメンバーが時代や大学ミステリ研を語るというものである。

よく言われている事だが、一番遅くに発足した我が京大ミステリ研は他大学と交わらない「鎖国政策」をとることによって、会員が「犯人当てミステリ」を創作して披露するという他大学のミステリ研にはない全く独自の発展を遂げた。

そして、京大ミステリ研の新人会員へ、先輩の「犯人当て」を経験させることでその「凝縮スパイラル」が生まれ、それが作家に集約したのが綾辻行人氏であるともいえる。
さらに京大ミステリ研からはその後も創作者・作家が続出している。

そうすると、創作・創造こそ京大ミステリ研の特徴であるといえよう。

しかし思えばこれは、私が関係した、将棋、マジックでも京大はそうなのである。

京大将棋部のその特徴は、「強い」というよりも異能の天才創作家を多数生み出したことだろう。
将棋を知るものなら名前をあげるだけで理解してもらえるに違いない。
若島正氏、上田吉一氏、加藤徹氏、小林看空氏…。

京大奇術研究会もそうである。
学生マジシャンとして「見せる」ということでは一般に老舗の私学の方が上手くてビジュアルであろう。
しかし京大奇術研究会はその創作性においてひときわ個性を放つ。
古くは根尾昌志氏から谷英樹氏、池田洋介氏ら名だたるクリエーターが並ぶ。

思えばノーベル賞を生み出す京大の学風とも関係あるだろう。

以上のようなことを第1部「大学ミステリ研」座談会で発表させてもらった。
.     

by kazuo_okawa | 2019-09-29 08:20 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

超・私好みのミステリ!

相沢沙呼氏の最新作『medium(メディウム)』(講談社)を一気に読破したが、この作品は、実に私好みで面白い。

表紙が、「霊媒探偵 城塚翡翠」と「medium」の文字。
何といっても目に付くのが
主人公と思われる翡翠のアニメ風のイラストと
表帯文句の言葉が、ただ一つ
「すべてが伏線。」

これはどうしても目につく!

そして裏の帯文句は
<推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。(以下略)>

いつもは、少しトリックに触れながらミステリの読後感想を述べるのだが
本作ではやめたい。

つまり何故私好みなのかは説明したいのだが、そしてミステリファンと歓談したいところだが(それはある種の、とある「京大ミステリ研」タッチです)それを少しでも述べればこの作品のトリックを予想しかねない。

つまり、この作品の素晴らしさに是非とも直接触れてほしいからだ。

綾辻行人氏によれば、相沢氏はマジシャンでもあるらしい。

そう思えば、いやあ、実に、なるほどマジシャン的発想と思えなくもないと…
と思いつつも…
やはり感想を述べるのはやめにします。

間違いなくお勧めの作品です。
.

by kazuo_okawa | 2019-09-24 22:54 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

ノワールをまとう女

第65回 江戸川乱歩賞 受賞作たる神護かずみ氏の『ノワールをまとう女』を読む。

裏の帯文句は
「新ヒロイン登場!
自宅は大久保の雑居ビル。冷蔵庫にはビールと栄養ゼリー。
日課はトレーニング。音楽はオールディーズ。話し相手はAIのユキエ。
仕事は、企業のトラブル請負人。服は黒尽くめ――。」とあるように
なかなか興味深い舞台設定である。

新人登竜門たる賞には数々あるが、乱歩賞は大抵の場合、当たりはずれはないと思っている。
今回も面白く読めた。

【以下、少しトリックに触れています】

基本的ストーリーは、主人公が依頼された仕事を引き受ける中で、謎と事件に出くわす。
そして、本格ミステリの定番ともいえる、錯綜するストーリーとある人物が同一人物というトリック。
そして登場人物の出自に関する謎…。

こう書けばわかる通り、主人公が男性であれば、かつて読んだ本格ハードボイルドのようである。

それがある種の安心感をもって読めるのかもしれない。

市民団体のリーダーがハンドルネームで呼ばれていることから、多分、ある人物なんだろうな、とある種の「お決まり」で進んでいくのも心地よい。

しかも、帯文句の通り、舞台設定は極めて新しい。

乱歩賞作品は、読み終えたあと選考委員の選評を読むのが楽しみであるが、
京極夏彦氏の評する「古い器に新しい食材を盛る手つきは堂に入っており、一種のピカレスクロマンとして読める」
という評に全面的に共感する。

お勧めである。

【追記】
とこう書いたが、趣向を新しくしていながら昔からのトリックとなれば、<新しい器に古くからなじんだ食材を盛る>とも言えるのではないだろうか…。
.


by kazuo_okawa | 2019-09-22 18:42 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
東野圭吾の最新作『希望の糸』を読んだ。

【以下、作品のトリックを明かすつもりはありませんが知りうる可能性がありますので、ご注意ください】

物語は、震災で二人の子供を失い希望も失った汐見夫妻が再び子供作ることによって希望を取り戻す。
一方、料亭旅館の女将吉原亜矢子は先代からの顧問弁護士からある事実を打ち明けられる。
そしてお洒落なカフェを営む花塚弥生が殺される。
この事件を担当するのは加賀恭一郎シリーズにおける加賀の従兄弟にして相棒、松宮修平。彼は事件の捜査とは別に、吉原亜矢子から連絡を受ける。

実はこのように、汐見のストーリー、亜矢子のストーリー、弥生のストーリー、そして事件を負う松宮のシトーリーが並行して進む。そして松宮は自己の秘密にも直面する。

ここまで読めば事件の秘密と捜査役の秘密が並行して描かれる『祈りの幕が下りる時』を思い出す。

そして現に、ある種の「絆」が大きな動機となるのは共通である。
また、『祈りの幕が下りる時』では、今日では「うつ」なんだろうが当時は…、という下りがあるが、『希望の糸』ではLGBT、といくつかの類似性を思い出す。

無論、トリック、背景は異ならせており、全く別の作品であることは言うまでもない。

しかし、やはり、『白夜行』と『幻夜』、『容疑者Xの献身』と『真夏の方程式』のような関係を思い起こさせる。

ストーリーは、汐見と花塚が結びつくのだが、背景としての医療ミスは、あるだろうなと思わせ違和感を感じない。
かくて花塚事件の真相も明かされ、また松宮の秘密も明かされる。

時に泣かされ、そして気持ちの良い読後感で終わらせる。
相変わらず見事である。

加賀シリーズは終わったのかと思わせながら、こういう形で加賀シリーズが復活するのであれば、東野ファンにとって最大の嬉しい驚きだろう。

私は本格ミステリはきれいに騙される爽快感にあるとおもっているので、<謎を見破ってやろう>などという野暮な読み方はしないが、本作の最初の方で被害者のスマフォから出てくる固有名詞が幾つもあげられたときには<本格作家ならここに伏線を張るだろうな>というある種の勘が働いた。

本作で加賀は繰り返し「刑事の勘」について述べるが、ミステリファンとして私も、本作では「勘」が働いたようである。
.

by kazuo_okawa | 2019-07-07 09:39 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
5月5日、私たちが45年前に作った
京都大学推理小説研究会の設立45周年記念同窓会が開かれた。

同窓会と言えば通常「懇親会」だけであるが、
後輩たちが、記念行事も企画してもらった。

当研究会設立の頃に学生だった青学大ミス研OBで翻訳・評論家の日暮雅通氏、明大ミス研OBの若手ミステリ作家青崎有吾氏と、京大OBの我孫子武丸氏、円居挽氏との東西ミステリ研座談会である。
大学も違い、また世代も違うので大変興味深い座談会であった。

青崎氏とお会いするのは始めてだったが、在学中「京大ミステリ研のようにしたい」と思っていたと発言して頂いたのは嬉しい。
処女作は、綾辻行人館シリーズのオマージュである。

日暮氏は古くからの友人、同世代であるため共感するところが多い。

我孫子氏は才能ある後輩。
「ミステリ研」であったからこそ作家デビューした。ミステリ研なくば作家はなく、ミステリ研であったことにデメリットはないといわれたのは嬉しい。

円居挽氏はシャ―ロキアンであり、注目している後輩であるが、その辛口の話しぶりには初めて接した。
いやあ面白い。

私は、懇親会冒頭のあいさつでも述べさせていただいたが、私たちの作ったサークルが、45年も後輩が継承していただき、加えて少なからず日本のミステリ界に影響を与えたのであるからこれほど嬉しいことはない。
(京大ミステリ研と作家群に関心ある方は、拙著『ホームズ!まだ謎はあるのか?』(一葉社)をお読み下さいませ)。

さて当日の参加者が何人もツイッタ―を挙げている。

下記は、円居挽氏のツイッター。

ここでいう「京大ミステリ研創設メンバー」とは私のことである。

「今日の京大ミステリ研創設メンバーの話。やる気のある人が抜けたらそれで終わりという批判に対し、システムを作れば存続は可能だと主張。犯人当てと読書会、機関誌発行という定例会や仕事を作ったという。45年間、確かにそれだけはやってきた。でもやばい人が絶えず供給され続けただけかもしれない。」

実に痛快で面白い!
.


by kazuo_okawa | 2019-05-06 18:38 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

砂の器・リメイク版

過去の名作ミステリを現代風にアレンジする。
現代的ながら、その名作の中枢をうまく生かすと作品の魅力はより倍増する。
初めて出会ったワトスンに対して、シャーロックホームズがいきなり名推理を披露した
「アフガニスタン帰りですね」の名台詞。

それを生かした、その現代版『シャーロック』などはその典型だろう。

3月28日放送のフジテレビ開局記念特別番組『砂の器』を録画で見る。
社会派の名をほしいままにした松本清張氏作であり、1974年に加藤剛・丹波哲郎・森田健作らの映画化以来何度もドラマ化された不朽の名作である。

今回は、2018年のハロウィーン当日の渋谷が舞台となり、東山紀之が捜査1課の刑事・今西栄太郎、天才作曲家・和賀英良役は中島健人である。
和賀は、差別に苦しんだ「過去」を変えて、成功への道を歩む。
そのときに過去を知る人物に出会うことから事件が起こる。
事件の発生時期や状況、そして、大臣への「忖度」という言葉など、まさに現代的である上、原作の魅力的な手がかり「東北弁のカメダ」などキーワードはそのまま残されており、うまく作られている。

そして今回は、真犯人を、原作「ハンセン氏病者の子」から「殺人犯の弟で息子」という設定にしている。
子供が「差別」に苦しむ、という状況は同じであり、その苦しみは、ハンセン氏病差別も殺人者の家族に対する差別も同じである。

しかし、事件は過去を知る被害者が、真犯人に「父に会うように」と勧めたことから、「過去」を知るこの人物を殺害するのである。
社会派松本清張は「ハンセン氏病」差別を告発した。
その原作に忠実な、74年映画では、「父に会うように」勧めた被害者には私は心理的共感を覚える。
だからこそ、被害者、加害者の両者に対して共感を覚え、それゆえにクライマックスに深い感動を覚える。

しかし、今回の作品で、「(殺人者たる)父に会うように」勧める被害者に共感を覚えるだろうか…。
(整合性を持たせるために、まず大量殺人犯(和賀の弟)が家族を苦しめ、父もその差別の中で殺人を犯したと工夫をしていることはわかるが、余りに技巧的であるなと、感じてしまうのである)

俳優を変えた、砂の器・リメイク版は何作も見たが、その度に、1974年版(加藤剛・丹波哲郎・森田健作)が一番素晴らしいと改めて感心するのである。
.


by kazuo_okawa | 2019-04-13 23:35 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
木村拓哉、長澤まさみら豪華俳優陣で話題を呼ぶ映画「マスカレードホテル」を見に行く。
東野圭吾のヒット作の映画化である。

(少しトリックに触れています)

もともと原作自体が面白い。
映画も、ほぼ原作に忠実で、面白く見られた。

もっとも私自身は、原作にある、潜入捜査官新田(これを木村拓哉が演ずる)がホテルの客のカバンを勝手に開けようとするところ、有能なホテルマン山岸(これを長澤まさみが演ずる)が体を張って防ぐ、というシーンが印象に残っていたのだが、それは映像化されていなかった。

実はその点がいささか残念なのであるが、それでも作品自体は素晴らしい。

「マスカレードホテル」の事件は「連続殺人事件」であり、犯行現場に同じような謎の数字の記号がおかれていることから、同一犯の連続殺人とみられる。

この「連続殺人モノ」は、いわゆる「見立て殺人」モノを始め、本格ミステリにおける一つのパターンである。
しかし何といっても東野圭吾のアイデアは、次の殺人場所が予告されているというところにあり、それが舞台をホテルにする工夫である。
しかも、そこに登場するホテルの客の怪しさと、客を疑う刑事と、客のいかなる注文も受けつけ客の満足を第一義に考えるホテルマンという組み合わせに感心する。

そして中心トリック。

この「一人ずつ連続で殺される」ということ自体が、実は、「目くらまし」というのであるから、実は東野圭吾のこの趣向が面白い。

東野圭吾はこれまで同じようなトリックを全く違う作品に仕上げてきたことがあったが、このトリックも(一見それと気付かれないように)全く違う作品でも使われるのではないだろうか。
.

by kazuo_okawa | 2019-02-10 15:35 | ミステリ | Trackback | Comments(0)