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by kazuo_okawa

カテゴリ:将棋( 351 )

泣き虫しょったんの奇跡

将棋のプロになるには奨励会を勝ち抜かなければならない。
勝ち抜いて四段になって初めてプロとなる。

そしてこの四段になるための奨励会には年齢制限がある。
それは、夢破れてプロになれない者に早くあきらめさせて別の道を歩む決断をさせる、という面はあるが、同時にこの制度ではいわゆる「遅咲き」は救えない。

瀬川晶司氏は一度は年齢制限から将棋界を退会したものの、サラリーマンになって、アマチュアとして活躍し、プロを打ち負かすまでに至った。
そこで、彼の周りのものは瀬川氏をプロに、と動き出す。
しかし、将棋界の壁は厚い。
ずっとそういうシステムでやってきたではないか、というわけだ。

13年前、私が覚えているのは、米長邦雄新会長が、「プロ入り試験」をする案をリードし、結局、その試験官(棋士)6人と瀬川氏が「差し分け」(3勝3敗)以上なら「プロ入り」を認めるというものだったが、その6人がバラエティに富んでいて非常に驚いたことである。

古田靖氏の「奇跡の六番勝負」(河出文庫)は、瀬川氏作の「泣き虫しょったんの奇跡』とは違うが、ジャーナリストの立場からその経緯が詳細に書かれていて興味深い。

私が一番感心したのは、羽生善治である。将棋界で瀬川氏のプロ入りに反対や慎重な意見が多い中、棋界の王者羽生善治は次のようにコメントしたという。

「瀬川さんが銀河戦でこれほど勝っているのは重い出来事です。年齢制限を設けることは悪いことではないが、20歳を過ぎたらノーチャンスはどうか。ハードルは高くても何らかの道を作ったほうがベターだと考えている」

今から考えれば、当たり前の意見だが、当時の頭の固いごちごちの将棋界でこういうコメントを出せるのは羽生善治の柔軟性であろう。

改めて羽生善治の凄さを感ずる。

「泣き虫しょったんの奇跡」は映画になる。
実に楽しみである。
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by kazuo_okawa | 2018-08-21 23:01 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

ひふみんアイ対局!

日曜日の今日、「みやこ将棋フェス」という将棋まつりに参加する。
久保利明王将、菅井竜也王位、井上慶太九段、稲葉陽八段、斎藤慎太郎七段など関西の錚々たるメンバーで堪能する。

メインイベントは、久保王将対菅井王位の席上対局。

こういう時、久保王将は新手や研究手を試すことが多い。

そして菅井王位は振り飛車党。
言うまでもなく久保王将も振り飛車党であり、相振り飛車になるのかという戦型予想もあったが、実際は、先手久保王将がいきなり26歩と居飛車の意思表示を行い、対抗形となった。

久保王将は相手が振り飛車党の時に(例えば藤井猛九段相手のときなど)居飛車を持ちいることがある。

無論、久保王将は居飛車でも強いが、対抗形で居飛車側を指すことにより、むしろ振り飛車側からのあるポイントを研究するわけである。
いわば「ひふみんアイ」(逆の立場で見ること)を、対局で行っているようなものである。

そして、熱戦。

席上対局は、まあ、「お祭り」という部分もあるが、二人は予定時間を大きくオーバーして(係は、巻くように合図していても)195手まで戦い、久保王将が勝利した。

実に素晴らしい。
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by kazuo_okawa | 2018-08-12 21:55 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

師弟~棋士たち魂の伝承

野澤亘伸氏の著(光文社)である。

内容は
「谷川浩司-都成竜馬」
「森下卓-増田康宏」
「深浦康市-佐々木大地」
「森信雄-糸谷哲郎」
「石田和雄-佐々木勇気」
「杉本昌隆-藤井聡太」
の6組の師弟の記事とともに、羽生善治永世七冠の特別インタビューを収録したものである。

まあ、正直、将棋ブームにのった「あやかり本」くらいに思っていた。

現にそういう本もあるからである。

加えてこの6組の師弟は、将棋ファンにはあまりにも有名であり、それぞれのエピソードも、将棋ファンならおおむね知っていることをまとめたものなのだろう、とくらい思っていた。

しかし…。

購入して読み進めると、不覚にも最初の「谷川浩司-都成竜馬」編でぐぐっときた。

知らないエピソードは、都成三段奨励会時代に彼女を泣かせてしまったことである。

どんなことがあっても絶対に言ってはいけない言葉を発する。
『お前のせいで、負けたんだよ』
恋人も自分の誇りも傷つけた。
電話の向こうで彼女が泣く…。

こにくだりに、三段時代の苦しみが凝縮されているだろう。

他の章もいい。

無論、王者・羽生善治のインタビューもいい。
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by kazuo_okawa | 2018-08-07 23:39 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

挑戦者は斉藤七段!

中村太地王座への挑戦権をかけた第66期王座戦挑戦者決定トーナメントの決定戦が、7月27日渡辺明棋王と斎藤慎太郎七段との間で行われた。

結果は斉藤七段の勝利!

27日帰路に、日本将棋連盟アプリにアクセスすると、村山七段の解説で「渡辺棋王有利」という。

ところが帰宅して叡王戦予選の生放送(王座戦ではなく、叡王戦ですよ)をつけると、その視聴者ツイートに「斉藤がんばれ」「王子対決」などと流れている。
どうやら逆転らしい。

いやあ素晴らしい。
関西若手の活躍というのは実にうれしい。

斎藤七段は本線トーナメントで高見泰地叡王、久保利明王将、藤井聡太七段を破っている。

その昔「羽生を破った責任」というフレーズがあった。
本戦トーナメントで、本命羽生を破ったならそのまま「棋戦優勝すべき」あるいは「挑戦者になるべき」責任があるという意味である。
そのフレーズにあやかって言えば、初タイトル挑戦を期待された藤井聡太七段を破った責任もあったろう。

斉藤七段にはこの勢いで、是非とも中村太地王座に勝利して、関西に4つ目のタイトルを持ってきてほしい。
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by kazuo_okawa | 2018-07-28 09:20 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

豊島棋聖勝つ!

将棋の第59期王位戦七番勝負の第2局が24、25の両日、神戸市で指され、挑戦者で先手の豊島将之棋聖が105手で菅井竜也王位に勝利した。

戦型は、菅井王位が向飛車銀冠、挑戦者豊島棋聖が居飛車穴熊である。

二日目早々に、菅井王位の角成を許しつつ、飛車を切って、金銀2枚替えに持っていくのが見ていて痛快である。
その後も豊島棋聖の攻めが気持ちよく、見事に快勝した。

実に強い!

これで対戦成績は1勝1敗である.

豊島棋聖の今年は、王将戦、名人戦挑戦者プレイオフ、棋聖戦と対局過多であったが、今は、棋聖位を奪取したことによる精神的余裕と、一時の対局過多状態ではないことから、豊島棋聖としてはこの王位戦に絞れる。
豊島棋聖にぐっと有利となったといえよう。

戦国時代の将棋界。

豊島棋聖が一気に2冠になるのではないだろうか!
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by kazuo_okawa | 2018-07-26 00:14 | 将棋 | Trackback | Comments(0)
羽生善治棋聖に豊島将之八段が挑戦していた第89期棋聖戦五番勝負の最終局で、豊島八段が見事に勝利し、棋聖位を奪取した。
豊島八段の初タイトルである。

応援してきたファンの一人としては率直に嬉しい。

若くから将来の名人と嘱望され、その実力通りに勝ち進んできたが、その強さに比して「あと一歩」と思うことも少なからずあった。

ソフトに勝利した直後、豊島七段(当時)にインタビューする機会を得たが、そのとき彼は力強く目標はA級八段昇格とタイトル奪取と述べていた。

またソフトの影響から、このソフトの利用は直ちに効果が出なくても、近いうちに必ず役立つ、とも述べていた。
豊島八段といえば「序盤、中盤、終盤、スキがない」。
しかしこのソフトの利用後、彼は、鋭い踏み込みと思い切りという武器を間違いなく手にした。

45手目羽生棋聖の新手47角や、「難しい将棋でよくわからない」(豊島八段の言葉)将棋は、同時に見ていて面白い将棋でもある。

これで将棋界は8つのタイトルを8人で分け合うという空前の戦国時代に入った。
関西所属棋士から3人いるというのも関西将棋ファンとして嬉しい。

無論、しかし、このまま8人のタイトルホルダーで分け合っているだけでは全く面白くない。

この先、誰が複数タイトルを集めていくのか。
そこが俄然興味深い。

豊島新棋聖には天下を取る勢いで頑張ってほしい。
心から応援している。

【追記】
Abemaの佐藤天彦名人の「振り返り解説」を聞くと、豊島八段の38手目41飛が「人間にはさせない手」と指摘していた。
居飛車豊島八段が42玉のその後ろに飛車を回るのであり「玉飛接近すべからず」という将棋の格言に反しているからである。こういうところにソフトとともに研究している姿が窺える。

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by kazuo_okawa | 2018-07-17 18:58 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

うつ病九段!

昨年度に長期間休場した棋士先崎学九段の新刊書である。
先崎九段の休場の原因はうつ病であり、その発症から回復までを自らの手で綴ったのが『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』である。

私自身、将棋ファンであり先崎九段の著はほとんど読んでいて、いつもその洒脱な文章に感心している。

そして職業柄、依頼者にうつ病患者が少なくないこともあって、直ちに購入し、そして一気に読み終えた。

本書では、うつ病発症の原因は詳しく書かれていないが、いわゆる「竜王戦挑戦者交代事件」であろうことは、発症後に、将棋ジャーナリスト大崎善生氏が、日経新聞2017年9月17日付の王座戦観戦記で次のように記載して、原因を暗示していた。
即ち大崎善生氏は「私の古くからの友人先崎学は倒れた。棋士が棋士を疑う。その図式に繊細な彼の神経は耐えられなかったのだろう」と記している。

本書は、うつ病についてリアルに描かれていて、うつ病たるものがよく理解できる。
その意味では、うつ病に関心ある方には興味深い本だろう。

しかし、将棋ファンとして強く印象に残ったのは次の一点である。

文中随所に出てくる棋士について固有名詞で描かれ、いずれも、〇〇さん、〇〇君、〇〇先生、と敬称付きなのだが、ただ一人羽生善治竜王だけは「羽生」と呼び捨てである。

無論、先崎九段が羽生竜王をないがしろにしているわけではない。
むしろ畏敬の念をもっていることは「一葉の写真」その他随所に開陳している。
しかし、敬称抜きなのである。

ここに、何とも言えぬ先崎九段の羽生竜王に対する別格の思いが読み取れる。
本書のテーマではないが、将棋ファンとして、ここが一番印象に残る。

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by kazuo_okawa | 2018-07-16 22:39 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

増田六段、勝つ!

羽生善治竜王への挑戦者を決める第31期竜王戦決勝トーナメントが進行している。

7月11日は、佐藤康光九段VS増田康宏六段 戦が行われた。

増田六段は前期竜王戦決勝トーナメントで、藤井聡太七段に敗れ、藤井四段(当時)の29連勝という新記録を許した。
その屈辱をバネに、増田六段は今期1年ぶりとなるリベンジマッチで藤井七段を制し、本局へと勝ち進んだが、明らかに強い。
本局もその充実ぶりを示している。

相手は元竜王の強豪佐藤康光である。

にもかかわらず圧倒している。
将棋連盟アプリで棋譜を追いかけると、57手目、ただ捨ての「歩頭桂」が凄い。
凄すぎる!

そもまま見事に勝利した。

やがて将棋界は遅かれ早かれ「藤井時代」が来るのだろう。
その時に、増田六段が藤井七段の好ライバルとなっていればこれほど楽しみなことはない。

さてその増田六段、次の相手は久保利明王将!

いやあ、実に楽しみな対局である。

【追記】
7月19日、久保王将は増田六段の勢いを止めて勝利した。
さすがである。
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by kazuo_okawa | 2018-07-12 00:54 | 将棋 | Trackback | Comments(0)

第59期王位戦始まる!

将棋連盟アプリの解説は次の言葉で始まっている。

<平成、最後の夏。平成生まれ同士のタイトル戦が、初めて実現した>

菅井竜也王位に挑む豊島将之八段。
元号を使うのは別としても、フレッシュな対決を表わすキャッチフレーズではあろう。

ともに実力者でわくわくさせる。

昨年の、佐藤天彦名人対稲葉陽八段の名人対決など、若手実力者同士の対決が続くと未来に向けての期待が膨らむ。

そして本局は、20代同士のタイトル戦というだけでなく、関西所属同士というのも関西将棋ファンとしてはいい。
ついでに、立会人は谷川浩司九段、副立会人は糸谷哲朗八段である。

結果は134手の熱戦で菅井王位が第一局を制した。
Abemaの終了後の解説を少しだけ聞くことが出来たが、58手目豊島八段の「54角ではなく、33角がよかった」との言葉に解説豊川七段が驚くの凄い。

つまりこんなに早くから勝負ポイントがあったというわけである。

Abemaもタイムシフトが始まったという。
じっくりと見るのが楽しみである。
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by kazuo_okawa | 2018-07-05 21:15 | 将棋 | Trackback | Comments(0)
羽生善治棋聖に豊島将之八段が挑戦する第89期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の第3局が6月30日に行われ、豊島八段が145手で羽生棋聖に勝ち2勝1敗として、タイトル奪取に王手をかけた。

前局が豊島八段らしからぬ予期せぬ逆転負けであったので、本局も終盤はらはらしたものの豊島八段が制した。

この対局、なんといっても驚いたのは後手番羽生棋聖が4手目に袖飛車を採用したことだろう。
対局終了後の共同インタビューで、「最近力戦型の採用が多く、本局も研究されたのだと思うが」との質問に、羽生棋聖は、質問自体は肯定するわけでも否定するわけでもなく、「やってみないとわからない」と答えている。

それは単に、対局相手が若手実力者だから定跡形をはずすというのではなく、今なお、将棋の可能性を探る羽生棋聖の姿勢であり、未知の世界に飛び込む羽生流でもある。

豊島八段はレーティング1位の最強実力者であり、タイトル挑戦5回目であろことからしても、おそらくタイトルは奪取するだろう。

そしてそれがレジェンド羽生棋聖からのタイトル獲得であるところに大きな意義がある。

次局で決めてほしい。
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by kazuo_okawa | 2018-07-01 08:43 | 将棋 | Trackback | Comments(0)