パズル入りの作品も楽しみであるが、オーソドックスなのは年号にあやかるのが基本である。
私も以前、年号にあやかったパズルを作り当事務所の「事務所報」に掲載したことがあるが、なかなか難しいものである。
難しいというのは、解き手の意欲をかきたて、それでなおかつ唸らせるというほど良い難度の作品を作るのが難しいという意味である。
最近では、どちらかというと「ひっかけパズル」を作るため、真面目な方からは批判されたりしている。
手頃な難しさという点でも見事である。
遠方の裁判所に行き、ある区間でタクシーに乗っていたときのことである。
そのタクシーの中で流れているラジオの内容が面白かった。
これは実に興味深い。
私は「その距離というのはタイヤの回転数で決まるのではないでしょうか?」と聞くと運転手は、そうだ、という。
何故なら、タイヤが減れば、タイヤの円周が変わることになる。
とすれば、距離に影響するのは当然である。
つまりリスナーが正しい。
しかし直径0.5センチメートル減れば、円周は約1.5センチメートル減るのであるから、メーターが上がる距離(例えば2キロメートル)でタイヤが何千回回転するのか不明だが、いずれにせよ数メートルの誤差があることは容易に想像できる。
とすれば確かに、料金は変わるだろう。
京都賞受賞者の柏原正樹京都大学特任教授が「代数で解く感動」に関連しての話であるが、今週の阪急電車に日能研の中学入試問題が紹介されていた。
「シカクい頭をマルくする」という電車でお馴染みの中学入試シリーズである。
5=2+3
10=1+2+3+4
と表すことが出来ます。
11から20までの整数でこのようにいくつかの連続した整数の和で表すことの出来ない整数をすべて答えなさい」
代数を使えばすぐに解ける。
n、n+1=2n+1
n、n+1、n+2=3n+3
n、n+1、n+2、n+3=4n+6
と表せ、5つ以上連続するのは20を超えるから、この3つの代数式に限られる。
すると順に数字を埋めて
11,13,15,17、19
12,15,18
10,14,18
と決まるから、表すことが出来ないのは、残る16である。
難しい…。
「数学が苦手な子も多いが、関心を持つには?」との問いに教授は「小学校ではつるかめ算のような問題を難しいと思うかもしれない。だが、数学の代数Xを使うと簡単に解けて感動する」と答える。
残念ながらその数学者は(何人もの数学者の書物をもっているため)思い出せないのだが…。
<数学の代数Xを使うと簡単に解けることに感動する者>と、<その説明の仕方に感動する者>との違いが、数学の道を志す者と、言葉を駆使する世界を目指す者の違いがあるのかもしれない。
彼のツイッターは私の知らないマジック情報が満載で非常に面白い。
マジックのみならず、ミステリやパズルなどその造詣の深さに感心する。
先日そのツイッターを覘くと、面白い下りがあった。
電卓で、1÷3÷3÷3÷3= って計算してみ?」
「答えが 0.0123456790123456790 って続くから!!」
「でも、なんでこんな面白い数字の並びになるのかが不思議!
教えて、数学に強い人!!」
「数学にめっちゃ強い人、池田洋介(@ikeikey)さんが、この数列の謎を分かりやすく解説してくださいました!」
として池田さんの解説が出ているのだがこれが素晴らしい!
(詳細は、是非、谷さんのツイッターを見てください)
その遊びの一つに、12345679をずっと足していくという遊びがある。
すると何回目かには、きれいに111111111と並ぶのだが、これが何とも言えず気持ちいい!
電卓を返してもらって「あなたの選んだ数字はこれでしょう」と言いながら、さらに9をかけると…。
すると電卓には選ばれた数字6が並ぶ!
この説明がうまいのである。
感心しました。
この夏号でも出したのだが、そのパズルの核心は表面的な問題に隠された「間違いに気づくこと」。
まあ、ミステリでいえば私の好きな一種の叙述トリックなんですね。
貴重な意見です。
理科系ではそうなのか、成程、と感心しました。
これは、その緻密性や真理の追及たる数学と違って、司法の世界では、人々が互いに気持ちよく生活する為に「法の支配」による(非合理な支配を排する)ことを目指し、その為に「非合理な論理」を見破る(要するに間違いを見つける)ことの重要性を意識しているからだと考えられます。
(当然、同じ数字同士のペアが2セット残っている)
まあ大抵順番が来た方が残り全部取る。
その為だろう、今泉健司四段が毎回シャフルするルールに変える。
(それはもはや「記憶力ゲーム」ではないのだが…)
ギャラリーの「案外あたらないなあ」との声のもと、何回か繰り返されていた。
こう思いこむと、なかなか当たらないのは不思議である。
どうも、確率2分の1と思い込んでいた方がおられるようで、実はそれが興味深い。
そこに私がパズルを載せている。
実はこういう三角形は存在せず、注意力を試す問題でした。
実はもともとはマイクロソフト社がインドで出した入社試験が最初なんだそうです。
いやあ驚きです。
これも驚きです。
内容は簡単にいうと以下のとおりである。
会館入り口を入ってすぐを右折し、また右折したところに、手前から奥へと4台並んでいる。手前から奥へ、というのが味噌で、要するに奥まで歩くのは面倒なのである。
この4台並んでいるエレベーターを利用した場合、実際に来るのは一番奥の(つまり西側で一番遠いところにある)エレベーターであることが多いと感ずるが、それは錯覚であり、実は公平に同じ割合でエレベーターはやってくる。
そしてこの錯覚は「自分にとって不快なことは、拡大して印象に残る」というマーフィーの法則である。
いや、率直に会館設計ではお世話になりました。
改めてお礼です…。
「体感」に基づいた「公正な」エレベーターは出来ないか!
それならば、わざと、その感覚を前提とするように「偏り」を入れておくのである。
つまり手前から、奥へ、A、B、C、D4台のエレベーターがあるときに、Aはやや多い目に,Bはほんの少し多い目に、Cはほんの少し少ない目に,Dはやや少ない目にというように,AからDへ漸減的にエレベーターの来る率を変えて、体感としての「公正さ」を実現するのである。
無論それは、「公正らしさ」を感じさせることによって、不快感を少しでも減らすのである。
1月29日の朝日新聞夕刊に、非常に面白い記事が出ていた。
表題の見出しで「静岡県内の建設関連35社でつくる県建設コンサルタンツ協会が、日本一の富士山(標高3776メートル)の「体積のはかり方」を募集している。答えが出ていなくても、正確でなくてもOK。はかり方のユニークさや面白さがコンテストでの審査ポイントとなる。」という記事である。
この種の話題に少し詳しい人なら、2003年のベストセラー「ビル・ゲイツの面接試験~富士山をどう動かしますか?」を直ちに思い起こすだろう。
わざと答えの無い問題を出して、その答え方から、その柔軟な思考力を見出し、そのことによって真の意味での「知性」を採用するのが、ビル・ゲイツの面接試験だとして話題を呼んだのである。
ビル・ゲイツの入社試験は「富士山」が好きで、富士山を動かすのにどれくらいの時間がかかるか?という問題もある。
また大きなモノ(ミシシッピ川の流水量など)をはからせるのもある。
何が言いたいのかといえば、この朝日の新聞記事を読めば「ああ、ビル・ゲイツの入社試験だな」と思ってしまうのである。
ちなみに、この書がヒットした後「グーグルの入社試験」など入社試験モノが続いた。
さらには「オックスフォード&ケンブリッジ 世界一考えさせる入試問題」など入試問題モノも出版され、そのころに現実の東大の数学入試問題「円周率が3・1より大きいことを証明せよ」が名問題などと話題となったものである。
さてそういった歴史をこの記事を書いた記者が知っているのかどうかは知らない。
しかし、記事中「そんな斬新なアイデアを協会は期待する。」と記者は書くのだけれども、実はこの協会の問題自身は,全く「斬新なアイデア」ではないのである。
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