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by kazuo_okawa

2019年 12月 07日 ( 1 )

適正手続を貫く意義!

弁護士の目からすれば実に興味深い判決が出ている。

神奈川県の東名高速で2017年6月、あおり運転で停車させられた家族が死傷した事故をめぐり、危険運転致死傷などの罪に問われた判決で、東京高裁(朝山芳史裁判長)は12月6日、懲役18年とした一審判決を破棄し、審理を横浜地裁に差し戻した。
一審に続いて危険運転致死傷罪は成立すると認めたが、一審の公判前整理手続きに違法があったと判断したという。
判決は、被害者が停車せざるを得なくなったのは被告人のあおり運転によるもので、停車から2分後に追突してきた大型トラックの運転手の過失も大きくないと指摘し、「あおり運転」と追突事故との因果関係は認めたという。

注目すべきは次の点である。
即ち、一方で、一審の裁判官が公判前整理手続きの段階で「同罪の成立は認められない」と表明した点の違法性を検討し、裁判員のいない場でこうした見解を示したことは「裁判員法に違反する越権行為」で、これによって一審の弁護人は「同罪が成立しない」との前提に立ち、公判で十分な防御ができなかった可能性が高く、裁判員も含めた審理で見解を変え、判決で危険運転罪を認めたのは「不意打ち」だとした。

そして、手続きの違法が量刑の判断などに影響を与えた可能性があるとして、裁判員裁判をやり直すべきだと結論づけた。

いやあ適正手続きを貫いた点は実に素晴らしい。

公判前整理手続きは、裁判員がいないところでの手続きであり、そこでは、あくまで争点と証拠の整理をするだけであり、そこで実体的な判断はしてはいけない。
そうでないと裁判員裁判の趣旨は没却する。

その意味で、手続き的正義を貫いて、差し戻したのは素晴らしい。

しかし、と疑問に思うのである。

ならば、この手続き違反だけで差し戻せば良いのであり、何も、わざわざ「あおり運転」と追突事故との因果関係を認める必要はない。
この判断は実質的には差し戻しの裁判員裁判に影響を及ぼしかねず、自ら批判した一審判決と似たり寄ったりではないかと思うのである。

まあ、「不意打ち」を批判したのであって、ここまで言えば弁護側には「不意打ち」にならないだろうから、一審判決とは違う、と言うのだろうが…。
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by kazuo_okawa | 2019-12-07 10:00 | 司法・ニュースその他 | Trackback | Comments(0)