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by kazuo_okawa

2017年 02月 04日 ( 2 )

斉藤美奈子の新作である。
斉藤の作品はどれも面白く、私はほとんどの作品を読破しているが、本書も面白かった。

内容は、冒頭作を例にとれば「坊っちゃん」
言わずと知れた、漱石の代表作。
斉藤は、この各社から出ているその文庫の解説を片端からよみ、そしてそれを解説するのである。
それゆえ、文庫解説ワンダーランド!
「坊っちゃん」は青春痛快小説だろうと思っていたのが、各社の文庫解説によれば「悲劇」でああるとの解説もあり、斉藤に言わせれば、実は解説にも攻防戦があるという。
意外な視点で驚かされる。

次いで「走れメロス」
誰もが知っているお馴染みの作品である。
短編ゆえこの作品のみならず、文庫には、太宰の複数の作品が並べられているが、どの出版社も作品集の題名は「走れメロス」であり、表紙は(メロスの)「走っている」絵だという。
つまり、太宰の作品集の主役は「走れメロス」
ところが、何と、どの出版社の解説人もメロスへの言及はないという。
いやあ、文庫解説を読み比べた斉藤ならではの指摘であり、実に痛快、且つ面白い。

この調子で、どんどん斬りまくる。

中盤、庄司薫、柴田翔、小林秀雄なども実に興味深い。
何せ、青春時代の原点ですからね。思わず、書庫から、これら作品を引っ張り出してこようかと思ったくらいである。

そして何とミステリ編!
ミステリファンの私としては一番感心した。
斉藤は、ミステリの解説の掟は犯人を指摘してはいけないと、書きつつ、トリックの傷をくさした評論を挙げるのである。

いやあ、実に意表を突く指摘である。

その対象作品は「点と線」!
言わずと知れた松本清張氏の代表作であるが
その傷を指摘した解説者は有栖川有栖!
この組み合わせは凄い!
「点と線」はどこかにあったはずだが、これは是非文春文庫版を買わねばならない。

とまあ斉藤美奈子「文庫解説ワンダーランド」は実に面白い本である。
ともあれこれだけ辛口で斬りまくっていたら、斉藤美奈子自身の文庫の解説は誰が書くの?と誰しも思いますよね。
実は「文庫解説ワンダーランド」の最後には、きちんとその点に触れて終わっている。

斉藤美奈子恐るべしである。

【追記】
さっそく有栖川有栖解説の文春文庫版「点と戦」を購入する!
いやあさすが有栖川有栖である。
解説を読む為だけに買ったのだが、値打ちがある。
ミステリの解説はこうでなくてはならない。
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by kazuo_okawa | 2017-02-04 20:47 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)

羽生三冠の思い!

このほど発表された、羽生善治三冠のお連れ合い羽生理恵さんの、三浦弘行九段の件についての連続ツイートしているのが素晴らしい。

その中で「将棋ファンの皆様にお願い」として「ファンの皆様、お力をお貸しください」とも書かれている部分が胸を打つ。

いわゆるスマフォ疑惑事件(私は、竜王戦挑戦者交代事件と呼ぶべきだと思っている)で、将棋界の至宝羽生善治三冠がいかに利用されてきたかがよく分かる。
それは(島理事を介して事実上)羽生を呼びつけた渡辺竜王しかり、また三浦復帰戦の対戦者に羽生とした連盟しかりである。

それは同時にあまりにも悲しい印象を受ける。

理恵さんは、自身もネット被害に遭い、その背景のもとにツイートされたのであろう。
羽生の真意が実に良く分かる。

私が将棋ファンであることは知人や関係者には知られている。
この間、その人達は私にどのように述べたことか。
「三浦さんは、証拠がなかったからスマフォを使っていないとされただけで、本当はやっていたんでしょうね」
こういう言葉をどれほど聞いたことか。
そしてこういう疑念をいまだ残しているその責任者は誰なのか。

まずは、この誤った疑惑を連盟や関係者は全力を挙げて払拭すべきである。
次いで、復帰戦に際し、両対局者が万全の体勢で望めるように環境を整えることであろう。


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by kazuo_okawa | 2017-02-04 00:05 | 将棋 | Trackback | Comments(0)