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by kazuo_okawa

2016年 11月 15日 ( 1 )

評判の映画と聞きながら、いざ実際に見るとそうでもないということがある。
現に今年、そこかしこで噂され今年ベストワンと聞くので、時間をやりくりして見にいったが「面白くないことはないがベストワンは無いだろう」という映画もあった。

しかしこの「ハドソン川の奇跡」はそうではなかった。
クリント・イーストウッド監督と、名優トム・ハンクスがタッグを組んだ映画であり、評判通りの名作であった。

2009年1月15日、USエアウェイズがニューヨーク・マンハッタンの上空850メートルで制御不能になる突然の全エンジン停止という危機に見舞われながらも、ハドソン川に不時着して乗客155名全員が生還したいわゆる「ハドソン川の奇跡」の実話を元にしている。

私は連れ合い(元航空関係者)より、当時からその「奇跡」を聞かされていた。
例えば、危機管理マニュアルは、エンジンが一基壊れたときのみのマニュアルしかなく、全てのエンジンが壊れたときのマニュアルはない。
全てのエンジンが壊れるのは想定していないからである。
また、着陸ではなくて着水がいかに高度なテクニックを要する至難の技か、無論、パイロットもスチュワーデスも着水の訓練などはしていない。
そして着水は少しでも傾けば沈んでしまう、などなど…。
要するに、まさしく言葉通りの想定外の危機が生じた中で、そこで選択したパイロットの判断とその実行!!

つまりこれがいかに「奇跡」かということを聞かされていたから、そもそも、乗客の命を救ったパイロットの瞬時の判断、その技術など奇跡を生んだそのこと自体が感動させるのである。

ところが物語は主人公サリー機長の“ハドソン川着水”を、アメリカ国家運輸安全委員会は、乗客を危険な目に合わせた容疑者として扱われ、事態はサリー機長の責任問題へと発展する。

委員会は、空港へ引き返す選択があったという。
機長はマンハッタン上で、空港へ向かえば、高層ビルに激突し、大惨事となり、ハドソン川の着水しかないと主張する。
しかし、委員会は当日と全く同じ条件でシミレーションを繰り返し、空港への着陸が可能だったことを立証する。
理論的には空港に着陸出来る。

だがこのとき、またしても危機を救うサリー機長の逆転の一言があっと言わせる。

【以下、ネタバレしていますのでご注意ください】

つまりあとからの事後調査の検証(実験)はすべて当時の状況がわかった上での、シミレーションである。
事件当時は、管制塔からの指示もない。
何もない。
しかも想定外のことが起こった!
全てパニック状況の中でパイロットが判断しなければならないのである。

機長が静かに言い放つ。
「ヒューマンエラーかどうかを調べるにもかかわらず、このシミレーションには人間的要素が落ちている」

つまり、人間は、コンピューターと違って、状況を分析し判断するのに「時間がかかる」というのである。
委員長は了解する。
そこで「35秒やろう」という。
つまり、判断に要する時間は35秒だというわけである。
副機長は、35秒では無理だ!というが、機長は受け入れる。
そして…。

まるで良質の法廷ミステリである。
ここからのクライマックスがいい。

当日、機長は、乗客がすべて脱出するのか確認するために最後の最後まで(沈みゆく)飛行機の中をくまなく確認する。
そして最後に脱出する。
これぞ、プロ中のプロだろう。

今年の名作の一つであることは間違いない。



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by kazuo_okawa | 2016-11-15 23:38 | ミステリ | Trackback | Comments(0)