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[ 2016-06 -17 00:06 ]
2016年 06月 17日 ( 1 )
大変、素晴らしい判決である。
訴えていたK氏は、私たちが担当し最高裁で勝利した関西訴訟の元原告である。
K氏は、勝訴後、チッソから慰謝料800万円を受け取り、2011年には水俣病患者に認定された。
本来、認定されると①チッソとの補償協定か②公健法に基づく補償のいずれかを選択して受け取ることができる。
K氏は補償を請求したが、県は2013年に不支給の決定をした。
K氏は県を相手に訴訟をしたが、第一審熊本地裁は棄却していた。
福岡高裁判決(佐藤明裁判長)は補償給付に関する公健法の規定について、賠償を受けた場合でもあくまでその価格を限度に支給義務が免除されるにとどまるとし、「原因企業が弁済しても、障害補償によって補填される損害が全て穴埋めされたとはいえない」と判断した。
我々からすれば、当然の判断であるが、政府が水俣病の幕引きを図り、さらには国策(原発政策、戦争政策、TPPなど)を強行しようとしているときに、その幕引きを許さず、且つ国策から生じた被害の救済を正しく図るものでその意義は大きい。
K氏とは違って前記の①を選択し、その拒否の違法を問う訴訟を現在担っている私たちにとってもその意義は大きい。
佐藤明裁判長に拍手を送りたい。
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