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by kazuo_okawa

2014年 01月 28日 ( 1 )

「イメージと読みの勝負観」シリーズの3巻が発行された。
将棋専門誌「将棋世界」の人気連載シリーズをまとめて再編集したものである。

内容は、基本的にはある将棋の同じ盤面図を、トップ棋士6名に示して
その場面をどう見るか、どのように評価するかの意見を聞くもので
全く同じ盤面図を見ながらも、トップ棋士の感じ方の違うのが面白い。

それが過去の名棋士(例えば升田幸三・実力制第4代名人)の盤面図であったりすると、過去の将棋観との違いも含めて、なお、面白い。

そのシリーズ第3巻を読み始めたのだが、冒頭に出てくる
渡辺明2冠王の「合理主義」的な考え方が印象に残った。
渡辺は、普段の研究でも限られた時間の中で、自己の戦法とかけ離れた研究は余りせず
自己に役立つ研究を効率よく行っていることがわかる。

我々弁護士も専門家として、日々の情報収集・勉強が必要であるが、膨大な情報を
いかに効率よく吸収するかを考えている身としては、渡辺2冠王の考え方は
正直なところ、大変共感を覚えるのである。

また渡辺は対戦においても、闘う相手を見て、こちらの戦法を考える、というものであり
これもある意味で、極めて合理的な考え方と言える。

それを示す発言が面白い。(そのまま引用する)
「振り飛車党相手に僕は初手2六歩と突きますから。だって、それなら余計な心配することないもん。」
「逆にいうと、振り飛車党に対して初手7六歩と突くのはもう意味がないんですよ」

「ないもん」という言い方も含めて面白いですよね。

渡辺のこの言葉の意味するところは、将棋ファン以外には面白くないだろうから省くが
渡辺2冠王は、ここまで割り切って指しているのかと、読んでいて驚く。
ある意味で清々しさを覚えるのである。

ところが、同じ書物で、谷川浩司九段は違う考えを示す。
谷川は「盤上、この一手」を追求する棋士である。
彼はズバリ言う。
「相手を見ながら指し手を変えるという姿勢はどうなのかと思う」と。
わずかな言葉であるが、「谷川美学」が浮かび出ている。

そういえば、将棋界の名エッセイスト老師・河口俊彦が
かつて、谷川を(サムライでなく)お公家様と表したことがある。
これは、谷川の美しさを追求する姿勢を表現したものであり、
そこには評価しつつも、勝負師(サムライ)なのか、との意味も含まれている。

谷川と渡辺には、共に「中学生プロ」(これは史上4人しかしない)であることと
同世代で突出している(同世代のライバルがいない)という共通項がある。
しかし、渡辺は徹底的に合理主義であり、
谷川は美しさを追求するという
違いがある。

私には、どちらも興味深い。
by kazuo_okawa | 2014-01-28 23:34 | 将棋 | Trackback | Comments(0)