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by kazuo_okawa

2013年 12月 31日 ( 2 )

2013年春に行われた「将棋電王戦」5番勝負は
人間の頭脳とは何かを考えさせる
大変、素晴らしい企画であった。

そのときに、コンピュータ将棋ソフト「ツツカナ」に
惜しくも敗れた船江恒平五段 が
リベンジマッチとして、同じツツカナ相手に
大晦日に、再戦したのである。

ニュースに寄れば、その「電王戦リベンジマッチ」は、
途中まで前回の対局と同じ形で進み、
中盤でツツカナが飛車を見捨てて強攻に出たが、
駒得になり優位を築いた船江五段が押し切って勝利した、という。

ツツカナは前回と同じバージョンというのが
「リベンジマッチ」の条件であり、
対策を練れる船江が有利だ言う声もあったようだが
船江には「連敗は出来ない」という、
極めて「人間的な」プレッシャーのあることを考えれば、
船江有利とは決していえまい。

それにしても途中まで、前回と同じというのが
なかなかに面白い。

何故なら、リベンジしたい船江は、当然対策を練ってきている。
船江が前回と同じというのは当然であろう。

対して受けて立つツツカナである。
ツツカナが人間なら色々と考えるところであろう。
ところがコンピューター・ツツカナは
「相手の狙いをはずす」というような
極めて「人間的な戦法」はとらない、
というのが面白いのである。

ときあたかも「将棋世界」最新号で
羽生三冠王がコンピュータプログラマーと対談している。

羽生は相変わらず忙しいであろうに
こういう企画にも応ずるところに、毎度のことながら感心する。

それはさておき、
その対談において、コンピューターは
形勢判断を「楽観的」に見るというくだりに
大変興味深いものがあった。

「楽観的」に見るから、ツツカナは前回と同様の手を
指していったのであろう。

それにしても「楽観」「悲観」はどこから来るのであろう。
人は将棋の手を指した瞬間
「あっ、しまった。別の手を指すべきだった」と思って
悲観的になることがある。

しかしコンピュータはそんな過去のことは思わないし
無論、手を悔いることもない。

コンピュータには「今」しかない。

確かに、「過去」も「未来」も考えなければ
「悲観」もあるまい(そもそも考えないのであるから)。

しかし、それは人間的では無いだろうし
そもそも、進歩は無い。

そうすると
「悲観する」と言うこと自体には
決して、そう悲観すべきことではないのかもしれない。
by kazuo_okawa | 2013-12-31 22:09 | 将棋 | Trackback | Comments(0)
表題の映画を観る。

「トルナトーレが仕掛ける極上のミステリ」という
謳い文句通りの、上質のミステリであった。

主人公は、美術品鑑定士。
その彼に美術鑑定を求める「依頼人」が、何故か顔を出さない。
やがてその依頼人が顔を表し、主役の鑑定士がその依頼人に惹かれていくのだが
両者の感情の起伏と共に、二人の関係がどうなるのかという
展開が引きつける。
そして、衝撃のラスト。

まさしく、「発端の謎」
「中段のサスペンス」
「結末の意外性」と
まさに、絵に描いたような「ミステリ」である。

(以下、少しネタバレしています)

ミステリの場合、活字向き、映像向きと分かれることがあるが、
本作は、まさしく映像向きのミステリである。

数々の名画を散りばめた部屋、
オートマタと呼ばれる機械仕掛けの人形を復活していく場面、
そして何よりも、もう一人の主人公、
顔を見せない「依頼人」がその姿を見せる場面などは
まさしく映像ならではの醍醐味であり、それゆえに魅せる。

終盤、主人公が騙された事が分かるクライマックスの場面
つまり、とある部屋の場面なのでが、これもまた
映像ならではの迫力である。

このように本作は、まさしく「映像向き」であると同時に
ミステリの類型としては
「謎」自体が、ミスデレクションという型である。
しかし、それは作者が仕掛ける「叙述型」ではない。

無論、全てのミステリは、多かれ少なかれ作者が仕掛けるものであり
そもそも「叙述型」ミステリの映像化はなかなか難しいものであるが、
私自身は、「謎」をミスデレクションとするこの類型は、叙述型も含めて、
大いに好みなのである。

更に、ミステリの醍醐味は、クライマックスの、
その「謎解き」にある。
本作はそれも素晴らしい。

「ネガ」と「ポジ」を一転させる、その種明かしが
劇的であればあるほど、その意外性の度合いは増す。

本作では、そのキーは間違いなく「記憶術の天才」であろう。

一見、この物語の序盤、中盤では、単なる味付け役のように見えながら
しかし見ていて妙に印象が残る。

そして、ラスト。
店のマスターが、その記憶術の天才に対して
その名前を呼んで、呼びかけたとき、まさにそのとき、である。

私は、その名前を聞いた瞬間
本格ミステリ特有の心地よい衝撃におそわれた。

全ての構図が逆転する。
まさに、名作である。
見事である。

ところで、この映画の新聞広告は頂けない。
「女は恐ろしい」などとの感想があがっていたが
これは真相を暗示するでしょう。
こういう広告は頂けません。

映画終了後、購入したパンフレットを読むと
「大物俳優をつかっていることから
真相は分かるでしょう」と、言う意味のことも書いてあった。

あのね、土曜ワイド劇場ではないの!

ともあれ
ミステリ・ファンには、間違いなくお薦めの一作です。
by kazuo_okawa | 2013-12-31 00:28 | ミステリ | Trackback | Comments(0)