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by kazuo_okawa
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法曹の資質

1月10日付朝日新聞の「時時刻刻」欄に
<法科大学院、乱立と半減 誤算の20年、司法試験合格は期待以下>
という見出しの記事が出ている。

政府の司法制度改革審議会が2001年に示した法科大学院の理念として、
「学生の豊かな人間性の涵養、向上」「実際に社会への貢献を行うための機会を提供」
とし、当時の司法試験は合格率3%の超難関で「知識偏重」との批判から脱却を試みたが、タイトル通り,「誤算の20年」であったというものであり、記事自体は是非お読みいただきたい。

さてこの法科大学院構想に当時私は必ずしも賛成ではなかった。
何といっても法曹人口(とりわけ弁護士人口)が増えるがそれでいいのかという疑問である。
推進派は、<競争があれば質は高くなる>という論理を振りかざしていたが、そういう単純な論理にも抵抗があった。

さらに興味深かったのは司法制度改革審議会が示した法曹の質の問題である。

次のように書かれている。
<司法を担う法曹に必要な資質として、豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門
的な法律知識、柔軟な思考力、説得・交渉の能力等に加えて、社会や人間関係に対
する洞察力、人権感覚、先端的法分野や外国法の知見、国際的視野と語学力、職業
倫理等が広く求められることを踏まえ、法曹養成に特化した教育を行う法科大学院
を中核とし、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた新たな法曹養成
制度を整備することとし、そのための措置を講ずる。>

この<必要な資質>については、当時すでに法曹になっていた者とすれば、身が引き締まるくだりであった。

ただこの資質が従来の超難関制度では養成できず、法科大学院を中核とする制度こそ養成できるとあらば、その点にいささか引っ掛かったものである。

結局、こういう「豊かな人間性や感受性」以下のまるでスーパーマンかと思う資質は「制度」によって生み出されるというものではない。

生涯にわたって勉強し、身に着けていくものであろうものと思われるのである。

by kazuo_okawa | 2025-01-11 10:00 | Trackback | Comments(0)