小林節慶応大学名誉教授の新著のタイトルである。
私は小林節氏が、いわゆる「戦争法」を巡って反対の立場を旗幟鮮明にされたことに共感し、そして2016年の参議院選挙の時には立候補された小林氏を応援した。
もともと自民党と「改憲」の勉強会をしてこられた経緯から、一般的には「保守的な憲法学者」と見られていた。
私もそのように見ていたが、実際にお会いしてみると、実に考え方が明解である。
憲法学者ゆえ、憲法の役割(権力者を縛る)を知った上での「専守防衛」の明記であり、海外戦争も目論む安倍改憲とは全く根本的に違う。
その小林氏が、これまでの付き合いからして自民党議員を良く知った上でのタイトルなのである。
副題は<「無知」と「無恥」の法破壊>。
これも自民党議員を念頭においてのことだろう。
本書は、日刊ゲンダイの連載をまとめ加筆したものだが、「はじめに」にその思いが伝わる。
「真の保守を自認する人に気づいてほしい。」と保守派を念頭においていることをまず述べる。
そして、「本来の「保守」は、正しい歴史認識をもって、よきものを守り発展させていく立場のはずである。」
「私の知る保守派は、知的で礼儀正しく、正義感と他者への思い遣りがあった。」
「だから、真の「保守」派の人々こそ、誇りを持っていまの政治を叱り飛ばすべきである。」「「モリ・カケ・桜・東北新社」など、一連の政治スキャンダルはもはや度を越えている。」
「公僕である官僚までが権力者の下僕に成り下がった感がある。」…。
中身は分かりやすく、そして、まさに小林節(ぶし)で痛快である。
多くの人に読んでほしいと思い、心から推薦します。