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by kazuo_okawa

藤井二冠、3連覇の見どころ

2月11日、藤井聡太二冠が朝日オープン杯に優勝した。
準決勝で渡辺明名人(三冠)を破り、決勝で三浦弘行九段を破った。
いずれも逆転勝ちであり、観戦していて大変面白く、興奮を掻き立てる将棋である。
そして藤井二冠の王道ぶりがいかんなく発揮された。
何といってもこれが第一の見どころだろう。

つまり、対渡辺戦は相掛かりとなるも後手の藤井二冠が横歩を取った後、21手目渡辺名人は端1筋から突っかけたのが新手であり、解説三枚堂達也七段がすかさず指摘した通り、渡辺名人の事前研究による用意の作戦である。

それは決勝の三浦九段も同じ。
横歩取り後手番として41玉とうけ、藤井二冠が24飛と戻ったあとに角交換。
この激しさも事前研究だという。

要するに2局とも、対局相手が(しかも一人は名人ですよ)、事前研究を重ねてぶつけ、藤井二冠がそれを受けて立っているのである。
この構図だけで、誰が真の強者かは明らかだろう。

第二の見どころは、まるで劇画のような逆転勝ちであることだ。
AIの評価値が1対99と絶体絶命の場面もあったが、主役藤井二冠は簡単に負けない。
二局とも粘り続けて逆転勝ち。
そしてこのスリリングな逆転勝ちであることはAI評価値があることから、観戦者に可視化してくれる。

しかもAI評価値が「4億手の読み」と「6億手の読み」の違いからAIを超えたと藤井新棋聖が絶賛されたのはまだ一年にもならない。
そして今やAIは4億手、6億手どころか、40億手、60億手、100億手となり、それでも評価が揺れ動くのであるから、逆にAIが絶対的なものでないことも「可視化」された。

だからこそ原点にもどって、藤井二冠の示す、粘り強い勝負手が怪しげな光を放つのである。


by kazuo_okawa | 2021-02-12 15:12 | 将棋 | Trackback | Comments(0)