本日付け毎日新聞総合面青野由利氏の論考が興味深い。
<「十分な科学的知見に基づいているとは言えない」。厚生労働相の加藤勝信さんの言葉に、えっ?と思った。>という見事な書き出しで、先の広島地裁判決をめぐる政府の対応のおかしさを指摘してる。
先の広島地裁判決とは、原爆が投下された直後に降ったいわゆる「黒い雨」をめぐり、国による援護を受けられる区域の外にいた住民や遺族合わせて84人が健康被害を訴えた裁判で原告全員を被爆者と認めたものである。
私自身は、判決を読んでいないのでニュース限りの知識だが、青野氏が指摘する「(判決要旨を読むと)こちらの方がよっぽど科学的だ」というのはおそらくそうなんだろうなと想像できる。
経験上、行政訴訟において、裁判所が行政側を敗訴させるときは、かなり論理的で緻密と感ずるからである。
だからこそ、青野氏の論考に共感し、そうならばこそ「十分な科学的知見に基づいてない」という加藤大臣の指摘は、え?となるわけだ。
そもそも、コロナ対応を見れば、安倍政権は、経済優先の場当たり政策であり、どこに「科学的知見」があるというのだろうか。
「科学的知見」などの言葉のもとに批判されても、「あんたには言われたくない」としか言いようがない。