いやあ、まさしく「将棋は逆転のゲーム」である。
だからこそ、見ている者にとってはこれほど面白いゲームはない。
(私は世界中のゲームの中で一番よくできたゲームだと思っている)
第60期王位戦第2局。
豊島将之王位に木村一基九段が挑戦している。
木村九段は実力者であり何度もタイトル戦に登場している。
そしてこの一局に勝てばタイトルホルダーになるという一局を、なんと8回も逃している。
解説名人として人気の高い棋士であり何とかタイトルをとってほしい、と思っているファンは多い。
そのような中で迎えた第2局。
初戦を落とした木村九段にとってタイトル奪取のために重要な1局である。
しかしこの対局、木村九段がうまく指し、豊島王位・名人が苦しい序中盤の中、終盤逆転し、見事に勝利した。
いやあ、なんというのだろうか。
終局後、木村九段が、肩をガックリと落としている姿が実に痛々しい。
将棋ファンなら知っている通り木村九段は無類の実力者である。
その実力者が何故にタイトルをとれないのか!?
どこに理由があるのか。
タイトル奪取する棋士とそうでない棋士とどこがどう違うのか、その理由はわからない。
しかし、木村九段を支持するファンの中には、<努力しても報われない>社会を体現している人たちも少なからずいるだろう。
木村九段の肩を落とした姿は残念ではあるが、多くのファンの胸を打ったこと自体は間違いないだろう。
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