デイリースポーツのネットニュースに興味深い記事が出ていた。
<読売テレビのニュース番組「かんさい情報ネットten.」で10日、コメンテーターの作家・若一光司氏が、お笑いコンビ・藤崎マーケットが男性か女性かわかりづらい人の性別を知るために免許証を見せてもらうなどして確認したことに対して、「許しがたい人権感覚の欠如。よくこんなもん放送できるね」と怒り心頭に発し、生放送でスタジオが静まりかえる事態になった。>というものである。
これは若一氏の指摘が正しいだろう。
このニュースの詳細は記事をお読みいただきたいが、その中で私が気になったのは「…弁護士がいたが、誰も一言も発せない」の下りである。
そもそもこういう問題は(激怒するというパフォーマンスを見せるかどうかは別として)弁護士こそが指摘すべきことだろう。
人権擁護は弁護士法にも記載された弁護士の役割である。
多数の者を敵に回しても弁護士は人権擁護を貫く。
ところが、若一氏の指摘に、弁護士が何も「発せない」というのであるから、余りにも情けなすぎる。
「司法改革」という名のもと法曹人口を5倍増とし(かつて司法試験合格者は年間約500人が約2500人までになった)、弁護士が急増。
中には、<弁護士の社会的役割を忘れ、単なる「一商売」になった>若い弁護士が増えてきたなどともいわれるが、これは激増の中、事務所維持を第一に考えざるを得ないところに追い込まれているのであり、若い弁護士の責任ではない。
そういう制度を作った者たち(最終的には国民となるが)の責任が大きいだろう。
しかし、テレビに出るくらいのネームバリューのある弁護士は、<弁護士>の役割を期待しているのであろうから、果敢に人権擁護に資してほしいと思うのである。
もっとも、今やテレビ局が弁護士に期待している役割は、<弁護士>ではなくて<タレント>なのかもしれないが、いや、それにしてもである。
【5月14日追記】
今朝の朝刊を読むと、同番組は謝罪し、問題のコーナーは当面休止することにしたという。若一氏が指摘しなかったらどうなっていたのだろうか、と思ってしまう。