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by kazuo_okawa

手品師のジレンマ!

モリかけ事件の一方、加計事件の真相判明の勇気ある功労者ともいえる前川喜平・前文科事務次官の道徳講演が素晴らしい。
それを報ずる記事の中で、道徳教科書の内容を知る。

前川氏の講演は「道徳の教科化」(2018年度から移行措置期間、2020年度から小学校で完全実施)についての疑問を呈示したものだが、道徳の教科書に載っている「手品師の話」というのがひどい。

 <腕は悪くはないのだけれども売れない手品師がいて、いつかは大劇場で沢山のお客さんの前で演じたいと思っていた。ある日、道を歩いていると、寂しそうにしている少年に出会う。彼は父親が亡くなり、母親が働きに出ていて、一人ぼっち。手品師は少年を喜ばせてあげようと手品を見せたら、その子がすごく喜んだ。「明日も見せてくれる?」と言うので「ああ、いいとも」と約束した。
 ところがその日、帰宅すると、電話がかかってきた。
「明日、大劇場で手品をやってほしい。予定の芸人が病気になって、突然出られなくなった」と。手品師にビッグチャンスが訪れた。
 でも劇場に行けば、子供とした約束が果せなくなってしまう。そういうジレンマを抱えた手品師は、劇場に行くのを断って少年の元に行き、たった一人のために手品をした。>

これが、「約束を破らなかった手品師は、誠実ですばらしい」という話として紹介されているらしい。

前川氏は、「自己犠牲が正しい」という一つの徳目だけを押しつけることを批判する。
その批判は正しい。

しかし幼少からのマジックファンとしては、別の観点から腑に落ちない。

こんなマジシャンはいない!

無論、約束を守るマジシャンなどいない、と言っているのではない。
<大劇場にたつ><子供にマジックを見せる>
腕のいいマジシャンなら、普通は、この両方を実現しようと考えるだろう。

<一見不可能な事を実現する>そのトリックを考えるのがマジシャンだからである。
しかもこの状況は、マジシャンなら普通に実現できる。

つまり、大劇場にたちながら、子供にマジックを見せることはマジシャンには極めて容易なことである。
無論この場合、子供には、「対面で」見せるわけではない。
…例えば、子供には、「使い」をよこすなどして、「封筒」を渡す。
その「封筒」の中に、子供への指示と、そしてメンタルマジック!

これは一案である。
しかし、マニアも含めてマジシャンならば、むしろこの「ジレンマ」を楽しみ、すべてが実現するという格好の妙案を考えつくだろう。

そう、我慢してはいけない。
犠牲は良くない!
すべてが幸せになる方法を考える。

そう考えると、教師にとって腕の見せ所たる「教科書」かもしれない。
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by kazuo_okawa | 2019-02-09 09:17 | マジック | Trackback | Comments(0)