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by kazuo_okawa

木村教授、藤井七段に聞く!

朝日新聞1月3日付け朝刊に「藤井聡太七段に憲法学者・木村草太さんが聞く」という大変素晴らしいインタビュー記事が出ている。

何故にこのインタビューが素晴らしいかと言えば、聞き手の木村草太首都大学教授が無類の将棋好きであることから、将棋愛に満ちて将棋ファンとして聞きたい点を的確に聞いているからである。

そのことは例えば次の質問で分かる。

藤井七段が詰将棋を解くときに「頭の中に将棋版を思い浮かべていない」という点について詳しく聞いているのである。
何故ならこれは熱心な将棋ファンにとって最近のテーマだからである。

実は、昨年、白鳥士郎氏が藤井七段にインタビューをしている。
『りゅうおうのおしごと!』の作者である白鳥氏は、熱心な将棋ファンであり、<棋士は誰でも『脳内将棋盤』を持っているが藤井七段はそうでないと述べていた>ことをとらえて、その点を藤井七段に聞くのだが、藤井七段の「盤は思い浮かべない」という回答を引き出した後、
<――詰将棋を解くときなどはどうです?
「詰将棋は読みだけなので、盤面を思い浮かべるという感じでは……」
――えっ? ……私のような素人だと、詰将棋を解くときこそ将棋盤を思い浮かべるというか……むしろ手元に盤駒を置いていないと解けないくらいなんですけど……。>
というやりとりで終わっているのである。

白鳥氏のインタビューは大変良いインタビューであったが、熱心な将棋ファンにとっては何でここで終わるのか、ここを更にもう少し聞いてほしいと思ってしまう。
つまり消化不良なのである。

そのことを知った上で、木村教授はそこを詳しく聞いている。
だから素晴らしい。

<高速で盤面を動かしているわけでもない。>
<指し将棋では形勢判断では盤面の重要性は上がる。>
<手を読むときには必ず言語思考は使う。>
<先手の勝率が高いのは人間同士の対局なので心理的な要因があるかもしれない。>
<選択の幅が広がったときに成果を感ずる。>
<小学生には「将棋は自由度の高いゲームなんだよ」と伝えたい>
<心に残っている棋士の言葉は「感想戦は敗者のためにある」>
…。

藤井七段の素晴らしい回答を引き出したのは木村教授ならではの名質問だったからだろう。

活字になっていない部分に、おそらく楽しい将棋談義が交わされたに違いない。

【追記】

『月刊大阪弁護士会』(2016号6月号)「将棋と憲法―木村定跡この一手」(木村草太教授)において、私が木村草太教授にインタビューしています。いかに、木村教授が熱心な将棋ファンであるかわかって頂けるかと思います。
大阪弁護士会HPにアクセスして頂き、トップページの「読み物」をクリックして頂けると読めます。是非アクセスしてください。
他に私がインタビューしている記事は、2018年12月号久保利明王将。
2014年5月豊島将之七段(当時)。
併せてお読みください。
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by kazuo_okawa | 2019-01-04 09:28 | 将棋 | Trackback | Comments(0)