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by kazuo_okawa
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羽生善治と”AI世代”

20日に放映された「羽生善治と”AI世代”」 は、将棋界の絶対王者羽生竜王の素晴らしい考え方と、その羽生竜王を倒すにはどうあるべきかということがよく分かる番組である。

番組は、佐藤天彦名人との今期名人戦、豊島将之八段(当時)との今期棋聖戦を中心に進むが、タイトルの”AI世代”にはあまり意識しない方がよい。

結局は「AI」を離れたところで、絶対王者羽生を倒すからだ。

羽生竜王の考え方が分かるのは次の言葉である。
「テニスのラリーをしていて、一番厳しいコースに打たれて、それを返せたときが一番嬉しい。一番厳しいコースに打ってくれないと楽しくないではないですか」

羽生竜王は、ただ勝てばよい、という考えはしていない。
現に、四年前の王座戦で豊島八段相手に防衛しながら、つまり勝った将棋でありながら「面白くない将棋を指してしまった」と感想を述べているのである。
そのとき豊島八段は、「頑張った将棋を、『面白くない』と言われてかなり悔しかった」と述べている。

ではその豊島八段が、羽生竜王の厚い壁をどう破るのか。

番組は、名人戦と並行して進む。

名人戦は、佐藤名人からみて1勝2敗となって第四局。
名人が不利な状況である。

第四局が佐藤名人の地元で行われたとき、佐藤名人は、子供時代を思い出し、子供ころのように将棋を楽しんでいるかと振り返る。

そして、結果を求めることは肩に力が入りすぎる、良い作品(将棋)を作ることが重要と次のように気付く。

「偉大な先輩と『良い作品』を作りたい。作品を作るという視点からすれば羽生さんは最高の相手」
そういう心境に至った佐藤名人は、第四局から3連勝して見事、名人位を防衛する。

一方の豊島八段。
羽生棋聖を倒すために、「出来るだけリラックス」することが重要であると考える。

豊島八段は、棋界で一番,AIで研究している棋士だが、棋聖戦最終局には、ソフトの研究も減らし、「自分らしさを生かそう」と対局に臨むのである。

そして、重要な最終局に、41飛という意表をつく一手を放つ。

これは42玉の底に位置し「玉飛接近すべからず」の格言にも反する。
この一手の後、最終的には豊島八段の初のタイトル奪取となるのである。

しかし、この41飛に対して、羽生棋聖が対局時に思ったことがこれまた秀逸である。
「こういう手が世の中にあるのかと思って感心した」

羽生棋聖は、推測だがと前置きをしながら、この一手は,ソフトの発想ではない、豊島さんならではの一手だろうと述べるのである。

絶対王者自身が、「勝つこと」よりも、より高い次元での戦いを求めている。
その絶対王者に勝つには、「勝つこと」にとらわれていたのでは絶対に勝てない。

佐藤名人の防衛と、豊島八段のタイトル奪取は、その何かが、何なのかが浮かび出される。

将棋とは、勝負とは、実に奥深いものである。
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by kazuo_okawa | 2018-10-22 22:13 | 将棋 | Trackback | Comments(0)