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by kazuo_okawa

樋口英明元裁判官の静かなる咆哮

原発を止めた裁判官として名高い樋口英明元裁判官が月刊誌「世界」10月号に「原発訴訟と裁判官の責任」と題する論考を発表している。

樋口氏は私と法曹の同期であり、彼の下した「原発指し止め判決」の素晴らしさは、私のこのブログでも紹介した。

その判決は高裁で逆転されているが、それもふまえての樋口論考である。
実に興味深い論考であり私自身大いに参考になった個所もある。(注)

樋口論考は、まず裁判の争点を指摘する。原告主張の「原発敷地に強い地震が来るかもしれない」のに対して電力会社は「将来にわたって原発敷地に強い地震は来ない」と反論していることは、つまり「強い地震がくれば原発は耐えられない」ということを両者とも前提にしているということである。

樋口氏はこの事実に「このこと自体、私には驚きであった」と述懐している。

そして、原発が、耐震構造の自宅やビルよりも弱いことを指摘し、「これだけ危険なものを停めない」という「蛮勇」を、私は持ち合わせない、と言い切る。

この「蛮勇」の下りは、彼に対する「原発を止めるという勇気ある判決をした裁判官」という「称賛」に対する彼なりのウィットである。

論考は、高裁判決批判や、判決後の家裁配転、そして(樋口氏は圧力と感じていないが)、裁判官研究会など「圧力」「忖度」の仕組みがそれとなく書かれている。
静かで、言葉を選んだ論考であるが、今の司法に対する彼の「咆哮」が読みとれるであろう。
反原発運動をしている方のみならず、司法の現状を憂いている方は、ぜひとも「世界」を購入してはしい。

同号は、原発問題のみならず、沖縄問題、そして「安倍政権ファクトチェック100」もあり大変読みごたえがある。

繰り返すが、ぜひ「世界」を購入・購読してほしい。

(注)私が参考になった一つに「伊方方式」がある。
私が担当している水俣病訴訟で、ひどい判決の一つに「伊方方式」を使った判決があったが、樋口氏の論考にそれを使う裁判官の心理などが実に興味深かった。
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by kazuo_okawa | 2018-09-10 22:42 | 司法・ニュースその他 | Trackback | Comments(0)