世論を誤導する調査なるもの!
2018年 02月 20日
安倍首相は今国会を「働き方改革国会」だと公言して、「モリかけスパ隠し」のネーミングをしたことは記憶に新しい。
裁量労働制は働き方改革法案の一つである。
今国会の改革とは裁量労働制を拡大しようとするものだが、そもそも裁量労働制とは、実際に働いた労働時間と関係なしに「8時間」働いたとするものであり、つまり何時間働いても残業代は出ない。
私たちは、労働者は際限なく残業が増えていわば「過労死推進」と批判している。
ところが安倍首相は、裁量労働制で働くと、一般の労働者より労働時間が短いと述べていた。
しかし、その根拠がデタラメであったことが明らかになり、安倍首相は撤回して詫びた。もともと法案推進のためのデーターねつ造ではないか、と疑われているのであり、撤回すればよいというものではないだろう。
詳細は省くが、裁量労働制の労働者が一般労働者の労働時間より21分短いという調査結果は、実は、そもそもの質問がデタラメであった。
つまり、一般労働者には、「実際に働いた最長の労働時間」を聞き、裁量労働制の労働者には「平均労働時間」を聞いていたのである。
これでは裁量労働の方が短くなることは誰でもわかる。
ではデタラメ質問の調査結果による、世論の誘導は他にないのか!
そんなことはない。
著名なのが、死刑制度に関する世論調査の誘導である。
日本の世論は死刑制度容認だ、と日本国民自体が思わされている。
では内閣府が5年に一度行っている、死刑に関する世論調査の質問はどのようなものか。
「ア、どんな場合でも死刑は廃止すべきである」
「イ、場合によっては死刑もやむを得ない」
「ウ、わからない、一概に言えない」
この3択から選べという内容である。
明らかに死刑制度容認に導く、不当な質問だろう。
私は拙著「裁判と人権」(一葉社)において、2013年以来その指摘をしている。
メディア・マスコミが今回のデーターねつ造を批判するのは正しい。
しかし、ならば同じように、他の不当な調査についても批判すべきだろう。
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