大津事件に考える!
2017年 10月 08日
大津人権大会の帰路、大津事件の記念地に立ち寄る。
大津事件とは1891年(明治24年)5月11日に日本を訪問中のロシア帝国皇太子・ニコライが、滋賀県大津で警備にあたっていた警察官・津田三蔵に突然斬りつけられ負傷した暗殺未遂事件である。
当時の列強の1つであるロシア帝国の艦隊が神戸港にいる中で事件が発生し、緊迫した状況下で、行政の干渉を受けながらも津田は死刑を免れ無期徒刑となった。これは司法権の独立を維持したとして著名な事件である。
人権大会当日も会場のホテルのコーナーには、大津事件の資料などパネル展示されていた。
司法権の独立を守ったとして名高いが、津田被告人の動機を始め「謎」が多い事件である。
時あたかも、今年ミステリ界では「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」(松岡圭祐著)がヒットした。
これはホームズの帰還の謎や、この大津事件の謎に挑み、伊藤博文とホームズの出会いを絡めて大津事件の謎を解明するという実にスケールの大きいパスティッシュなのだ。
大学時代の知識の他、この著で大津事件に馴染んだのだが、その思いから記念地に足を運んだ。
「司法権の独立!」
明白な憲法違反があっても「統治行為論」の名の下に裁判から逃げる。
しかしそれは。「裁判からの自由」であっても「法的判断からの自由ではない」。
昨日、石川教授の講演にあった言葉である。
無論、統治行為論のみならず、行政に忖度したと感ずる裁判は少なくない、との思いを持つ法曹関係者は多いだろう。
皮肉なことに、今こそ、大津事件の精神、司法権の独立が問われるときなのである。
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