東野圭吾「雪煙チェイス」を読む!
2016年 12月 23日
ストーリはシンプルであるが今回も実にうまい。
主役は、殺人の容疑をかけられた大学生の竜実。
彼のアリバイを証明できるのはスキー場で出会った美人スノーボーダーただ一人。
警察は竜実を追いかけ、竜実はそのアリバイ証人を追いかける。
果たして竜実は彼女を見つけ出し、無実を証明できるのか?
【以下ネタバレ注意】
東野は、今回は、都会を舞台に、そこからスキー場に足を運ばせるということを考えたという。
そのためにどうするか。
スキー場にアリバイ証人、それを追いかける竜実、竜実を追いかける警察
という枠組みを作り上げたのだろう。
まるで「真夏の方程式」のような作り方である。
東野の引き出しの多さから、これくらいのサスペンス、どんでん返しは朝飯前、という感じである。
非常に面白い。
私が感心するのは、主役の友人をして語らせる警察の冤罪の作り方、である。
実にその通りでありリアルである。
一旦かけられた疑いを晴らすのは大変難しい。
エンターテインメント小説でありながら、冤罪の怖さをさりげなく示している。
そして題名の雪煙チェイス。
ストーリーは雪煙の中の追跡(チェイス)。
若い人の中には気付かない人もいるかもしれないが、
この雪煙は、雪冤(冤罪を晴らすこと)にひっかけている。
見事である。
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