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by kazuo_okawa

新本格の重鎮「深泥丘奇談・続々」!

表題は綾辻行人氏の新作である。
同氏は京大ミス研出身作家である。
綾辻氏は、新本格の旗手として売り出したが、今や「重鎮」である。
私は彼を全面的に応援しているが、私自身は初期の「館シリーズ」などをはじめ、いわゆる新本格作がどれも面白く、好きである。

私にとって評価が難しいのが、いわゆる、ホラー系である。
この系統は正直言って私の好みでない。

綾辻氏の作品でなければまず読まないだろう。

かつて綾辻氏の初期作品に、「目玉を突き刺す」物語があり、私は参ったことがある。
そういう感想も氏に述べた。
まあ、とにかく、私はこういう、ホラー系には弱いのである。

全く余談だが、かつて私の事務所に勤めて頂いた女性事務員さんが、虫も殺さぬようなしとやかな感じながら「ホラー系大好き」というのに驚いたことがある。
そのときに、所詮フィクションの世界ゆえ、この種の「(ホラーの)驚き」が、エンターテインメントとしてのある種の爽快感に結びつくのか、と考えたものである。

とすれば、新本格であっと驚かせるのも、ホラーであっと驚かせるのも、作者からすれば(驚かせるという意味で)同じなのかも知れない。
これは私にとっては(ミステリ論として)新たな発見であった。

…と思いながらも、それは違うだろう、とも思うのである。
おそらく綾辻氏はそういう共通観で「驚かそう」と思っているのとは違うと、私は思っている。
いつぞや「綾辻行人論」を評論したいと思いつつ、しかしこの点が、なかなか難物なのである。

とはいえ「アナザー」が綾辻さんらしい傑作である、と私は思っており、またそこに「綾辻行人論」の鍵が凝縮されていると思っている。
まあ、こういうことを言うと、熱狂的綾辻行人ファンには「違うぞ!」と怒られるかもしれないが…。

さて、「深泥丘奇談・続々」
登場人物などその他綾辻氏の回りの人物・事柄をモデルにしているのだろうと思え、しかも、ストーリーの中心たるホラーは身近な無気味さ(謎)によっている。
その意味では、先の、「目玉を突き刺す」物語のような、まるで身体が拒否反応をおこすような「無気味悪さ」ではない。
そこは工夫されている。
そして全体的に読みやすい。
むしろ適度に気味悪く読み進める。
ここが、この作品の魅力なのである。

それにしても、作者の身の回り風の「ホラー」を物語化したという発想自体が凄い、と改めて思うのである。

お薦めです。
是非お読み下さい。




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by kazuo_okawa | 2016-08-17 00:55 | ミステリ | Trackback | Comments(0)