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by kazuo_okawa

憲法という希望~満員御礼

5月14日大阪弁護士会憲法記念行事「憲法という希望」は800人収容の大阪弁護士会館2階フロアが一杯になる文字通り満員御礼であった。

なんと言っても著名な木村草太教授とNHKクロースアップ現代のキャスターを長く勤められた国谷裕子氏のネームバリューのお陰である。
無論、安倍政権のもと「憲法改正」の危機感がその背景にあることは言うまでもない。

木村教授の講演と国谷キャスターとの対談は実に素晴らしいものであった。
この長時間の内容を、紙面の関係上そのごく一部だけお伝えする。

昨年、多くの人に知れ渡った「立憲主義」について、木村教授は、蟻川恒正教授の文献を引いて「中世立憲主義」と「近代立憲主義」の違いを述べる。
立憲主義の段階には三つある。
第一段階は国家不在の無秩序のときは、内戦が収まらない。
第二段階は主権国家の確立である。ここで内戦は収まるが、新たに王の専制をどう規制するかという問題が生ずる。そこで貴族が権利章典を守らせたのが中世立憲主義である。
しかし、依然として主権国家による国民の弾圧という問題が残る。
そこでそこで第三段階として近代立憲主義が確立し、人権の尊重と権力分立がうたわれる。

この第三段階の立憲主義を具体化するものが「立憲的意味の憲法」ということであるが、これは過去に国家がしでかしてきた失敗のリストである、と木村教授は分かりやすく説明する。
即ち、無謀な戦争の失敗から「軍事力の統制」、人権侵害の失敗から「人権保障」、権力独裁の失敗から「権力分立と民主主義」。
この、「軍事力の統制」、「人権保障」、「権力分立と民主主義」を含んだものが立憲的意味の憲法である。
木村教授は具体例を引いて、木村理論と政府理論の違いを説明するが、結局真に憲法を守らせるには、最後は、国民ひとり一人が憲法を権力に守らせていくしかない、という。

対談で国谷キャスターが、憲法は大変難しいと述べ、そもそも憲法は何のためにあるのか?と尋ねたとき、木村教授は「憲法は難しく考えることではない。憲法が目指しているのは、いろんな価値観、いろんな考えを持った人が、共存出来る社会をつくること。普通にテレビが見られる、町を歩いていてもいきなり逮捕されることはない。そういう社会を作る為のもの」と述べられた。
つまり、今、当たり前に生きられるのも憲法のお陰というわけである。

そして「専門家はきちんと合理的に説明する義務がある。市民で分かる言葉で説明するのが専門家である」と締めくくられたとき満員の会場から大きな拍手が起こった。

木村教授が多忙なところ出来る限りマスコミに出演したり、講演の依頼に応じておられるのはこういう精神からであろう。

憲法に希望をいだき、立憲主義を守りたいものである。




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Commented by kumano_kodo at 2016-05-15 20:27
対談の模様は録画配信されませんか?
Commented by kazuo_okawa at 2016-05-16 10:26
申し訳ありませんが予定していません。
by kazuo_okawa | 2016-05-14 22:58 | 出来事いろいろ | Trackback | Comments(2)