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by kazuo_okawa

樋口陽一・小林節「『憲法改正』の真実」をお薦めする

実に素晴らしい組み合わせである。

集英社新書から発売された標題の著は二人の憲法学者の対談であり、一気に読ませる。
しかもその立場は違う。
樋口氏は名だたる護憲派であり、
一方小林氏はつい先頃まで自民党議員の勉強会にも招かれるいわゆる改憲派である。
その二人が『憲法改正』について対談したのである。

互いの考えの違いは容認しながら、その二人が、今まさに進行している安倍首相の『憲法破壊』がいかにひどいことで、いかに乱暴であるかと思いを同じくする。
安倍首相のしたことは、とうてい許せない立憲主義と民主主義の破壊なのである。

そして自民党改憲草案の古くさい『旧体制』回帰指向を的確に指摘する。

面白いのは、安倍首相の昨年4月のアメリカ連邦議会演説で安倍首相の言葉を取り上げて皮肉っていることだ。
つまり、安倍首相が日米同盟を「法の支配、人権、そして自由を尊ぶ、価値観を共にする結びつき」と述べたくだりである。
しかしこれは、自民党改憲草案と全く整合性がつかない。
アメリカ人が、自民党改憲草案を知ったら、日本も北朝鮮と同じだったのかと驚愕するだろうと指摘されている。

自民党改憲草案は、復古主義と新自由主義とが奇妙に同居する怪物キメラのような存在である。
その中身のひとつ一つの問題点がわかりやすく説明されている。

しかも自民党議員が根本的に『憲法とは何か』がわかっていない、という指摘が怖い。

そして、今、課題となっている「緊急事態条項」は決して『お試し改憲』ではなく、人権を奪う『本丸』だということを的確に指摘している。

近時、災害などで緊急事態条項がいるように言われるが、法律で対応出来るのであり、これを憲法に入れるのは全く間違いである。
むしろ危険すぎる。

その他随所に興味深い対談である。

是非、多くの人に本書をお勧めしたい。
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by kazuo_okawa | 2016-03-24 22:45 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)