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by kazuo_okawa
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古谷野敦「このミステリーがひどい」がひどい

古谷野氏は、おそらくミステリファンから非難が来ることを予想して、或いは楽しんで、本書を書いたのであろう。
そうでないと、40年以上もミステリを読むことは無いだろうし、さらには、著者の挙げる推理小説ベスト7がこんなにユニークなものにはならない。

毎年、年末に各社揃って、ミステリのベストテンが選ばれるが、その中で、西村京太郎氏と赤川次郎氏はどんなに売れても選ばれることは、まず無い。
これは暗黙の了解事項と言われることすらある。
古谷野氏は、ミステリファンなら知っているその事実を知った上で、その西村氏をわざと一位に置いている。
こういうところが憎い。
更に中町信氏と折原一氏は、ある独特のトリックの名手であり(私は実は好きなのだが)、一般には「引っ掛け」の類で、まあいってみれば正統派でない。
その両者をベスト7中、2作も挙げている。
とまあ、なかなか侮れないのである。

私は、ホームズ、東野圭吾、泡坂妻夫のファンであり、古谷野氏がこれらを批判するのはいささか気にかかる。
しかし古谷野氏は、まあ、いってみればそもそもワイン嫌いなのに、各種ワインを評しているというか、或いは、そもそも野球が嫌いなのに、巨人や阪神の面白くない点を挙げているようなものである。
ミステリといういわば「作り事」の楽しみを、そのお約束ともいう「作り事」自体を批判しているのが多い。
出来るだけミステリの楽しみと関係の無い部分を例にとれば、例えば古谷野氏はとある東野作品を批判して「しかしこんなに仲のいい夫婦というのがいるのだろうか」という。

こんなことを言えば、全てのミステリを批判出来る。
作り物だからどうしても、作っている部分はある。
従って、その作り物部分を指して「しかし、こんな……はあるのだろうか」といえば全てのミステリを批判出来る。
いわばどんな俳句も作れるという「…根岸の里のわび住まい」ですね。

そもそも古谷野氏は、パズルや将棋は嫌いだと明言しているから、物事の「楽しみ」の感性が私とは違うのだろう。
そう思ってよめば、なかなかに興味深いのである。

それにしても、我が京大ミステリ研作家を挙げていないのが残念である。
(小野不由美氏は出ているが、ホラー作品を褒めている)



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by kazuo_okawa | 2015-09-10 22:03 | ミステリ | Trackback | Comments(0)