この「同盟」に誰が「希望」を持ちえるのか。
2015年 05月 02日
私は毎週木曜日と金曜日は大学で朝一番の講義をしているため朝刊をじっくりと読む時間はない。
そこで本日、安倍首相演説の全文をゆっくりと読んだ。
凄い構成である。
岸信介エピソードを枕にして、「エイブ」ネタから、アッキージョーク。
そして注目の第二次大戦メモリアル。
命を落とした米軍兵を追悼し、かつての敵が今日の友であることを賞賛する。
ここの下りが凄い。アメリカ絶賛である。
そしてアジア。
何を語るかと思えば、いわゆる「痛切な反省」の一言。
歴代総理と変わらない、と付け加えるのだが、全く本意で無いだろうことは、流れる文意(アメリカ絶賛が続いたあとの一こまに過ぎない)から分かる。
そのあと、TPP、構造改革、同盟ミッション、積極的平和主義と、国策の課題が並ぶのだが、それぞれに十分な議論が必要な問題であるにかかわらず、何故にこういう断言が出来るのだろうと思わざるを得ない。
そして、最後もアメリカ絶賛で締めくくる。
トモダチ作戦に希望を与えてくれたと評し、
アメリカが世界に与える「最良の資産」が「希望」であり、日本も力合わせる同盟を「希望の同盟」と呼ぼうと締めくくる。
絶望的な気分である。
あまりにも情けない。
そもそも、戦後、この地球上で、もっとも戦争をしたのはアメリカである。
アメリカの爆撃にどれほど多くの民が命を失い、そして、そして悲しみにあけくれたか。
安倍首相には「殺される側」に思いを致すことは決してないのだろう。
真にトモダチならアメリカの誤りを正さねばならない。
しかし、安倍首相には、そういう視点は全くない。
ただひたすらにアメリカに追随する。
情けないとしか言いようがない。