「第三者暴力行為」への対策
2014年 12月 10日
第三者暴力行為とは、鉄道の車両や駅構内での暴力事件を言う。
駅員が被害に遭うことが大変多い。
通常、一般に犯罪を起こすのは、20歳前後の若者が多い。
しかし、この第三者暴力行為は、分別あるはずの40代、50代が多い。
酔っているケースも多い。
私が思うのは、ある種の「消費者原理主義」である。
「消費者へのサービス第一」への裏返しとして、職員に過度な要求を行い、それが認められないと、抗議し、やがては暴力へと発展する。
第三者暴力行為を行った者が、自己を正当化することもよく見られる。
もう一つは、第三者暴力行為によって、交通労働者が被害を受ければそれは「労災」であるということである。
ならば、他の労災同様、防ぐ為の啓発その他の施策と万が一そういう事態が起こったときの十分な保障が不可欠である。
そういう意識が、労働者に対して安全配慮義務を負う会社にあるだろうか、ということである。
まあそういった問題意識をもって講演したのだが、会場は満員の上、熱心に聞いて頂いた。
しかも、予め、質問時間を取ってほしいとのことだったので、その時間を残したところ多くの質問をして頂いた。
少しでもお役に立てば、本当に嬉しい。
以下、話した内容の骨子をあげます。
1.第三者暴力行為の定義
(1)交通労働者の法的立場は、乗客に対し運送契約(その付随義務としての安全配慮義務)を履行する会社の、履行補助者
(2)暴力をふるう乗客は単なる犯罪者。
(3)第三者暴力行為の特殊性
2,第三者暴力行為から身を守る手法
(1)情報の共有
(2)特殊性をふまえた広報・啓発活動
(3)暴力行為が発生しやすい状況下での対応
(4)ガードマンその他巡回強化。
(5)最初はお客様・刺激しない対応など
(6)防犯カメラの法的位置付けとその利用
(7)防犯ブザー、警察直通通報ブザー
(8)警察との連携
(9)労働者の安全を守る会社の義務
3,第三者暴力行為をうけてしまったとき
(1)暴力事件発生直後の迅速な対応
(2)毅然とした対応とは何か
(3)被害者(交通労働者)の損害賠償請求権
(4)会社の損害賠償請求権
4,会社と交通労働者の関係
(1)「感情労働」
(2)会社の労働者に対する安全配慮義務
(3)本来は、会社と客の関係で生じたものゆえ、本来、会社が対応すべきもの
5,行政の役割
(1)「交通」の公共性
(2)交通政策の在り方
(3)第三者暴力行為は「労災」である。他の労災同様、労災を無くす、啓蒙・啓発をはじめとする施策の必要