人気ブログランキング |

私の趣味やニュースの感想など好きなことを発信するブログです


by kazuo_okawa

行政書士会での講演~そして大阪高裁平成25年1月17日判決

依頼を受けて先週、行政書士対象の講演に赴いた。
タイトルは
「被相続人の意思を実現するために~遺言執行と死後事務委任」

新しく立ち上がったばかりの行政書士会館で
満員の聴衆(全て行政書士)の前で講演する。

相続は歴史的には「身分的地位」の承継であった。
しかし今日では、死者(「被相続人」という)の財産を帰属させるための制度であり、
財産が(プラスでもマイナスでも)なければ、相続は問題とならない。
一方、被相続人が財産あるとき、
被相続人が何もしないのであれば、民法(相続法)のルールによる。
被相続人が自分の意思を実現する為に何かを行う、つまり表題の意思を貫くための手法としては「遺言(単独行為)」か「契約」による。
そしてこれらの方法しかない。
無論、契約といっても、色々なパターンがある。
死因贈与契約、生命保険契約、死後事務委任契約、信託契約における信託など色々ある。

行政書士の皆さんが熱心に聞いて頂き講師としては有り難い。
しかもその関心は実務的なことでした。
つまり表題の通り、遺言執行と死後事務委任契約。
これは同時に、行政書士が、新たな仕事として取り組んでいることが伺えます。

とはいえ、弁護士法72条の問題は避けて通れない。

弁護士法72条とは、弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件(略)、その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない、というものでいわゆる「事件屋」「示談屋」などを禁止し、もって、市民の権利を守る制度である。

弁護士法72条を簡単に説明し、そして
大阪高裁平成25年1月17日の判決を紹介した。

講演後、質問もあり、注目すべき判決ゆえ、以下に掲げます。

「行政書士法1条によると、行政書士の制度は、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することが目的とされるが、同法上、すでに法的紛議が生じているか又は生じることがほぼ不可避である他人間の法律事件に関する法律事務について、行政書士が関与することを想定した条文はなく、弁護士法72条の上記趣旨を満たす措置(能力担保、法律事件への介入を前提とした倫理規程等)も制度的に講じられていない。

また、この点につき、行政書士法1条の2、1条の3とほぼ同一体裁の規定がある司法書士法(3条が上記規定に相当する。)と対比、参照すると、同法においては、いわゆる一定の能力が担保されるなどした認定司法書士(同法3条2校)に限り、簡裁訴訟代理等関係業務(同法3条1項~8号)を行うことができるとされており(弁護士法72条ただし書の『別段の定め』に該当する。)、認定司法書士でない司法書士においては、例えば、民事に関する紛争であって紛争の目的の価額が140万円を超えないものについての相談(同法3条1項7号)にも応じることができないものとされている(同法3条2項)。

そして、同条1項5号には、司法書士の業務として、同項1~4号の事務について相談に応ずることが掲げられているが、同条の構造からすると、この相談は、依頼者の依頼内容につき法律的に整序するためのものに限り、これを超えて他人間の法律事件に介入する内容に渡るものは、これに含まれないと解される。

立ち返って、認定司法書士のような制度のない行政書士法にあっては、他人間の法律事件に関する法律事務について、行政書士が相談に応じ、請求書等の関係書類の作成を行うことは一切許されていないというべきである。

そうすると、事実証明に関する書類の作成であっても、すでに法的紛議が生じているか又は生じることが不可避である案件に関して一定の法的見解の提供を伴ってなされる書類の作成については、行政書士が報酬を得る目的でこれを業とすることは、弁護士法72条本文において禁止されているものとして行政書士法1条の2第2項に該当するため、同法1条の2第1項の範囲外であり、弁護士法72条ただし書により許容されることはなく、同条本文により禁止される。」


.

トラックバックURL : https://okawakazuo.exblog.jp/tb/22350331
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by kazuo_okawa | 2014-09-01 22:30 | 司法・ニュースその他 | Trackback | Comments(0)