人気ブログランキング | 話題のタグを見る

私の趣味やニュースの感想など好きなことを発信するブログです


by kazuo_okawa

第24回世界コンピュータ将棋選手権・Aperyの優勝~コンピュータ将棋に見る「流れ」の意味

第24回世界コンピュータ将棋選手権の決勝リーグ戦が5月5日に行われた。
決勝に残ったソコンピュータフト8チームの総当たりリーグ戦である。
優勝はApery。
昨年優勝のPonanzaは2位、YSSが3位である。

5局終わって、優勝候補本命のPonanzaは全勝。
ところが6局目に土がつき1敗。
一方、Ponanzaの対抗馬はすでに2敗しているため、Ponanzaが最終局に勝てばそのまま優勝、負けても対抗馬も敗れて3敗になれば優勝という場面であった。

以上のような状況で、優勝決定は最終局にもつれ込むが、Ponanzaの最終戦の相手はYSSであった。
YSSはこの段階で、3敗しておりもはや優勝はない。

PonanzaとYSSといえば、先の人間相手の将棋電王戦でコンピュータ側のチームメンバーである。
Ponanzaは大将、YSSは三将であり、人間との団体戦は4勝1敗で圧勝した。
コンピュータ側からみれば唯一負けたのがこのYSSなのである。
人間ならば「おい、しっかりしろよ」とでも言いたくなる場面であるが、無論、PonanzaがYSSにそんなことを言うことはない。

さて、コンピュータ将棋は人間同士の将棋とは違う面白さがある。
コンピュータは何が違うのか。
違う点は幾つもあるだろう。

私が興味深く思うのは、人間は、「流れ」を重視する点である。
長年の経験や推理から、しらみつぶしに枝葉までを思考するのではなく
「流れ」を重視して、ある種、思考を「省略」する。
しかしこれは、人間の知恵である。
例えば、飛車先の歩の交換を目指して歩をつき相手がこれに応じたとき当然飛車で相手の歩を取る。
またある変化で相手の大駒をとれるとき、その場面が来たら当然その相手の大駒を取る。

それまでの手の流れからすれば、当然行くべきところはいくものである。
しかしコンピュータはそうではない。
コンピュータは手の流れなど関係無しに、その場面、その場面で、計算して(そのコンピュータソフトなりの)最上の手を指すからである。

これがある意味で意表をついて面白い。

丁度、「錯視」や「だまし絵」を見る面白さに似ている。

さて最終局は、優勝に関係のないYSSが猛攻してPonanzaを下し、Aperyが逆転優勝した。

まるで「相手にとって重要な一局は全力を尽くす」という米長哲学を見る思いであるが、無論、YSSは「米長哲学」は知らない。
by kazuo_okawa | 2014-05-05 18:25 | 将棋 | Trackback | Comments(0)