ソチ開会式に見る、人権か国家か
2014年 02月 09日
アメリカ、イギリスなど欧米主要国の首脳は参加していない。
ロシアの反人権政策に反対してのことである。
ロシアは、昨年、同性愛宣伝禁止法を成立させたが
誰を愛するか、それが異性か同性かなどはそもそも個人の嗜好であり
国家が関与すべき事ではない。
それが「自由」というものである。
同法は「宣伝禁止」とはいえ、同性愛を否定的に見ていることは間違いない。
まさしく、少数者(マイノリティ)に対する人権侵害きわまりない。
欧米主要国首脳が、いち早く抗議し、ソチ・オリンピックの開会式に参加しなかったのは人権を尊重するという意思表示であろう。
私は、欧米主要国で、必ずしも人権が十分に守られているとは思わないが、明らかに少数者の人権が侵害されているとき、それに抗議し、その意を表すというのは一つの見識であろう。
逆に言えば、主要国の中で開会式に参加した日本と中国は世界でどのように見られるか。みんなが、反人権だと批判して欠席しているときに、のこのこと出て行くですから、普通は、人権に配慮していない、と取られますよね。
もっとも、安倍首相には、世界がどう反応するかとの視点は全くないのだろう。
靖国参拝では、周囲が反対したにもかかわらず、「自分の記念日」という個人的理由で参拝したのですからね。
むしろ、2020年オリンピックとも絡めて、「日本」「国家」を意識付けさせるチャンスだと思っていよう。
北方領土を巡ってのパフォーマンスをするチャンスだとも思ったろう。
同性愛宣伝禁止法を批判されたプーチンは、これは「人口減少策」だと説明した。
何やら、安倍首相の「少子化対策」を思わせる説明である。
「人口減少策」も「少子化対策」も必要かもしれない。
しかし、それは、国家が、個人の自由な領域である「家族の在り方」にまで口をはさんではいけない。
それは、個人の自由、個人の人権に対する国家の侵害である。
安倍首相は、国家主義、古い家族観など、プーチンと通ずるところが多いにあるに違いない。