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by kazuo_okawa

ベンチャー企業は解雇規制を緩められるか

1月17日の朝日新聞の記事に寄れば、
特定の地域で規制をゆるめる「国家戦略特区」を具体的に指定する方向で検討することになったという。
これまでも解雇規制緩和に関しては、労働側は猛反対してきたものであり、このまま無批判に地域指定させてはならないであろう。

ところでそういう立法問題とは別に、従来から、使用者側は、ベンチャービジネスを誘引するためには解雇規制を緩やかにすべきとの論陣を張っていた。

日本労使関係研究協議協会(JIRRA)は、個別労働紛争の自主的解決促進に向けた人材育成にかかる研修を2005年度から実施している。
2006年度から始まった労働審判の審判員候補者もこの研修で学んでいる。
私は、初年度から毎年講師をさせて頂いており、1月11日(土)も3時間講師をさせて頂いた。

いつも関心するのだが、テキスト・事例が大変よい。
コンパクトにうまくまとめてあり、事例も時宜にかなうように、適宜リニューアルされていく。
今年も2例変更があったが、その一つが、「ベンチャー企業の整理解雇」であった。

社会的な話題にも関心を持たせようというものであり、議論させる題材としてはよく分かる。
前述の通り、企業家の中には、ベンチャービジネスを誘引するためにも、労働者の解雇を緩やかにすべしとの意見もある。
ベンチャーに入った以上、労働者もその覚悟はしているでしょう、と主張するものもある。

それやこれやで大変いい事例問題なのであるが、次の最新判例は知っておくべきであろう。

東京高裁平成25年3月21日判決(日本通信事件)である。
同判決は、いわゆる整理解雇の4要件(要素)を一つひとつ判断し、
整理解雇の必要性と被解雇者3名の人選基準については「理由あり」としたものの、
「米国型ベンチャー企業の特色が色濃く、退職金制度もなく、年俸制を採用しているなど、終身雇用的な長期雇用を前提とした人事制度は採用していない」とする会社側の主張を「採用することはできない」とし、「整理解雇の実施にあたっての控訴人(会社)の解雇回避努力義務の履行は不十分なもの」、整理解雇の説明義務などの手続面にしても「まず結論ありきの性急で強引な進め方であり、十分な検討に基づき必要な説明がされていたものとは到底認められない」として、整理解雇は無効であるとした。

つまり、ベンチャー企業だからといって解雇規制を緩められないのである。

だからこそ、使用者側は、規制緩和の「特区」を求めているのである。

非正規労働者の増大という雇用の不安定な労働者が増えている。
安定した労働は、生きていく上で最低限の基盤である。
これ以上、不安定労働者を増やすことは日本社会に大きな危機をもたらすであろう。
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by kazuo_okawa | 2014-01-19 18:52 | 労働 | Trackback | Comments(0)