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by kazuo_okawa

「トリック - ラストステージ」はラストになるか?

映画「トリック - ラストステージ」を観る。
仲間由紀恵と阿部寛のコンビで続いた人気シリーズの劇場版最終編である。

14年前、ドラマ「トリック」が深夜にテレビ放映が始まったとき
仲間も阿部も無名の俳優であったが、いまや二人とも超一流の人気俳優である。

ミステリ・マジック・笑い、といったものが好きな私としては
「トリック」は贔屓のシリーズであり、この「ラストステージ」も面白かった。

本作は、「偉大な奇術師にして絶対的なサイキックハンター」フーディニーへの
オマージュだという。
そうだとすれば、奇術マニアとすれば、尚更見逃せない。

しかし、本作冒頭に述べられるフーディニーのエピソード
(①彼はサイキックハンターとして活躍したが②本当は、愛する母の死後に、霊界の母からの交信をしたいために真の心霊術師を探していた、そして、③フーディニーは亡くなる直前、妻に、もしも霊界があるなら一年後必ず交信すると約束した)
は、必ずしも正確ではない。

フーディニーは愛する母の死後に霊界からの交信をしたいために真の心霊術師を探してい
たが、いずれも偽物であったため、今度は一転してサイキックハンターとなったのである。
つまり前記①②は逆である。

本作では、死後一年後のエピソードなど、フーディニーが若干、「真の心霊術」を信じているかのように描かれているが、親友であった「シャーロック・ホームズ生みの親」コナン・ドイルと、心霊術を巡って「喧嘩別れ」したことを考えるとこれは信じられない。
妻への伝言も、心霊術を本気で信じて発したものでは無いだろう。

とまあ、フーディニーのエピソードだけはどうしても一言触れておきたい。

ともあれ、このエピソードに関係なく、さすがにシリーズ最終編。
細かいところ(ギャグ、パロディ、お遊びなど)も含めて面白い。

そのそも、この「トリック」シリーズは、あまり難しいこと言わずに
マジシャン山田奈緒子と物理学者上田次郎の掛け合いや、パロディ・お遊びを
素直に楽しむのが一番である。
その意味でも、ラストステージは大変面白い。

<以下、ネタバレしています>

さて物語のクライマックスは
主役のマジシャン山田が本作の最後にみんなを救うために、
自らの命をかけて、ガス発生源を爆発させる(つまり「自爆」する)。
(ここが、本作の涙を誘う場面であり、私自身は、もっとも違和感を感じた部分であるが、それはまた、別途、論じたい。)

私が指摘したいのは、果たして、「自爆」の必要があるかどうかと言う点である。

空中の静電気で爆発するくらいに上空まで大量にガスが貯まるから、広範囲に大爆発するのである。そこで、ガスが空中まで広範囲に広がる前に爆発させる必要はあるだろう。
しかしだからといって、わざわざガス発生源のところまで行って、そこで爆発させなくてもよい。
例えば、洞窟の入り口のところに、「種火」をつけておいて、そこまでガスが来れば、自動的に爆発するようにしておく(無論、山田はその間に逃げる)とか、いかようにも方法はあるだろう。

そういう普通の「疑問」を考えれば、果たして、山田は「自爆」したのか。

ここからが重要である。
映画では、確かに山田が「自爆」したように伺える。
しかしこの「自爆」は、山田以外にその場に誰も目撃者がいない。
そうであれば、真相は誰も見ていないので、必ずしも「自爆」したとは限らないのである。

とすれば、山田は脱出したかもしれない。
ましてや山田は、売れていないとはいえ、マジシャンである。

こう書くと、本作冒頭のエピソード、
マジシャン山田の、「脱出マジック」を思い出す。
これは結局は、山田は「脱出」出来なかったが、実は、
「失敗」を引っかけられた「どっきりカメラ」だったのである。

これは物語全体の真相を暗示していると考えるべきであろう。

とすれば、「脱出失敗」と見せかけて、実は「全体が引っかけ」であった、となる。

そうすると、物語の真相は、山田がどこかで生きている、ことになろう。

現に、ラストに、南の島で記憶喪失の女性が発見、というニュースが告げられている。

一年後の上田次郎のエピソードは、山田が戻ってきたかどうかについては真相不明のままで終わっているが、実際は、山田が出てくる可能性はあるのである。

思えば、この「トリック」シリーズは、ファンの支援のもとに、
言わば、ファンが大きくしていった物語といえよう。
そうであれば、ファンのアンコールがあれば、マジシャン山田は戻ってくるに違いない。

考えてみれば、山田の「自爆」は、あたかも、シャーロック・ホームズが、ロンドンを、犯罪者から守るために、宿敵モリアティ教授とともに、ライヘンバッハの滝へ落ちた事件を思い出す(無論、ホームズは自爆などばかげたことはしないが、結果的には「自爆」に似ている)。

そしてご存じの通り、シャーロック・ホームズは、「最後の事件」のあと
ファンの期待のもとに還ってきた(Return)。

同じである。
ファンの期待があれば、きっと、マジシャン山田は還ってくる(Return)だろう。

私には、「トリック - ラストステージ」には
Returnするための伏線が、あまりにもあり過ぎるように思えるのである。
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by kazuo_okawa | 2014-01-15 00:53 | ミステリ | Trackback | Comments(0)