人気ブログランキング |

私の趣味やニュースの感想など好きなことを発信するブログです


by kazuo_okawa

森内俊之竜王・名人の語る渡辺明2冠王の「合理性」

「将棋世界」の最新号(2014年2月号)を読む。
森内名人が「竜王位」も奪取した後の
インタビューが良い。

森内名人は謙虚である。
年下の渡辺竜王から、竜王位を奪取し
名人・竜王とまさしく棋界の第一人者に成ったにもかかわらず
実に謙虚である。

技術解説も興味深い。
例えば第一局、後手4四金の後の変化について
渡辺は、7七銀引きと読み
森内は、7七金直と読んだという。
王の回りに金銀が集まるか
或いは離れるか、真逆の発想である。

素人目にいつも驚くのは
バラバラであった金銀がいつの間にか
王の回りに固まってしまう渡辺のプロの技である。
一方、森内は、金銀が王から離れ
これでいいのかと思うのだが
不思議にゆったりと王を守っているという、これまた至芸である。

いずれもアマチュアにはとうてい真似の出来ない技術であるが
この二人の将棋観の違いが先の通り
読みを異ならせたのである。

こういう技術解説もよかったが、一番面白かったのは、
森内の語る渡辺の将棋観である。

将棋という勝負は、かつては、番外戦も交えた極めて「人間臭い闘い」であった。
大山康晴第一五世永世名人の、タイトル戦前日からの心理戦も含めた番外戦は有名である。
例えば、大一番の前日にもかかわらず、何事もないように、前夜祭の夕食を
皆の前で、目一杯たいらげる。
このことによって、対戦相手を圧倒するのである。

しかしてそのトリックは、大山は、その日の昼食を抜いて
夕食に備えていたのである。

こういった大山の番外戦は今では「伝説」とも成っている。

しかしそれは、時代と共に、将棋は「番外」で闘うのではなく
真理を追究するような勝負に変わっていった。
例えば谷川浩司第一七世永世名人は、番外戦は行わず
加えて「美しく勝つ」ということにこだわった。
これは「盤上この一手」という最上の一手を追求する美学である。

そして、「谷川以後」に登場した渡辺は、
「運」も「ゲン担ぎ」も「調子」も信じず、
合理主義の極致に達したような棋士である。

ところが、森内の語る渡辺の合理性が興味深い。
森内曰く、
渡辺は、相手を見て、無理な仕掛けでも
(適切な応答を)やってこないと思えば仕掛けるという。
渡辺は、番外戦こそやらないが、
決して、「(対戦相手を離れた)盤面最上の一手」を目指すのではない、
ということがわかる。

これは、巡り巡って、人間臭い大山流でないのか。

渡辺の意外な「合理主義」に驚いた次第である。
.

トラックバックURL : https://okawakazuo.exblog.jp/tb/21541136
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by kazuo_okawa | 2014-01-06 23:54 | 将棋 | Trackback | Comments(0)