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by kazuo_okawa

検事の「証人テスト」という名の「打ち合わせ」

本日(1月5日)の朝日新聞の一面トップ記事が良い。

「検事、裁判証言誘導か」
「出廷前の共犯者に」
「宮城殺傷・死刑判決」
という大きな見出しとともに
検察が証人に対して行う「証人テスト」の問題点を鋭く指摘している。

「証人テスト」といきなり書いても、一般には
何の事か分からないかもしれないが
要するに、検察側証人が、本番の法廷で証言する前に
その証人に対して、検事が行う事前打ち合わせの事である。
では何故「打ち合わせ」といわないのかと言えば
「打ち合わせ」と言えば
「ああ言いなさい」「こう言いなさい」と証言する内容を
誘導するようにとられてしまうので
「証人テスト」と呼ばれている。
つまり誘導したりするのではなく
あくまで客観的にテストするに過ぎない、というわけである。

しかし、問題はこの「証人テスト」は「密室」で行われるということである。

そこに本当に誘導はないのか、と鋭く指摘したのが
本日の朝日の記事であり、しかも
2010年の3人殺傷事件で死刑判決を受けた事件の裁判員裁判で、
そのとき検察側証人に立った証人(共犯者)が
「証人テスト」で、「犯行は計画的」証言するように迫られた、
ということを報じている。

密室の証人テストでこのような誘導が行われると
冤罪を生みかねず、とうていあってはならない。

更に朝日は、
別事件であるが実際の取調の録音テープを入手し
その約3時間の録音データには、
刑事裁判をゆがめかねない大津地検検事(当時)の
証人テストでの発言が記録され、それは
証言の誘導や司法取引まがいの交渉、そして証人への圧力、
であるとしている。
そして、朝日は、
同じような問題点はほかの裁判でも指摘されており、
適正な証人テストを求める声が高まっている、
と結んでいる。

朝日が報じた「証人テスト」の問題性は
弁護士の間では古くから知られているところであるが
一般には知られていない。
それを具体的な事件に照らして問題にし、
しかも録音テープを元にしているというのであるから
朝日の記事は素晴らしい。

このニュースを見て思いだしたのが約30年前
私が担当した「貝塚事件」である。
貝塚市のビニールハウス内で生じた
強姦・殺害事件という悲惨な事件の
冤罪事件であるが、その有罪判決、控訴審逆転無罪判決後の
再審事件公判のことである。
そこでの検察側証人が、事件から何年も経っているのに
法廷での証言があまりにも明瞭すぎた。
私が反対尋問で、証言前に事件の記録でも読んできたのか
という趣旨の質問をしたが、証人は無論否定する。
そこで続けて、検事さんと会ったでしょう、と聞いても
証人は、いいえ会ってません、と否定するのである。

面白かったのはこのときである。
公判検事は、あわてて、何と証人に対して
「そういうことは、本当のことを話していいんですよ」
と述べたのである。

このエピソードは、検事の発言もさることながら
その証人自身が、「証人テスト」自体も秘密にしておくものと
思いこんでいた事を物語る。

では、その密室で何が行われていたのか。

「証人テスト」の問題点は
約30年後の今も変わらないのである。



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by kazuo_okawa | 2014-01-05 23:55 | 司法・ニュースその他 | Trackback | Comments(0)