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by kazuo_okawa

羽生善治「迷いながら、強くなる」

羽生三冠王の新著を買う。

本の帯の謳い文句は
「自分の頭で考えた答えが、人間を強くする」

確かに、羽生三冠王ほど、常識、既成観念、先入観にとらわれず
常に自分の頭で考えた者はないだろう。

不利といわれる、後手の初手6二銀を
羽生は、あえて本番で何度も採用したという。

このこと自体にまず驚く。

勝負に生きる男が、本番で、あえて不利な戦法を
わざわざ採用するのである。
結果、不利であることが分かるのであるが、
羽生は、実践で採用したことにより、実際に不利がよく分かったと
肯定的にとらえる。

これほど先入観にとらわれない、自由な発想もないだろう。

ところが羽生自身は、先入観にとらわれない生き方をしつつ
その一方で、「先入観はなくした方がいい」ということ自体が
立派な先入観かもしれない、と自省するのである。

ここまで行けば、参りました、と投了するしかない。

羽生の終盤の強さを、人は「羽生マジック」という。
その連想からか、羽生は知人から、マジックのビデオを送られたり、
マジシャンのマジックを見る機会があるという。

そしてマジシャンから種明かしをしてもらうこともあるようだ。
実は、マジックのトリックは多くは単純なものであり、
種明かしをされて、なあんだ、と失望することが少なくない。

ところが、羽生はマジックの種明かしを知ったときに
むしろプロの技術、努力、研鑽、洗練さに感心しているのである。

そこも凄い。

いやあ、それにしても、羽生ほどの超多忙人物が
新著を発行するということ自体が驚きであり、
まさしくこれこそ、羽生マジックである。
by kazuo_okawa | 2013-10-11 01:14 | 将棋 | Trackback | Comments(0)