万引き犯・顔写真公表にみる危険な兆候
2013年 05月 26日
万引き犯を捕まえた店がその犯人の顔写真を
店に掲載し、1万円の罰金を店に払わないと
ずっと写真掲載を続けるという。
そこに法的な問題点はないか、という質問である。
商売をしておられる経営者が万引きに悩まされる話は
よく聞き、それはそれで大変だなと思うが
だからといって何をしても許されるというものではない。
「私は万引き犯だ」とした顔写真を掲載するのは
プライバシー権・人格権の侵害にあたる。
それは例えば、事実であっても「あの人は前科者だ」と
言いふらしてはいけないのと同じ。
無論、万引き犯はそれなりの責任をとらなければならないが
私的リンチは許されず、損害額も被害者が一方的に
決められるものではない。
というようなことを電話で数分間喋ったら
5月25日付夕刊で要領よく
まとめられていた。
さすが新聞記者である。
実は朝日の夕刊記事を読んで初めて「鮮魚店」の事案と知った。
また、万引き犯をみつけた通報者に1万円払う、ということも。
刑事事件における重罰化と並んで
リンチ(私刑)化、相互監視化がじわりじわりと
広がりつつある、と私は感じている。
この事案はその兆候ともいえるだろう。