事務所で購読している日経新聞の4月17日付夕刊の一面は日米声明「台湾を明記」だが、一面左下の五輪の記事は「五輪へ支持得た」との小見出しである。
この小見出しだけでは、バイデン米大統領は、日本の五輪を指示しているように見える。
しかし記事は<菅義偉首相は16日午後のバイデン米大統領との共同記者会見で、バイデン氏から今夏の東京五輪・パラリンピックの開催の決意に支持を得たと述べた。「世界の団結の象徴として五輪開催を実現する決意を述べ、改めて支持をもらった」と語った。>というものであるから、内容をよく読めば、単に「決意」の支持でしかない。
帰宅後、朝日、毎日を読めばやはり「決意」の支持であることは分かるのだが…。
そのような感想をもっていたところ、19日の日刊スポーツ「政界地獄耳」は明快である。
見出しは「五輪どころではない菅外交」
バイデンの五輪参加慎重姿勢を示し、記者の質問に菅首相が明確に答えていないという質問スルーから「五輪開催後押しのお墨付きとはならない」という。
同日発売(20日付)日刊ゲンダイはもっと辛辣である。
一面見出しが「バイデン五輪協力冷淡対応」である。
記事によれば最初から最後までバイデン大統領は「オリンピック」という単語を発しなかったという。
バイデン大統領が、五輪開催支持でないことは実によくわかる。
ゲンダイは3面見出しも「冷酷だったバイデンと米メディア」
「質問スルーは国外では通用しない」と日本で切り抜けてきたスルー手法も批判している。
とまあ、政界地獄耳、ゲンダイの指摘の通りだろうと思っていたら、今朝20日の毎日
新聞朝刊の大治朋子氏の署名コラム「火論」に「首相の質問無視」とのテーマで、当
初五輪を「コロナに打ち勝った証」と言ってたのが「世界の団結の象徴」とすり替
え、なのに「世界の問いかけを無視している」と批判している。
大手紙でこういう指摘があるのがいいことだが、もっと早く、且つ、大きく批判し得
ないものだろうか。
【追記】
その後、この「スルー」について問われた菅首相は「自分に対する質問とは思わなかった」という。
「スルー」の理由は答えようがなかったからごまかしたと思われるが、仮に、あの状況で自分への質問と思わなかったとしたら、もはや論外の能力であり、このような方は政治家になるべきではない。