特定商取引法が改正され、7月6日より「売買契約に基づかないで送付された商品」が直ちに処分できるようになった。
いわゆる「送り付け商法」で、勝手に送り付けられた「商品」の処分のことである。
私が弁護士になったころは「押し付け販売」と呼ばれていたが、内容は一緒である。
注文していない商品を、強引に送りつけ、消費者が買ったものとみなして代金を一方的に請求するインチキ商法である。
もっとも独禁法上禁止される「優越的地位の濫用」にあたる不公正な取引方法の一つとして「押しつけ販売」もあることから、消費者被害のこの「押しつけ販売」は「送り付け商法」と呼ぶようになった。
さてこの送り付け商法、消費者が注文や契約をしていないのにも関わらず、一方的に商品を送りつけられたのであるから、商品代金は払う必要はない。
無論郵送代を使ってわざわざ送り返す義務もない。
放っておいたらよいのである。
では、ほっとくと言っても「商品」自体はどうしたらよいのか。
勝手に処分できないのか。
一応、インチキ商品とはいえ、所有権はそのインチキ詐欺師にある。
勝手に処分は出来ない。
これまた私が弁護士になったころは、処分できるまで「3か月」かかった。
インチキ詐欺師が3か月の間、取りに来なくてようやく処分(廃棄・利用)が出来たのである。
「ええ、3か月も置いとかなあかんのですか」と言われたものである。
それが「14日」に改正されたとき、短くなって実に良い改正と思ったものである。
「14日」というのは(控訴期間その他)法律家に馴染んでいる期間ですからね。
それが今回直ちに処分できるようになった。
考えてみればインチキ詐欺師のために「14日」も待つ必要はない。
ある意味「法律家の錯覚」であったと知った次第である。