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by kazuo_okawa
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カテゴリ:本・書物( 45 )

「講談社+α新書」の新刊として、宮竹貴久氏の表題作が発刊された。

表題が意表をつく。
「先送り」は一般に良くないとされているから、その逆説的表現に惹かれた。

たまたま、将棋「電王戦」で、コンピュータが「ミス」をするという
「水平線効果」とういう現象を知り、それは結局「先送り」することが一因と知るなど
「先送り」はそのマイナスイメージとともに、私にとって興味深い用語でもあった。

さて本書、内容は非常に面白い。
生物は「生きる」ことと、あるいは自分の「DNAを残すこと」に全力を挙げ
その為の色々な手法を取ることを、分かりやすく解説し、読んでいて面白い。
中でも「死んだふり」作戦は面白い。
表題とも絡む、本書の眼目である。

つまり「死んだふり」する方が、動き回るよりも生存率が高い事を、著者は実験して確かめるのである。しかも、一旦発表したその説に、別の原因の可能性が示唆されたとき
その可能性(他原因)を崩していく姿勢も面白い。

一方、著者はそれを人間社会に「類推」しようとする。

戦国時代、「死んだふり」して生き延びたもののエピソードや、現代社会でも会議でじっとしている術など、それなりに面白いが、どうも牽強付会に思える。
つまり、本来良くないとされる「先送り」を、「死んだふり」の生物学的有効性から無理矢理結びつけている感がぬぐえない。

「先送り」がいけないのは、今決めなければならないことを決めず、今しなければならないことを直ちにしないことだろう。

ところが、生物の「死んだふり」は、批判される「先送り」でない。
生きるか死ぬかの究極の状況で、その生物の「死んだふり」は、
生きるための戦術の一つとして、「今」実行したのであり、決して「先送り」でない。

「死んだふり」を「先送り」と解釈し、
それを強引に結びつけるところに問題があるだろう。

内容は大変面白いのに、表題の付け方が残念である。


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by kazuo_okawa | 2014-04-21 22:49 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
上脇教授は、私が担当した選挙権訴訟で
お世話になった教授であり、
民主主義を徹底的に尊ぶその姿勢には共感を覚える学者である。

その上脇教授が新しく出版されたのが
「どう思う?地方議員削減」(日本機関紙出版センター)である。

「地方議員削減」といえば、多くの方が、
無駄を省く、経費削減という点で極めて当然と
思われるかもしれない。

しかし、そうではない、というのが本書の主眼である。
本書は詳細な分析をしているが
(いささかデータや数字が多すぎるが、その分正確に分析しているわけである)
議員定数が極端に少ない場合を想像すれば分かるように
議員定数は少なくすれば、少数政党に不利であり、
結局、民意を正確に映さない。

地方議員削減は、一見、経費削減という利益にかなうようでも
民主主義という観点から言えば、公平さを全く欠くのである。

ときあたかも大阪市長選を始め、自治体首長選挙が始まる。
民主主義の反映は、首長選だけではない。

選ばれた首長は、時には、暴走しかねない。
(「暴走」と言えば、すぐさま安倍首相を思い出すが…)

その暴走のチェック、監視という意味でも
民意を反映した有能な議員が必要なのである。

もっとも上脇教授も、有能でない駄目議員の存在を
いささか嘆いているが、しかしながら民意の反映をより重視する。

私も全く賛成である。

上脇教授の新著、本書を推薦する。
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by kazuo_okawa | 2014-03-21 00:50 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
現代新書より、裁判官たちの精神の荒廃と堕落を描いた「絶望の裁判所」が発行された。
本書は、発行前から法曹界では注目され、予約も殺到していたと聞く。
去る12日に大阪弁護士会で行われた弁護士任官者激励慰労会の場でも
とある裁判官より「ベストセラー」と紹介されていたように
法曹関係者では知らぬ者はないくらい、話題を呼んでいる。

もっともその評価については、弁護士関係のメーリングでも賛否色々と意見が出ていた。

著者の瀬木比呂志氏は、現在は明治大学法科大学院専任教授であるが、元裁判官であり、
しかも最高裁中枢を知るエリートでもあった。
瀬木氏は本書で、出世や権力ゲームにうつつを抜かす裁判官たちの精神の荒廃と堕落は
もはやとどまることがない、と司法荒廃を指摘している。

私は、予約こそしなかったが、発売前から注目されている本書を
書店に並んだ時期に購入した。

率直に言って、本書の裁判所批判は的確で素晴らしい。
共感を覚えるところも多い。
しかも最高裁判事の素顔や「檻」の中の裁判官の状況などは
私が知らなかったことも指摘され大変興味深い。

もっとも、先に書いたとおり、弁護士の中には賛否種々あり、
法曹人口問題の認識が甘過ぎることや、現在は法科大学院に身を置く立ち位置などから
裁判所批判も結局は自己が安全な位置に移ってからのものでないか
するとまた将来は、法科大学院批判をするのではないかなど
色々な批判的な意見も耳にする。
そういう批判も当たっていないことはないだろう。
しかし、私はそういう大筋を離れた意見に反対である。
本書の意義を大きく見なければならない。

無論、細かい部分では意見の違うところもあろう。
しかし、本書のような、現状・現体制を批判する書物は、貴重であり、
大変勇気のあることであり、細かい点の「異論」をことさら指摘するよりも
大きく、本書の意義を評価すべきと、私は考える。

その意味で、裁判官たちの精神の荒廃と堕落を端的に指摘した本書は
大変素晴らしい。

裁判なるものに詳しくない方は、
本書冒頭の「はしがき-絶望の裁判所
この門をくぐる者は、一切の希望を捨てよ」の
箇所を読むだけでも値打ちがあるだろう。

私は、本書を強く推したい。



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by kazuo_okawa | 2014-03-15 00:12 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
書店で平積みにされていた竹内薫著「統計の9割はウソ」を買う。
確率・統計といった本は好きなので類書は何冊も買っているが
本書は帯の謳い文句が良い。
「思わせぶりな数字にだまされるな!」

思わず「うっ、!」と思いますね。
「思わせぶり」多いですからね。

内容も具体例を挙げて分かりやすい。
色々とこの種の本を読んできているが、本書で印象に残ったのは幾つかある。

まずは「ブラック企業」の弁明
(我が社の残業などの働かせ方は「平均以下」であるからブラックではない)の項である。
(注;「ブラック」のネイミングには問題はあるが、一般に定着し、
本書に使われているためここではそのまま使う)

この弁明が、「統計トリック」である、というのはなるほどと感心した。
つまり、ひどい極端な例があれば「平均値」を押し上げるから、
統計的にみても「ブラック企業」の弁明のようなことはあり、
こういう場合は「中央値」で考えるべきである、という指摘である。
なるほど。
はなから「ブラック企業」を疑っていると、その弁明自体を、頭から
いい加減なものだろうと思うが、そのいい加減な内容をきちんと指摘することが
重要である、と自戒する。

もう一つ印象に残ったのは、外国人参政権の世論調査の項である。
朝日新聞世論調査は賛成60%なのに
産経インターネット調査では95%反対という、極端な結果の分析である。

朝日は無作為抽出であるが、産経は,eアンケートというインターネットによる
調査で自ら答えようと思ったものだけの集計であるという。
それゆえ、eアンケートでは男性1053人、女性253人。
あきらかに全体の世論の動向を知るという意味での統計にはなってない。
そういった点の問題性を本書は明らかにしている。

統計の本ゆえ、解説としてはそれで良いのだろうが、
実際は、産経のアンケートの質問自体にミスリードがある。
「外国人参政権」については、「国政」と「地方」を峻別するのが
おおよその世界の流れである。
つまり「国政」については、地球上の何処にいても本国の参政権に参加出来る。
一方、「地方」については、本国でなくても、住んでいる地の参政権に参加できる。
産経の質問は、ウソは書いていないが、この2つを混同しかねない質問である。
つまり産経は、外国人の地方参政権を与えたくないがために
2重、3重におかしなアンケートの取り方をしているのである。
これはひどいですね。

さて冒頭に書いた「うっ、!」ときた部分。
「統計の9割がウソ」というその「9割」自体が思わせぶりな数字でないのか
と思いますよね。

ちなみに、私が持っている氏の著作は、他に
「99・9%は仮説」
「科学予想は8割ははずれる」です。
笑ってしまいますよね。

アンタ自身がいつも思わせぶりな数字を題名にしてるでしょ、と。

その回答を作者は本書で、きちんと、「おわりに」で用意しています。

実は本書で一番印象に残った部分である。

ミステリファンの中には、ミステリの作品を読む前に、先に「あとがき」から
読む人がいますが、本書でそれはしてはいけません。
立ち読みで、本書の「おわりに」だけを読むのもいけませんよ。
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by kazuo_okawa | 2014-03-10 23:47 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
エコノミスト菊池英博氏の新著
「そして日本は略奪される-アメリカが仕掛けた新自由主義の正体」
(ダイヤモンド社)が出版された。

菊池氏は、新自由主義の財政政策に反対し
消費税増税にも強く反対する。
増税反対の根拠は、日本は決して「赤字国」ではなく
対外的に世界最大の純債権国であるというところにある。
国の財政収支はいわゆる一般会計だけで見るものではない。
「剰余金」「積立金」などの特別会計も含めてみれば
日本は決して「赤字」でないのである。

実は私は4年前に菊池氏の講演を聞き、当時思ってもいなかった視点に説得力を感じた。
そこで、その後、3/11震災後に、大阪弁護士会法友倶楽部のシンポジウム
「復興財源と雇用創出」のパネリストとして、更には
大阪弁護士会の講演の講師にお招きした。

そもそも「自由」がはびこれば力の強いものが勝つ。
「自由」の名の下に「関税障壁」を取っ払えば
アメリカが日本の富を収奪すると言うことは何となく想像出来るところである。

同氏の新著は「超金融緩和、消費増税、TPP」で日本の巨額マネーが
アメリカに略奪され、日本では「格差社会が益々拡大する」ということを
具体的に丁寧に説明したものである。

ところで菊池氏は、2012年3月2日の衆議院予算委員会で
民主党推薦の参考人として呼ばれ、「日本は『赤字』でない」
「消費増税は不要である」「日本のデフレは恐慌型であり、
消費増税でなく、政府主導の金融フォローしかない」との意見を力説した。
しかし安倍政権は、菊池意見の内、消費増税は不要だ、
というような自己に都合の悪い意見は目にもくれず、
政府投資など自己に都合の良いと事だけをつまみ食いした。

ズルいというか、たくましいというか、何というか、あきれてしまう。

横道にそれたが、皆さんに、本書を、是非お薦めしたい。
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by kazuo_okawa | 2014-02-23 02:04 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)