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by kazuo_okawa

カテゴリ:本・書物( 40 )

斉藤美奈子の新作である。
斉藤の作品はどれも面白く、私はほとんどの作品を読破しているが、本書も面白かった。

内容は、冒頭作を例にとれば「坊っちゃん」
言わずと知れた、漱石の代表作。
斉藤は、この各社から出ているその文庫の解説を片端からよみ、そしてそれを解説するのである。
それゆえ、文庫解説ワンダーランド!
「坊っちゃん」は青春痛快小説だろうと思っていたのが、各社の文庫解説によれば「悲劇」でああるとの解説もあり、斉藤に言わせれば、実は解説にも攻防戦があるという。
意外な視点で驚かされる。

次いで「走れメロス」
誰もが知っているお馴染みの作品である。
短編ゆえこの作品のみならず、文庫には、太宰の複数の作品が並べられているが、どの出版社も作品集の題名は「走れメロス」であり、表紙は(メロスの)「走っている」絵だという。
つまり、太宰の作品集の主役は「走れメロス」
ところが、何と、どの出版社の解説人もメロスへの言及はないという。
いやあ、文庫解説を読み比べた斉藤ならではの指摘であり、実に痛快、且つ面白い。

この調子で、どんどん斬りまくる。

中盤、庄司薫、柴田翔、小林秀雄なども実に興味深い。
何せ、青春時代の原点ですからね。思わず、書庫から、これら作品を引っ張り出してこようかと思ったくらいである。

そして何とミステリ編!
ミステリファンの私としては一番感心した。
斉藤は、ミステリの解説の掟は犯人を指摘してはいけないと、書きつつ、トリックの傷をくさした評論を挙げるのである。

いやあ、実に意表を突く指摘である。

その対象作品は「点と戦」!
傷を指摘した解説者は有栖川有栖!
この組み合わせは凄い!
「点と線」はどこかにあったはずだが、これは是非文春文庫版を買わねばならない。

とまあ斉藤美奈子「文庫解説ワンダーランド」は実に面白い本である。
ともあれこれだけ辛口で斬りまくっていたら、斉藤美奈子自身の文庫の解説は誰が書くの?と誰しも思いますよね。
実は「文庫解説ワンダーランド」の最後には、きちんとその点に触れて終わっている。

斉藤美奈子恐るべしである。

【追記】
さっそく有栖川有栖解説の文春文庫版「点と戦」を購入する!
いやあさすが有栖川有栖である。
解説を読む為だけに買ったのだが、値打ちがある。
ミステリの解説はこうでなくてはならない。



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by kazuo_okawa | 2017-02-04 20:47 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
表紙も、タイトルも、著者も出版元も、すべて伏せて「文庫X」として売り出した話題の書である。
何もわからずに買うのに勇気がいるように思えるが、間違いなくお勧めである。

こう売り出し方をした「さわや書店」の長江氏は「どうやったら『面白い』『魅力的だ』と思ってもらえるのか、思いつきませんでした。だからこうして、タイトルを隠して売ることに決めました。この本を読んで心が動かされない人はいないと固く信じています」という。

確かに、購入して読んでみると大変素晴らしい著である。

こういう秘密めいた売り方をした場合、ネット上、たちどころに「ネタバレ」が飛び交うことが多い。

しかしそういうことがほとんどないのも、おそらく購読された方が、文庫Xの著作それ自体に心を打たれただけではなく、この長江氏の取組みにも賛同されたからだろう。

私も同感である。
私も長江氏の心意気に賛同して、作品の中身には直接触れない。

ただ一つ、私が司法関係者として思うのは、この国は、真の意味で国民の安全を考えているのではない、ということである。
それよりも、国の無謬性、秩序ということを重視しているということだ。

その意味でこの作品は、大きな意味でこの国のありようを告発している。

強くお勧めする。



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by kazuo_okawa | 2017-01-04 07:36 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
本日、大阪弁護士会主催の憲法集会は「憲法主義」。

南野 森九州大学法学部教授(憲法学)と内山奈月(AKB48のメンバー)の共著「憲法主義」をテーマに、憲法の意義を考える集会である。

私自身、この「憲法主義」は書店で目にしたものの、まあ、AKBの人気を当てにした便乗商法だろう、くらいの認識で、購入することはしなかった。

それゆえ、本日の集会も事前告知せず、本日は、いささか期待せず望んだのだが…。

…全く違っていた。

南野 森九州大学法学部教授は、若いながらも話がうまい上、質問に対する答え方を聞いても、深く研究されていることが分かる。
内山氏もしっかりしている。

休憩の合間に、会場に並べられた「憲法主義」を購入した。
予想と違って中身は本格的に論じられている。
しかも読みやすくするためだろう、恋愛の自由、パパラッチの問題など、聞き手がアイドルというこの著の特色を生かして、読者を惹きつける工夫をしている。
無論、それでいて中身の精度は高い。

いやはや、私自身がスルーしてしまった反省も含め、この著はお薦めです。




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by kazuo_okawa | 2016-12-03 22:59 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
選挙訴訟でお世話になった上脇教授の最新作である。(日本機関紙出版センター発行)

上脇教授はこれまでも政治とカネ疑惑を追及したり、選挙制度の矛盾を突くなど、活発な活動をしておられる。
その目指すところは、金まみれの政治でなく、真に民主的な社会の実現であり、教授のその姿勢には共感を覚える。

そして本書は、ストレートに小池都知事批判である。
とかく最近のテレビなどのメディアでは、小池都知事をひたすら持ち上げているが、さすが上脇教授である。
全くタブーはない。

まず小池都知事の経歴を上げて、「権力にすり寄った無節操な『渡り鳥議員』」と批判し、そして、都知事選で豊島区議が小池候補を応援した構図を政治資金の流れから、カネでトリコにしたと分析している。
要するに、舛添前都知事と同様に、小池都知事もカネまみれ、不透明なわけだ。
大手マスコミは何故にそこを批判しないのか。

そして安倍首相自身のガソリン13周問題など自民党の事例も上げる。
安倍自民党、小池都知事と金まみれ、疑惑まみれなわけだ。
上脇教授はそれらを鋭く批判し、そして最後に改革案を提言している。

本書を是非多くの方に読んでほしい。
そして真に政治改革に結びついてほしい。
本書を強くお勧めする!


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by kazuo_okawa | 2016-10-19 22:03 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)

18歳からの民主主義!

2016年参議院選挙から18歳選挙権が始まった。

26日の日曜に紀伊国屋書店に入ると特設コーナーに「18歳選挙」の大きな文字とともに、18歳選挙権に関する書物が10数冊並べられていた。
一覧すると「18歳」の文字だらけ!である。

どの出版社も同じような企画を考える、まあ、人は同じようなことを考える、という見本のような書物の山である。
とはいえ、大学で講座を持っている身としては、若者向けにどのように書かれているか、大いに関心がある。
そこで、立ち読みしたが、いやいやなかなか読ませる。

どうも、18歳を子ども扱いし、愚にもつかない、若者を軽視した内容でないかと思い込んでいたがそうではなった。

無論、やたら字が大きくイラスト入りであったり、図がやたら多いものや、一通りの説明が書いているが何ら中身がないものなど、はっきり言ってつまらないものも幾つかある。
まあ、これらの愚作は名うての文芸評論家斉藤美奈子氏がそのうち気持ちよくぶった切ってくれるだろうからその筋の専門家に任せる。

さてそれにしても、どうせひどいのだろうと、ハナから思い込んだのは何故か。

よく考えると、自民党広報誌である。
話題になった自民党制作<18歳選挙パンフレット「国に届け」>は、「バカ」な女の子がイケメンでちょっと高飛車な男の子と仲良くなるために投票所に向かうという、どうしようもなくひどいマンガを載せた。
女子高生差別でないかと批判を浴びたパンフレットでもある。
(ネットで見てください)

自民党は他にも「憲法改正マンガ」や、「自民党公式ゲームアプリ・あべぴょん」などもある。
一体全体この党の知性はどうなっているのかと言いたい。
この党は、若者はマンガやゲームばっかりしていると、おそらく思い込んでいるのでしょうね。
そのように思い込んでいると、若者から、大きなしっぺ返しが、…、う~ん、…果たして…。

(…尚、紀伊国屋書店では、立ち読みだけで帰らず、まじめな本を購入しましたので念のため。)

【6月30日追記】
ネットのニュースを見ていると、28日に産経新聞が以下のような記事を載せたようである。
「「女の子をバカにしている」自民党の若者向けパンフに批判が殺到しているが、自民党幹部は批判に反省しているわけでなく「話題になることはいいこと」と強がっているという。」
いやはや、凄いですね。





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by kazuo_okawa | 2016-06-28 23:15 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
「季刊刑事弁護」など人権に資する書物を数々出版している現代人文社が、憲法記念日(5月3日)に発刊した著である。
副題が「失言・名言から読み解く憲法」である。

失言・名言を並べたというのは、ちょっとしたアイデアであるが、失言の数々がもの悲しい。
安倍首相、麻生副総理らの失言にはあきれかえるしかないが、こうもまとめられると、あまりにも情けなさ過ぎるのである。

「ナチスの手口を学んだらどうか」
「ポツダム宣言を詳らかに読んでいない」
「(憲法解釈の)最高責任者は私です」
「法的安定性は関係ない」などなど…。
思い出しますよね…。
どの一つをとっても、辞任級の大失言のオンパレードである。

「頻繁」を「はんざつ」、「未曾有」を「みぞゆう」、「踏襲」を「ふしゅう」などなど誤読を重ねた人物は失言・暴言の名人であるが、それだけに本音を出したのが前述の「ナチスに学べ」である。
実際、ナチスに学んでいることが怖い。

「歯舞」の字が読めない閣僚もいた。
北方領土担当なのにである。
世界に向けて「アンダーコントロール」の大嘘もあった。
非正規労働者パートの給与の例として現実を知らない「25万円」の数字を挙げた例もある。

…とまあ、失言の数々を読んでいると、これが我が国のリーダーなのかと絶望的になる。

本書には、希望を与える名言(無論、これは政権関係者には無い!)もあるのがわずかな救いである。




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by kazuo_okawa | 2016-06-25 20:21 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
6月21日の朝日新聞「天声人語」に「「あたらしい憲法草案のはなし」(太郎次郎社エディタス)が参考になるかもしれない」とあった。

私は書店には良く行くが、こういう書物は見かけないので、インターネットで調べると、何とまだ発売前であった。
まあ、こういうパロディ本は好きなので早速予約し、本日届けられたのだが、実に見事である。

敗戦後、新憲法が出来たときに、文部省が中学一年生向けの教科書として作ったのが有名な「あたらしい憲法のはなし」である。
中学生向けとはいえ、大人が読んでも感心するくらい分かりやすく書かれている。
例えば次のような感じである。
「…これを戦力の放棄といいます。「放棄」とは「すててしまう」ということです。しかしみなさんはけっして心ぼそく思うことはありません。日本は、正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことくらい強いものはありません」

そのパロディである。

パロディは、「本歌」をいかにうまく取り込むかがポイントであるが、そこがうまい。
本歌の言い回し、雰囲気をうまく捉えている。
例えば次の通りである。
「…しかし、みなさん、あたらしい憲法ができれば、もう心配ありません」
「…制限がもうけられていませんので、自分の国を守るためなら「どんな戦争でもしてよい」ことになります」
「「国防軍でこうげきするぞ」とおどかせば、あいての国はこわがり、いうことをきくようになるでしょう。これを「抑止力」といいます」…。
…全編、この調子である。

本歌取りがうまい上、しかも、この内容はまさしく自民党が目指しているものを的確に伝えている。

是非、多くの人に、いや爆発的に、ひろめてほしい。

著者は「自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合」
略して「自爆連」

いやはや、一体、どこまで人を食っているのか!



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by kazuo_okawa | 2016-06-23 23:46 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
表題は元大阪高裁判事生田暉雄氏の最新の著作である(三五館発行)。

司法の正体を明かし、日本を守る術を提示するという帯文句だが、司法が最高裁ばかりに目を向いているヒラメ判事ばかりであることや、最高裁が何処を向いているのか、そして私も知らなかった「裏金」など、興味深い(がおそらく真実の)論考が並んでいる。

とりわけ印象に残ったのは二人の裁判官のくだりである。
一人は竹中省吾裁判官、もう一人は樋口英明裁判官である。

竹中裁判官は、私が担当した住基ネット違憲訴訟で、違憲判決を出し、そして三日後に自死した裁判官である。
違憲判決を出す前、四度も判決が延期された。
その理由は、当時も想像されたが、裁判官経験を有する生田氏が指摘するところは極めて重要だろう。
改めて竹中裁判官の自死には心が痛む。
重圧の中、違憲判決を出されたであろうに、今、マイナンバーが進んでいる。

そしてもう一人、樋口裁判官は私の同期である。
原発を止めた彼の素晴らしい判決は私のブログでも触れた。
その後の、樋口氏への移動はあまりにも露骨な人事であると、生田氏は喝破する。

全く同感である。

司法の現実を知り、そして司法を変えるために、多くの方に本書を強くお薦めする。



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by kazuo_okawa | 2016-06-14 23:31 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
つい先日のことである。
「文芸春秋」のことが話題になった。

強欲資本主義とは、たとえ 破壊的商業活動であろうとも、最大の利益を追求する資本主義のことである。

まあ、平たく言えば、他人のことはどうでも良い、
自分さえ儲ければ良い、という生き方ですね。
これが諸悪の根源であり、強欲資本家べったりの安倍政権そのものですね。

現に、安倍政権は、これまで自民党政権が守ってきた武器輸出禁止原則を変容したり、原発で一儲けしようとしたり、まあ、戦争で一儲けしようというダーティな発想ですね。

こんな強欲資本主義と決別せよ、と「文藝春秋」最新号は特集しているのです。

しかし、「文芸春秋」といえば保守派ジャーナリズムであり、これまで、自民党政権を支えてきたマスコミですね。

う~ん。どういうことなんでしょう。

普通に考えれば、保守派からしても、安倍政権のように、戦争・軍事などで一儲けするのは、品位無く、強欲で、やりすぎだということでしょう。

保守派の皆さんも、是非、文藝春秋最新号をお読み頂き、強欲資本主義と決別すべく、是非お考え下さい。



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by kazuo_okawa | 2016-05-19 23:02 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)
夜、帰宅すると、「報道ステーション」或いは「ニュース23」をつい見てしまう。
そのキャスター古舘伊知郎氏は今日で最後の放送となった。
数日前にはコメンテーター木村草太憲法教授も降板となった。
昨年の古賀茂明事件は改めて言うまでもない。

「ニュース23」の岸井成格氏も降板である。
古賀氏や岸井氏のコメントには共感するところが多かった。
しかしその政権批判は、安倍首相にとっては許されないのだろう。

安倍政権は露骨にメディアに圧力をかけ、そして日本の主なメディアはひれ伏した。

標題はニューヨークタイムズ前東京支局長がマーティン・ファクラー氏の新著(双葉社)である。
ファクラー氏は怖ろしいくらいにこの間の安倍政権の圧力を並べる。
是非本書をお読み頂きたい。
それは本当にひどい話である。

そして明日から日本のメディアは様変わりする。
マーティン氏に言わせれば、圧力に屈したわけである。

どうか、エイプリルフールであってほしい。

【追記】
古舘氏は、番組の最後に挨拶した。そして、報道番組ならではの言い回しや表現が「窮屈になってきました」としたうえで「自分なりのしゃべりや言葉で皆さんを楽しませたいという思いが強くなった」のであり、「何らかの圧力がかかってやめされられるということでは一切ございません」と「圧力」を否定した。
う~ん。
表現が「窮屈になってきました」としたいうのは「圧力」ではないのか。
また何故に、わざわざ「圧力はない」といったのであろうか。
古賀事件のときの弁明といい、何かしっくりこない…。



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by kazuo_okawa | 2016-03-31 22:45 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)