私の趣味やニュースの感想など好きなことを発信するブログです


by kazuo_okawa
カレンダー

カテゴリ:労働( 40 )

朝日新聞7月13日付朝刊に、民法改正により賃金債権の時効をどうするかという検討を厚労省審議会で始めたという興味深い記事が出ていた。

原則5年に統一する改正民法がこの5月に成立し、2020年にも施行されるのだが、改正前の民法は債権の種類によって時効の年数はばらばらだった。
ばらばらの中の賃金債権の時効はは、民法上は「1年」だったのだが、労働者保護の観点から労働基準法は「2年」と定めた。
従って、現行の賃金債権は時効は2年なのである。

その一般法の民法が「5年」になった。
ばらばらで分かりにくかった民法の時効がすっきりした。
この点は評価できるのだが、すると、労働法上の賃金債権の時効はどうなるか、という議論が出てきたのである。
しかし、労働者保護の観点からは、当然に労働法上も「5年」にならないとおかしい。

しかもこういう議論を今ごろしていることがおかしいとも言える。

実は私は数年前にこの問題に気付き、民法改正を進められた内田貴東大教授に直接伺ったことがある。内田教授は何ら躊躇無く「当然3年でしょう」(当時の例として民法上「3年」として議論していた)と答えられ、私自身も意を強くしたものである。
この問題はその後も何度も開陳しているが、私が編集長を務めた『法友』(2013年6月号)で「今さら聞けない民法改正 初歩の初歩」という特集記事を編み、そこでもその立場で編集し解説している。
(この『法友』大阪の弁護士・法律関係団体など約4000部配布しているんですがね~)

朝日の記事によれば、請求できる期間を短くしたい経営側が5年に反対しているという。

しかしどう考えてもおかしいでしょう。
賃金(残業手当も含めて)は本来、払うべきものは払わないといけないのである。
それを『時効』で払わない、というその考え自体が批判されなければならない。

どうぞ経営側のこの考えを是非批判してほしい。

内田教授の言葉を借りるなら、議論の余地無く
「当然5年でしょう!」

.


[PR]
by kazuo_okawa | 2017-07-19 00:06 | 労働 | Trackback | Comments(0)
11月11日、連合大阪地域ユニオン主催の学習会の講師に呼ばれる。
テーマは「働き方改革」。
安倍首相が、労働者の立場・視点にたってと謳うその「改革」の意味を問うものである。

すでに、「働き方改革会議」は9月、10月と2回開かれ、そしてその第一回の議事録は公開されている。

実に「さわり」だけであるが、そこからでも、かなりのことは推測出来る。

少子化に伴う労働人口の減少は、政府・経営側にとっても課題であり、少子化対策、労働対策が迫られる。
そして安倍首相発言を読むと、年内にガイドラインなど作成、年度内にとりまとめ、そして立法化をスピーディに行う、という。

では何をするのか。
安倍発言や議事録で繰り返し出て来るとおり、「同一労働同一賃金」「長時間労働規制」は何らかのガイドライン、立法化はなされるだろう。
経団連も連合も基本は賛成しているからである。

もっとも経団連が、日本的労使慣行や業務の停滞にならないようにと釘をさしている。
また、経営側が繰り返し「多様な働き方」「脱時間給」「成果による評価」などを口にしていることも重要である。
おりしも労働者にとっての天下の悪法「残業代ゼロ法案(安倍首相は「高度プロフェッショナル制度」と呼ぶ)」は昨年来の継続審議とされつつも、「今年のの臨時国会では上程しない」と言われている。
ということは反対解釈すれば、来年の通常国会で上程される可能性がある。
そもそも安倍政権がこういう「残業代ゼロ法案」を依然として改正スケジュールに挙げていること自体が「労働者の立場・視点」にはたっていない。

そうすると考えられるのは来年5月くらいに、この「同一労働同一賃金」「長時間労働規制」の何らかの法案と残業代ゼロ法案がセットで出されることである。
こういう抱き合わせは、彼らの十八番ですからね。
前者の中身をチェックすることも重要であり、あわせて、こういうセット法案が出されないようにも注視すべきだろう。

経営側が「多様な働き方」というとき、それは大抵の場合、企業の都合による「多様な働き方」である。
例えばそれは、残業手当が払われる労働者と脱時間給の労働者の多様化などである。

ゆめゆめ一見美しく聞こえる「多様な働き方」という言葉に騙されてはいけない。



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-11-12 06:56 | 労働 | Trackback | Comments(0)

「働き方改革」の謎!

今月、労働に関する講演依頼が3つある。

その第一弾が今週末であるが、テーマは「働き方改革」である。

大企業本位の安倍政権が、何故に、労働者の為にといわんばかりの「働き方改革」を推し進めるのか。
少子高齢化に伴う労働者人口の減少は、政府・資本にとっても無視し得ない重大事である。
それゆえ政府にとっても何らかの対策が必要なのは理解しうる。

では、その対策が、真に労働者の為の「改革」なのかは、注意して見る必要がある。

「働き方改革」会議の第一回の議事録や資料はすでに公開されている。
多様な意見が出ているが、果たしてどうまとまるのか。

安倍政権は、口当たりの良いきれい事を並べるが、労働に関しては、規制緩和を許し、労働者にとって過酷な「残業代ゼロ法案」や「解雇金銭解決制度」は依然として「改正」スケジュールに残ったままである。

安倍政権は、おそらく大企業本位の姿勢は変わらず、しかし、少しばかりの「改革」はするだろう。
まあ、そういったことが予想されることを、公開されている資料から解きほぐす予定です。

重要なのはこれからも引き続き、注視することである。



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-11-08 22:03 | 労働 | Trackback | Comments(0)
時折、弁護士ドットコムから取材を受ける。

今回、取材されたのは、「職場でいじめを受け退職した。パワハラで会社を訴えることは可能?」という質問である。

入社当初から社内のいじめの標的になり、会社で周りから「バカ、アホ」「いつでも解雇はできる」「やめろ」といった言葉を浴びせられ、誰にも相談することができず、我慢していたが、入社から3年がついに退職することを決意したという事案である。

パワハラ・いじめの相談は本当に増えてきた。

下記の通り私が回答し、その内容がインターネットでアップされていますので、是非アクセスしてください。

「バカ」「やめろ」職場の暴言で退職、会社を訴えることは可能?
【小町の法律相談】
https://www.bengo4.com/c_5/c_1623/c_1097/li_275/

(注)紙数の関係上、あまり詳しくは書いていない。
例えば、パワハラの定義であり、或いは、消滅時効である。
消滅時効は、安全配慮義務違反とすれば時効は10年である。
しかし、現実には、3年と考えて準備すべきだろう。
古い事件はまず勝てない、と思った方がいい。


.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-07-01 22:03 | 労働 | Trackback | Comments(0)
この長ったらしい表題は、このたび、連合の労働法制対策局が発行したパンフレットである。
長い題名で何なのかよくわかりにくいかもしれない。
本来は「悪徳社労士対策マニュアル」とでもすればわかりやすいのであろうが、連合は、上品に(まるで法律のタイトルのように)正確につけたのでしょうね。

2005年社労士法改正で「労働争議介入禁止規定」が削除された。

このときから、勘違いした一部の社労士が労働問題に介入してきて、あちこちで労働事件が紛糾した。
普通、頭の硬いワンマン経営者に困っていたところ、理屈の分かる専門家が出てくれば、事態解決に役立つと思うものである。
ところが、そのワンマン経営者以上に混乱させる悪徳社労士が登場してきたのである。
つまり紛争解決どころか、火に油を注ぐように紛争拡大を来した。

「従業員をうつ病にさせろ」と指導した社労士のエピソードは記憶に新しい。

私も問題社労士例の幾つかを相談を受けたことがある。
大阪弁護士会が、注意した例もある。

いずれの場合も問題は2点ある。

「労働争議介入禁止規定」が削除されたからといって、弁護士法72条(非弁護士行為の禁止)は残っているため、依然として、社労士は労働問題に介入できない。
にもかかわらず介入するのはそもそも弁護士法違反である。
そこを勘違いしている社労士がいる。
つまり社労士がそもそも関与出来でないのである。

もう一点は、アドバイスの内容自体があまりにもひどい。
社労士が労働争議に介入出来ないことは前述のとおりだが、それでも事態解決のために尽力を尽くせば、労働側も文句は言わないだろう。
ところがそうでない。
社労士は、これまで使用者の依頼を受けて、言わば使用者の味方として仕事をしてきたからか、とかく客観的にみて、使用者に偏り過ぎる。
だから余計に紛糾させるのである。

私がいくつも相談を受けたことは前述のとおりだが、おそらく、相当数の社労士関与があることが推測される。

経営側に社労士が関与してお困りの、労働者、労働組合に是非お勧めしたい。



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-06-16 00:23 | 労働 | Trackback | Comments(0)
「『一億総活躍社会』を考える」という講演を頼まれた。

その資料つくりのため政府の閣議決定を読んでいると驚くべき下りに出会った。

「同一労働同一賃金の実現に向けて、我が国の雇用慣行には十分に留意しつつ、躊躇なく法改正の準備を進める。労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の的確な運用を図るため、どのような待遇差が合理的であるかまたは不合理であるかを事例等で示すガイドラインを策定する。できない理由はいくらでも挙げることができる。大切なことは、どうやったら実現できるかであり、ここに意識を集中する。非正規という言葉を無くす決意で臨む。」

「同一労働同一賃金」は安倍首相が今年に入って、まるで参議院選挙の選挙目当てのように繰り返し口にしている。
それは、ともかく、驚くのは末尾の「できない理由はいくらでも挙げることができる。大切なことは、どうやったら実現できるかであり、ここに意識を集中する。非正規という言葉を無くす決意で臨む。」というやたら威勢の良い言葉である。

はて?この「非正規という言葉を無くす」とは何なのか。
非正規労働者がいなくなれば、「非正規」の言葉は無くなる。
実に簡単なことである。
そうなれば労働者にとって大変有り難い話である。

しかし、前段をよく読めば「労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の的確な運用を図るため、…」とあり、どうも現行の期間雇用、パート労働、派遣労働は温存し、廃止ないしは厳しく修正するという考えは全く無いようである。

「非正規労働者」を残しながら、「非正規の言葉を無くす」ということは果たしてどういうことか!

普通に考えれば、「全てがFになる」いや、「…非正規になる」ということでないでしょうか。
推理小説の読みすぎですかな…。



「一億総活躍社会を考える」の私の講演は、
平成28年6月17日(金曜日)18時30分~20時15分
場所・東大阪市立勤労市民センター(ユトリート東大阪)2階 多目的室
申し込み制で定員になり次第締め切りだそうです。
申込先(問合せ先)は東大阪市立勤労市民センター(ユトリート東大阪)
•電話   06-6721-6000
•ファクス 06-6721-1212
•メール  soudan@hispa.biz-web.jp



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-06-07 18:21 | 労働 | Trackback | Comments(0)
昨年は多くの市民・労働者の反対を押し切り派遣法改悪が強行された。
今年も7月10日に行われるであろう参議院選挙の後、自民党が与党となれば
解雇金銭解決制度、残業代ゼロ法案の導入が一気に動きすことが間違いない。
にもかかわらず安倍首相は参議院選挙の争点からはずしている。

まあ、こういう手法は、安保法に見られる如くあまりにも恥ずかしい手法でありながら、安倍首相は何度も使ってきた

そこで、関西の法律家8団体による共催で、緊急集会を以下の通り開催します。
要するに、参議院選挙の争点にあがっていないが、騙されてはいけない、と言うことである。

私も最後に挨拶する予定ですので是非ご参集下さい。

<STOP!安倍政権雇用破壊
解雇規制と労働時間規制を守れ!>

日程:6月6日(月)6時半~(開場6時)
場所:エルおおさか2階ホール エルシアター
参加費:無料(会場カンパをお願いします)
基調講演:川口美貴関西大学教授
「安倍内閣の雇用戦略の問題点と課題」
野党国会議員の挨拶、情勢報告、現場からの声など

【6月7日追記】
昨日は実に多くの方に集まって頂き有り難うございました。
私の最後の挨拶にも反応よく応じて頂き喜んでいます。
本日の隠れテーマを是非広めてください。



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-05-28 19:57 | 労働 | Trackback | Comments(0)
親しくさせて頂いている東京共同法律事務所・宮里邦雄弁護士が、このたび表題の著を発行された。

労働者の労働条件の維持・向上のために労働組合は欠かせないが、使用者がその反組合活動をしたときにそれを守るのが労働者・労働組合のための不当労働行為制度である。

残念なことに最近はあまりこの制度は利用されていない。
宮里弁護士は、この不当労働行為制度の利用が減少していることは、労働組合活動が停滞していることであると残念に思い、今こそ労働組合の出番であるとして書かれた(正確には大幅改訂)のが本書である。

大変分かりやすく、かつ、実践的である。
皆さんにお勧めする次第である。




.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-05-28 01:28 | 労働 | Trackback | Comments(0)
2月20日付け日経新聞によれば、
「山梨県民信用組合(甲府市)と合併した信組出身の元職員12人が退職金を大幅に減らされたのは不当として、合併前の基準での支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は19日、「賃金や退職金を不利益変更する場合は、事前に内容を具体的に説明して同意を得る必要がある」との初判断を示した。」という。
その上で元職員側の請求を退けた二審・東京高裁判決を破棄し、信組側の説明が十分だったかどうかを審理させるため、同高裁に差し戻した。

記事の通りであれば大変素晴らしいのであるが…。
一般に、合併で、労働条件が(労働者に)不利益に変更させるときに、「就業規則」を変更する手法をとる。
これは労働法学上「労働条件の不利益変更」というテーマでよく知られている。
そして、その結論は判例の積み重ねで「労働者の同意無くば原則として無効。但し、その変更に合理性があれば有効」とされ、その法理は後に法制化された。
この法理からすれば、基本は同意が必要であるが、同意がなくても(合理性があれば)有効になるときがあるわけである。
つまり同意がなくても有効になることがある、というのが重要なのである。

ところが新聞記事によれば、「賃金や退職金を不利益変更する場合は、事前に内容を具体的に説明して同意を得る必要がある」と出ているのである。
何と「同意」とある!

これは<同意がなくても(合理性があれば)有効になるときがある>とする「労働条件の不利益変更法理」とは違うので、実は大変な内容なのである。

そこで早速、最高裁のHPからこの判例を検索して読んでみた。
すると内容は新聞記事とやや違うではないか!

最高裁判例は、ざくっと説明すれば、1、2審が「同意」を理由に使用者側を勝たせたが、同意の認定は慎重にせよというもので、「同意が必要」とは言ってないのである。
つまり新聞記事の要約は間違っているのです。
これならばわかります。
まあ、当然ですよね。

新聞記事と最高裁判決しか読んでいないので、事案の把握は必ずしも正確ではない。

しかし、最高裁判例に次のようなくだりもあった。
「なお,平成16年基準変更に際して就業規則の変更がされていないのであれば,平成16年基準変更に対する上告人らの同意の有無につき審理判断するまでもなく,平成19年法律第128号による改正前の労働基準法93条により,就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める合意として無効となるものと解される。」

これで驚くのは、ひょっとしたら、使用者側は就業規則の変更をしていないのか!という疑問である。

本件で経営側は社労士に相談している。

経営側の弁護士に相談していれば、就業規則を変更しないことなどはあり得ない。
もしも、就業規則の変更をしていなければ、社労士の責任問題であろう。
というか、まあ、そもそも社労士に頼んだこと自体が問題であったといえるだろう。

本件は、労働協約で不利益変更に同意した組合執行委員長が果たしてそんな権限があったかという指摘もされている。

背景に色々と問題の多い感じのする事件である。




.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-02-20 17:21 | 労働 | Trackback | Comments(0)
関西大学法学大学院教授川口美貴先生が「労働法」(信山社)のテキストを上梓された。
お連れ合いから直々の購入依頼があったので、 昨年早速、購入したが実に分厚い。

それはともかく、出だしが良い。
文学者でも推理作家でもいわゆる物書き(小説家)などは、物語の最初の出だしにかなりこだわるものだ。
それは、大学の教科書でも同じであろう。

川口「労働法」の出だしは、次の通りである。

「労働法は、労働力以外の商品を有していない人間を中核的対象とし、その生存権(憲25条)保障を、労働権保障(人権保障を内包する雇用・労働条件の保障)という観点から実現することを目的とする「法分野」である(「労働法」という名の法律はない)。」

思想性に溢れている、実に見事な定義の仕方である。

比較として、東大学派を見る。
「我が国で今日「労働法」と呼ばれている専門的法分野は、1つの定義として、「労働市場、個別的労働関係および団体的労使関係に関する法規整のの総体をいう」と把握しておくことができよう。」(菅野和夫東大名誉教授)
「労働法とは、労働関係に登場する4つの行為者、すなわち、労働者、使用者(使用者団体)、労働組合等の労働者代表組織、そして国家の相互関係を規整する法の総体である」(荒木尚志東大教授)

…正しい。
「労働法」の定義として、文句の付けようが無いくらい正しい。
しかし、面白くも何ともない。
まあ、教科書ですから、面白くなくてもいいのかもしれませんが…。

私の高校時代。
私が影響を受けた世界史の谷口清隆先生という恩師がおられた。
彼が、労働者を定義して
「彼は彼自身に属する労働力という名の商品を販売する以外に生活手段の無い人」
このように教室で述べた。
非常に印象に残っている定義の仕方であり、40数年経った今でも覚えている。

川口先生のテキストを読み、谷口先生を思い出した次第である。



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-01-05 22:09 | 労働 | Trackback | Comments(0)