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by kazuo_okawa
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カテゴリ:ミステリ( 120 )

三度目の殺人!

「弁護士は依頼者を守るために徹底的に向き合います。」というキャッチフレーズと共に大阪弁護士会が応援している映画が「三度目の殺人」である。

福山雅治主演、そして共演者に役所広司、広瀬すず。
豪華な顔合わせである上、結末をあかさないリドルストーリーであることが公開前から話題を呼んでいた法廷サスペンスである。

大阪弁護士会館にもポスターが貼ってあったため、最終上映時間に観に行く。

以下、私は小説を読まず、映画だけを観た感想であるが、未だ映画を観ていない方には是非映画を観た上でお読み下さい。
映画はお薦めです。

【以下、ネタバレにご注意下さい】

是枝裕和監督の狙いは、我が国の司法制度が真相究明や真に裁かれる者を暴くという構造になっておらず「訴訟経済」や裁判長の阿吽の訴訟指揮に法曹三者が流されるという司法の現実の告発である。
この映画を観た者ならば「あれ、この事件の真相はどうなの?」と誰しも思うだろう。
実は是枝監督の狙いはそこにある。
<その通り、真相なんかは不明なんですよ。
実は、日本の司法も同じで、裁判に真相究明などありません。真に裁かれる者を裁いているのでもありませんよ。>
かくて「訴訟経済」のもと、司法による「殺人」(死刑)が行われるというわけだ。
これが映画のテーマである。

それでも事件の「真相」が気になる方がおられるかもしれない。
是枝監督はそこもうまく作っている。
本作は、主役の弁護人(福山)の視点で描いている。
ところが随所に「神の視点」が出てくる(広瀬の靴が焼けていることや、母との会話など)。
この「神の視点」に真相を置くというのが(叙述トリックは別であるがそうでない限り)ミステリの常道である。

無論、弁護人(福山)にはこの「神の視点」は見えない。

判決に、被告人(役所)は実に穏やかな表情をして、「私も人の役に立った」と述べるのであるが(それゆえ「神の視点」と合わせれば真相は分かるが)、弁護人には真相はわからない、という結末なのである。

なかなか見事である。
裁判官、検察官、弁護人の描き方もいずれもリアルである。

被告人が、供述を変遷するが、弁護人はその都度向き合う。

大阪弁護士会が薦める所以である。



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by kazuo_okawa | 2017-09-23 23:38 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

マスカレード・ナイト!

東野圭吾最新作「マスカレード・ナイト」を読む。
一気に読ませるところが、さすがに達人である。
軽装版で金曜日発売に、東野の強烈な意思を感ずる!

本作前に読んだミステリが(以前のブログにも書いた)「ルビンの坪」であるため、本作を読めば、「これがミステリでしょ!」と言いたくなる。

つまり、「真犯人は誰か」という基本のスタンダードの謎と共に、本作全体を通ずる「何故、ホテル・コルテシアに『犯人が現れる』という密告がなされたのか?」という大きな謎が不思議さをただよわす。
要するに『不可思議な謎』を解き明かすのが、ミステリの王道である。

しかも本作は、ホテルマンに次々と客の難題(ある意味で、これが解けるかという『謎』である)が降りかかる。
これが、いわば物語の中で読者を惹きつける細かいアイテムのように散りばめられているのであるが、これが実に面白いのである。
無論、客の無理難題もホテルマンは解決していく。
「ホテルマンに『無理です』は禁句」なのである。

その主役、有能なホテルウーマン山岸と敏腕刑事新田のコンビが、シリーズものとして読み手を安心させる。

そして真相に至り、見事に驚かされるのである。

【以下、ストレートなネタバレはしてませんが、未読者はご注意下さい】

「ホテルマンに『無理です』は禁句」とのアイテムが、その難題の仕掛けと共に解決に驚かされる。
正直なところ、客の難題ネタを始め、よく惜しみもなく色々な「驚き」を盛り込んだと思う。
東野の才能の凄さ、引き出しの多さに感心する。
そして本作の真犯人の「属性」には極めて興味深い。
これは東野の他の作品と共に、東野のミステリにおけるある種の傾向が想像される。
また、警察の取調についても、作品を読む限り、従来は警察に批判的姿勢はなかったが、ここ何作かは警察取調の問題を(脇役が発するという手法であるが)指摘している。
本作も同じである。
この当たりの東野作品の「変化」も興味深い。

まあ、それやこれやで多いに楽しませてもらえた上、色々と考えさせられる東野作品である。



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by kazuo_okawa | 2017-09-17 18:01 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

「7人の名探偵」!

新本格30周年記念アンソロジーと銘打たれて、講談社ノベルズから「7人の名探偵」が発刊された。
 作者は綾辻 行人氏の他, 歌野 晶午, 法月 綸太郎, 有栖川 有栖, 我孫子 武丸, 山口 雅也, 麻耶 雄嵩の各氏。
 まさに新本格記念にふさわしい顔ぶれである。
 盟主綾辻さんの作品から拝読したが、「京大ミステリ研」や「らんぶる」など懐かしいアイテムとともに、京大ミステリ研風の理屈っぽいやりとり、綾辻タッチのホラー風味を交えて展開…。
 そしてラストのエンディング。
 明かすわけにはいきませんが、虚実ない交ぜにする「ホームズミート」ものと同じような気持ちよい読後感を覚える。
 他は、麻耶雄嵩さんと我孫子武丸さんが面白い。
 前者は、京大ミステリ研ネタ(わかる人にはわかる)も織り交ぜ、新本格記念にふさわしいものである。
 後者は、ホームズとAIネタでこれまた面白い。
 新本格ファンにお勧めする。
 

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by kazuo_okawa | 2017-09-12 12:19 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

宿野かほる『ルビンの壺が割れた』を読んだ。
見事に騙されました。
新潮の宣伝戦略に…。

帰路、梅田紀伊国屋書店に寄ると大量に本書が積まれている。

「この小説、凄すぎてコピーが書けません。」というコピーである。
そして「ネタバレ厳禁!」とある。

こうなればどんなに凄いミステリかと思いますね。
ネット上でも話題騒然だったらしい。
何せ題名は『ルビンの壺が割れた』。
有名な錯視画像「ルビンの壺」が割れるというのですから、叙述トリックが二転三転するのかな、と普通に思いますよね。
(それゆえ「書き手」その他いろいろと疑いながら読んでいく…)

そして読了!
なんというんでしょうか。
本書は、広義のミステリではありますが、本格ミステリではありません。
しかしね、ネタバレ厳禁!とあれば本格派かと思うではないですか。

要するに本書は、私の好きな作家のひとりである有栖川有栖氏の言葉を借りると「秘密明かし作」にすぎないのです。
つまり、本来本格ミステリは「謎を解く」ものであるはずのところ、最近あまりにも「秘密が明かされていくだけ」の作品が多いことへの嘆きである。
改めて言うまでもないが、本格ミステリは「発端の興味深い謎」が合理的に解き明かされて、そして意外な真相に至るというのがその醍醐味である。
にもかかわらずただ単に、秘密が明かされていくだけのミステリが多すぎる!
これが、有栖川氏の嘆きであり、古くからの本格ファンとして全く同感である。

そして本書は、本格ミステリではなくその「秘密明かし作」なのである。
こういう作品は本質的に驚くことはないんですね。
しかも身構えて読んでいるためか、本書の落ちも、ある程度予想される。

いやあ、見事にコピーに騙されました。

コピーの中の「一時間で読める」というのだけは本当です。
すらすらとすぐに読めます。
本格ファンではなくて、「秘密明かし作」ファンにはお勧めでしょう。
それにしても、こういう読みやすい「秘密明かし作」が売れるんですね…。


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by kazuo_okawa | 2017-08-31 22:26 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

趣味はミステリ、将棋などである。
(ゴルフ、テニスなどは一切しないし、北新地に飲みに行くのも趣味でない)
1979年から日本シャーロックホームズクラブに入会し趣味の世界を楽しんでいる。
この趣味が高じて、この7月に「ホームズ!まだ謎はあるのか?」(一葉社)を発行したことはこのブログでも述べた。
アマゾンが一時期、値をつり上げたことも…。

実は日本シャーロックホームズクラブに所属しながら、専ら関西支部に参加しており、本部行事に参加したことはほとんどなかった。

本部行事には、例会、大会のほか、軽井沢セミナーというのがある。
この軽井沢セミナーは、今年で30回目という伝統あるセミナーで、会員が研究や活動の成果を発表するという場である。

軽井沢セミナーもこれまで参加したことがなかったのだが、前述拙著を発刊したことから今回は発表のお誘いいただき初参加ということになった。
かくて8月26日朝早く自宅を出て軽井沢へ…。
発表のテーマは、題して「拙著を語る」
もともと、拙著はホームズ論6稿を納めた著だが、そのエッセンスや裏話を語りました。
皆さん、熱心に聞いて頂いた上、大変喜んで頂き講師としても嬉しいものでした。

質問も熱心です。
いわゆるミステリ論のみならず、民法416条の解釈や「研究発表における面白さをどう意識しているか」という興味深い質問もありました。
そして拙著にサイン!
いやあ、有り難いですね。
楽しんだ一日でした。



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by kazuo_okawa | 2017-08-29 00:16 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

18日、書店の前を通ると、「9月15日発売!」として、大きく宣伝されていたのが、人気作家 東野圭吾最新刊『マスカレードナイト』である。
その発売日情報として「9月15日発売!」と出ていたわけだ。

「9月15日発売!」

このキャッチフレーズは、古くからのミステリファンには極めて懐かしい。

一時期、ミステリの女王アガサ・クリスティは「クリスティ・フォー・クリスマス」のキャッチフレーズと共に、毎年12月25日に新作を発表してきた。(無論、英語である)
そして、我が国では、翌年の9月15日に、早川書房よりその翻訳が出版されるというのが、毎年の楽しみであった。
つまり、「9月15日発売!」というのは往年のミステリファンには極めて懐かしいキャッチフレーズなのである。

東野の新作が、マスカレードシリーズというのは実に楽しみである。
それが「9月15日発売!」というのも、我々オールドファンには、何やらミステリに熱中した時期を思い起こさせ二重の意味でわくわくするのである。

…といっても、「クリスティ・フォー・クリスマス」を知る世代(まして9/15を知る世代)は少なくなっただろうなとつくづく思う。


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by kazuo_okawa | 2017-08-19 00:19 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

この7月、「ホームズ!まだ謎はあるのか?」(一葉社)というシャーロック・ホームズの評論集を発行しました。

もともとホームズ評論集というミステリファン向けの著ではありますが、読みやすく書いており決してマニアックには書いていません(つもりです)。
にもかかわらず、どうやら業者に買い占められたようです。
知人のシャーロキアンから、「書店にない、注文しても2~3週間かかるらしい」と聞いて驚きました。

まあ、確かに発行部数は少ないんですが…。
それでもまだ絶版ではない。

アマゾンを検索すると、何と、もはや定価(1500円+税)では売られておらず、「新品」を定価の2~3倍で売っています。
う~ん、何なんですかね、これ!
いやあ、驚愕です。
絶版でないのにひどすぎませんか!

要するマニアは拙著を2~3倍の値段でも買ってくれる、と評価していくれるのは、それはそれで作者としては嬉しいのですが、しかし、こちらは全ての人に定価で買ってほしい…。
ある意味で業者は「強欲資本主義」!

しかし皆さん、まだ絶版ではありませんので、どうぞ、どうぞ書店で注文して下さいね。




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by kazuo_okawa | 2017-07-12 23:43 | ミステリ | Trackback | Comments(2)

ミステリ作家と共謀罪!

6月17日、仕事はたまっているのであるが、隆祥館書店にて 『ミステリ国の人々』(日本経済新聞出版社発刊)著者でミステリ作家の有栖川有栖氏と編集者・戸川安宣氏のトークライブを開催するというので顔を出す。
さすがに満員である。

質問コーナーがあるのだが、そこで「共謀罪について」という予想外の質問が出た。
(私ではありませんよ。)

戸川氏「今、日本は右傾化にある。共謀罪はその流れであると思う」
有栖川氏「私は、右も左も嫌い。共謀罪の問題は、直接でないが本書に少し触れている。要するに、ミステリ書く人は怪しいんですよ。そうとられてしまう」

お二人は決して政治的発言をする人ではないだろう。
それでこの発言である、
ある意味で非常に希望がもてる。

私の後輩、綾辻行人氏や我孫子武丸氏も否定的発言をしている。
作家、表現者にとって共謀罪が危険な法案であることを実感しているに違いない。

普段、政治的発言をしない人がそのように思っている。
安倍首相の強行採決は、民主主義に反している。
さすがにこのような独裁政権は許しまじとの思いがこれから先も浸透していくだろう。

共謀罪が成立したからと言って終わりでない。
これからは共謀罪廃止の声をずっと上げ続けなければならない。

仕事の合間にミステリを楽しみにいったはずが、何やら、別の意味で心地よい。
【6月19日追記】
上記の有栖川、戸川両氏の発言であるが、両氏からオフレコ要請がなかったため本ブログにあげた次第です。
他の部分で、「この点はオフレコに」という場合もあり(そういう部分が本当は興味深いのですが)そのような点は開示していません。皆さん、どうぞご心配なく。




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by kazuo_okawa | 2017-06-18 17:05 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

月曜日午前10時半から一日中かけての、結構熱い日弁連の委員会があるため、前日から上京した。

丁度その前日6月11日はJSHCの月例会であったので参加する。
この日の報告は日暮雅通さんと北原尚彦さんによる「児童&YA向けホームズものについて語ろう」。
約50人参加と大盛況であるのは、さすが日暮・北原コンビだからであろう。
児童向けとヤングアダルト向けの正典訳の歴史的変遷やパロディ(ラノベ含む)の変遷の紹介が凄い。
要するに平たく言えば、ありとあらゆるホームズ本を集め、その紹介でもある。
まあ本当に素晴らしすぎる。

北原さんの著は私も買い込んでいるが…。
こういう圧倒的なホームズ本などの知識に裏付けられていることがわかるのである。

北原さんにサインを貰うが、私の著(「ホームズ!まだ謎はあるのか?」)の「臨時サイン会」も開いて頂いて嬉しい。

申し訳ないのが、<(私の本が)書店に無いので、申し込んだがまだ来ない>方が何人かおられたことである。
本当に申し訳ありません。
でも有り難いです。

とはいえ、この日、色々な方達とホームズ談義・ミステリ談義できたのが本当に楽しい。
お世話を頂いた方に感謝する。




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by kazuo_okawa | 2017-06-12 23:30 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

すでにブログに書きましたが
「ホームズ!まだ謎はあるのか? ~弁護士はシャーロッキアン」(一葉社・1500円+税)を出版しました。
シャーロック・ホームズの評論集です。

2017年は、シャーロック・ホームズ誕生130周年にして、新本格推理小説誕生30周年。
更には、約120年ぶりの民法大改正の年でもあります。
この3つの偶然がホームズとどう関係するのか?
綾辻行人氏特別寄稿付きです。

嬉しいことに早速、大学の後輩からメールが来ました。
購入して感想をツイッターに書いて頂いています。
6月1日には書店に並んでいたそうです。

推理作家の望月麻衣さんも早速ブログに挙げて頂きました。

いやあ、本業の著作や論文発表とは違う、不思議な嬉しさがありますね。
ミステリファンの皆さんにお読み頂ければ幸いです。

【追記】
知人からの連絡で、アマゾンだと1~2週間かかると聞きました。
ところが同じアマゾンで早くも値段が倍の3240円で出ています。
出版社に聞くと「特にマニアックな本に対して、それ専門の「業者」が新刊発行と同時に入手して、それを高値で売り抜けるというのがある。」という。
「いずれ Amazon が扱わなくなると見越して」というのもあるだろう、と。
平たく言えば、絶版になるだろうが、コアなマニアは高値でもかうだろうと見込まれたんですね。
実はそんなにマニアックに書いているつもりはありません。エッセイ風に軽く読めるようにしたつもりです。
是非後輩のツイッター(「こざわ/とひ」で検索できます)もお読み下さい。
まあ、いきなり「倍」の高値がついた、というのは、笑い話に使えそうですが…。


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by kazuo_okawa | 2017-06-04 11:06 | ミステリ | Trackback | Comments(0)