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by kazuo_okawa

カテゴリ:ミステリ( 123 )

「屍人荘の殺人」

本日発売の週刊文春によるミステリーベスト10。
その第一位は「屍人荘の殺人」(今村昌弘)であった。

同書は「該当者無し」が続いた今年のミステリ新人賞の中で、鮎川哲也賞の受賞作である。

実は本書は「積ん読」状態であった。

最近(というか実はかなり前からなのであるが)ミステリは購入後、数頁乃至数十頁読んでついていけなければ、そのまま積んでいる。
多忙で、読むべき書物が(本業も含め)どんどん増えることもその理由の一つである。

本書も、鮎哲賞ゆえ買ったものの、何せ冒頭に、館の図面あり、しかも出だしはいわゆる「ミステリ研」である(中身も、作風も…)。

というわけで、積んでおいたのだが、11月25日に、京大奇術研究会(KUMA)の仲間と飲んだときに、このミステリが面白いと何人かから聞いたのである(京大ミステリ研ではありませんよ)。
KUMAはKUMAで、京ミス研とは違う、トリックに対する独特の嗅覚がある。
かくて信用して読破した。

いやあ、確かに面白い。
KUMA風と言えるのかも知れない。

最初の殺人など、非常に不思議であり、トリックのみならず、謎を解き明かす手掛かりもきちんとしており、まさしく本格ミステリである。
(手掛かりによって謎を解き明かすのではなく、秘密が単に暴かれていくだけの作品についての批判は「ルビンの壺」のブログで書いたとおり)

基本を踏まえており好感の持てる作品である。
敢えて言えば「奇想」の部分に好みは分かれるかもしれない。
しかし、これって、綾辻行人が書いてもおかしくない作品ですね…。


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by kazuo_okawa | 2017-12-07 22:51 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

模写を見分ける方法!

報道ステーションを見ていると、巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた幻のキリスト画「サルバトール・ムンディ」(救世主)が11月15日、アメリカ・ニューヨークの競売で、4億5031万2500ドル(約508億円)で落札されたというニュースが流れていた。

額も額だが、本物なのか?と思ってしまう。

そう思ってみていると、模写を見分ける方法が説明されていた。

模写には「あるべきものが無い」という。

それは何か。
「描き損じ」だという。

現代の技術では、表面の「絵」のみならず、「絵」の下に隠された(絵を描く前の)デッサンや図柄などもX線で調べうる。
「本物」はときには、「描き損じ」その他の理由で、元の絵を変えて、その上に「別の絵」を書くことがあるという。

ところが模写には当然ながらそういう「描き損じ」はない!

ニュースを見ていて、思わず、「銀星号メソッド」ではないかと思ったものである。

「銀星号メソッド」とは、ご存じシャーロック・ホームズの推理法の一つである。
「ない」ことに注目するその手法は他の分野にも活かされるという評論を書かせて貰った(拙著「ホームズ!まだ謎はあるのか」(一葉社)参照)。

たまたま本日、大阪地裁の書店の店員さんに拙著の事を尋ねると「弁護士さんが買ってくれていますよ」とのこと。
同業者が買ってくれているのは本当に有り難い。

ダ・ヴィンチのニュースと共に何やら嬉しい一日でした。


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by kazuo_okawa | 2017-11-16 23:05 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

ミステリファンである。
特に乱歩賞はそれほどハズレがないことから、毎年楽しみしているのだが、今年は何十年かぶりに受賞者なしで寂しい思いをしていた。

すると、朝日新聞11月1日付け記事によれば、今年は何と乱歩賞のみ成らず、小説推理新人賞、横溝正史ミステリ大賞、新潮ミステリなども受賞者なしという。
いやはや知らなんだ!

「突出した個性少なく」という見出しが目につくがおそらくそうなんだろう。
営業政策から、無理矢理、受賞作を作るよりかははるかに良心的である。

記事によれば、応募者は受賞の為の傾向と対策を考えているらしい。
賞を取るための作品など、読者としては読みたくもない。

記事中、今野敏氏の指摘が面白い。
「みんなお行儀が良い。お約束のように最後にどんでん返しを二つ作るとか」

笑ってしまう。
本格ミステリの醍醐味の一つが「結末の意外性」であることは間違いない。
その「結末の意外性」とは。
一番安直なのは、どんでん返しを示してこれで「結末」と思わせて、更に、もう一つ「どんでん返し」という手法である。
アマチュア時代に誰しも思いつく手法である。
或いは、どんでん返しをいくつも続ける。
推理合戦という手法もある。
要するに、それやこれやで、熱心なアマチュアなら誰しも考える手法の代表作が「どんでん二つ」というものなのである。

今野氏の指摘は、まさにその安直手法を指摘しているのである。
仮にも天下の乱歩賞に応募するなら、ミステリとは何かをもっと研究して応募してほしい。

今野氏の指摘に全く同感である。


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by kazuo_okawa | 2017-11-09 23:18 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

三度目の殺人!

「弁護士は依頼者を守るために徹底的に向き合います。」というキャッチフレーズと共に大阪弁護士会が応援している映画が「三度目の殺人」である。

福山雅治主演、そして共演者に役所広司、広瀬すず。
豪華な顔合わせである上、結末をあかさないリドルストーリーであることが公開前から話題を呼んでいた法廷サスペンスである。

大阪弁護士会館にもポスターが貼ってあったため、最終上映時間に観に行く。

以下、私は小説を読まず、映画だけを観た感想であるが、未だ映画を観ていない方には是非映画を観た上でお読み下さい。
映画はお薦めです。

【以下、ネタバレにご注意下さい】

是枝裕和監督の狙いは、我が国の司法制度が真相究明や真に裁かれる者を暴くという構造になっておらず「訴訟経済」や裁判長の阿吽の訴訟指揮に法曹三者が流されるという司法の現実の告発である。
この映画を観た者ならば「あれ、この事件の真相はどうなの?」と誰しも思うだろう。
実は是枝監督の狙いはそこにある。
<その通り、真相なんかは不明なんですよ。
実は、日本の司法も同じで、裁判に真相究明などありません。真に裁かれる者を裁いているのでもありませんよ。>
かくて「訴訟経済」のもと、司法による「殺人」(死刑)が行われるというわけだ。
これが映画のテーマである。

それでも事件の「真相」が気になる方がおられるかもしれない。
是枝監督はそこもうまく作っている。
本作は、主役の弁護人(福山)の視点で描いている。
ところが随所に「神の視点」が出てくる(広瀬の靴が焼けていることや、母との会話など)。
この「神の視点」に真相を置くというのが(叙述トリックは別であるがそうでない限り)ミステリの常道である。

無論、弁護人(福山)にはこの「神の視点」は見えない。

判決に、被告人(役所)は実に穏やかな表情をして、「私も人の役に立った」と述べるのであるが(それゆえ「神の視点」と合わせれば真相は分かるが)、弁護人には真相はわからない、という結末なのである。

なかなか見事である。
裁判官、検察官、弁護人の描き方もいずれもリアルである。

被告人が、供述を変遷するが、弁護人はその都度向き合う。

大阪弁護士会が薦める所以である。



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by kazuo_okawa | 2017-09-23 23:38 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

マスカレード・ナイト!

東野圭吾最新作「マスカレード・ナイト」を読む。
一気に読ませるところが、さすがに達人である。
軽装版で金曜日発売に、東野の強烈な意思を感ずる!

本作前に読んだミステリが(以前のブログにも書いた)「ルビンの坪」であるため、本作を読めば、「これがミステリでしょ!」と言いたくなる。

つまり、「真犯人は誰か」という基本のスタンダードの謎と共に、本作全体を通ずる「何故、ホテル・コルテシアに『犯人が現れる』という密告がなされたのか?」という大きな謎が不思議さをただよわす。
要するに『不可思議な謎』を解き明かすのが、ミステリの王道である。

しかも本作は、ホテルマンに次々と客の難題(ある意味で、これが解けるかという『謎』である)が降りかかる。
これが、いわば物語の中で読者を惹きつける細かいアイテムのように散りばめられているのであるが、これが実に面白いのである。
無論、客の無理難題もホテルマンは解決していく。
「ホテルマンに『無理です』は禁句」なのである。

その主役、有能なホテルウーマン山岸と敏腕刑事新田のコンビが、シリーズものとして読み手を安心させる。

そして真相に至り、見事に驚かされるのである。

【以下、ストレートなネタバレはしてませんが、未読者はご注意下さい】

「ホテルマンに『無理です』は禁句」とのアイテムが、その難題の仕掛けと共に解決に驚かされる。
正直なところ、客の難題ネタを始め、よく惜しみもなく色々な「驚き」を盛り込んだと思う。
東野の才能の凄さ、引き出しの多さに感心する。
そして本作の真犯人の「属性」には極めて興味深い。
これは東野の他の作品と共に、東野のミステリにおけるある種の傾向が想像される。
また、警察の取調についても、作品を読む限り、従来は警察に批判的姿勢はなかったが、ここ何作かは警察取調の問題を(脇役が発するという手法であるが)指摘している。
本作も同じである。
この当たりの東野作品の「変化」も興味深い。

まあ、それやこれやで多いに楽しませてもらえた上、色々と考えさせられる東野作品である。



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by kazuo_okawa | 2017-09-17 18:01 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

「7人の名探偵」!

新本格30周年記念アンソロジーと銘打たれて、講談社ノベルズから「7人の名探偵」が発刊された。
 作者は綾辻 行人氏の他, 歌野 晶午, 法月 綸太郎, 有栖川 有栖, 我孫子 武丸, 山口 雅也, 麻耶 雄嵩の各氏。
 まさに新本格記念にふさわしい顔ぶれである。
 盟主綾辻さんの作品から拝読したが、「京大ミステリ研」や「らんぶる」など懐かしいアイテムとともに、京大ミステリ研風の理屈っぽいやりとり、綾辻タッチのホラー風味を交えて展開…。
 そしてラストのエンディング。
 明かすわけにはいきませんが、虚実ない交ぜにする「ホームズミート」ものと同じような気持ちよい読後感を覚える。
 他は、麻耶雄嵩さんと我孫子武丸さんが面白い。
 前者は、京大ミステリ研ネタ(わかる人にはわかる)も織り交ぜ、新本格記念にふさわしいものである。
 後者は、ホームズとAIネタでこれまた面白い。
 新本格ファンにお勧めする。
 

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by kazuo_okawa | 2017-09-12 12:19 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

宿野かほる『ルビンの壺が割れた』を読んだ。
見事に騙されました。
新潮の宣伝戦略に…。

帰路、梅田紀伊国屋書店に寄ると大量に本書が積まれている。

「この小説、凄すぎてコピーが書けません。」というコピーである。
そして「ネタバレ厳禁!」とある。

こうなればどんなに凄いミステリかと思いますね。
ネット上でも話題騒然だったらしい。
何せ題名は『ルビンの壺が割れた』。
有名な錯視画像「ルビンの壺」が割れるというのですから、叙述トリックが二転三転するのかな、と普通に思いますよね。
(それゆえ「書き手」その他いろいろと疑いながら読んでいく…)

そして読了!
なんというんでしょうか。
本書は、広義のミステリではありますが、本格ミステリではありません。
しかしね、ネタバレ厳禁!とあれば本格派かと思うではないですか。

要するに本書は、私の好きな作家のひとりである有栖川有栖氏の言葉を借りると「秘密明かし作」にすぎないのです。
つまり、本来本格ミステリは「謎を解く」ものであるはずのところ、最近あまりにも「秘密が明かされていくだけ」の作品が多いことへの嘆きである。
改めて言うまでもないが、本格ミステリは「発端の興味深い謎」が合理的に解き明かされて、そして意外な真相に至るというのがその醍醐味である。
にもかかわらずただ単に、秘密が明かされていくだけのミステリが多すぎる!
これが、有栖川氏の嘆きであり、古くからの本格ファンとして全く同感である。

そして本書は、本格ミステリではなくその「秘密明かし作」なのである。
こういう作品は本質的に驚くことはないんですね。
しかも身構えて読んでいるためか、本書の落ちも、ある程度予想される。

いやあ、見事にコピーに騙されました。

コピーの中の「一時間で読める」というのだけは本当です。
すらすらとすぐに読めます。
本格ファンではなくて、「秘密明かし作」ファンにはお勧めでしょう。
それにしても、こういう読みやすい「秘密明かし作」が売れるんですね…。


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by kazuo_okawa | 2017-08-31 22:26 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

趣味はミステリ、将棋などである。
(ゴルフ、テニスなどは一切しないし、北新地に飲みに行くのも趣味でない)
1979年から日本シャーロックホームズクラブに入会し趣味の世界を楽しんでいる。
この趣味が高じて、この7月に「ホームズ!まだ謎はあるのか?」(一葉社)を発行したことはこのブログでも述べた。
アマゾンが一時期、値をつり上げたことも…。

実は日本シャーロックホームズクラブに所属しながら、専ら関西支部に参加しており、本部行事に参加したことはほとんどなかった。

本部行事には、例会、大会のほか、軽井沢セミナーというのがある。
この軽井沢セミナーは、今年で30回目という伝統あるセミナーで、会員が研究や活動の成果を発表するという場である。

軽井沢セミナーもこれまで参加したことがなかったのだが、前述拙著を発刊したことから今回は発表のお誘いいただき初参加ということになった。
かくて8月26日朝早く自宅を出て軽井沢へ…。
発表のテーマは、題して「拙著を語る」
もともと、拙著はホームズ論6稿を納めた著だが、そのエッセンスや裏話を語りました。
皆さん、熱心に聞いて頂いた上、大変喜んで頂き講師としても嬉しいものでした。

質問も熱心です。
いわゆるミステリ論のみならず、民法416条の解釈や「研究発表における面白さをどう意識しているか」という興味深い質問もありました。
そして拙著にサイン!
いやあ、有り難いですね。
楽しんだ一日でした。



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by kazuo_okawa | 2017-08-29 00:16 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

18日、書店の前を通ると、「9月15日発売!」として、大きく宣伝されていたのが、人気作家 東野圭吾最新刊『マスカレードナイト』である。
その発売日情報として「9月15日発売!」と出ていたわけだ。

「9月15日発売!」

このキャッチフレーズは、古くからのミステリファンには極めて懐かしい。

一時期、ミステリの女王アガサ・クリスティは「クリスティ・フォー・クリスマス」のキャッチフレーズと共に、毎年12月25日に新作を発表してきた。(無論、英語である)
そして、我が国では、翌年の9月15日に、早川書房よりその翻訳が出版されるというのが、毎年の楽しみであった。
つまり、「9月15日発売!」というのは往年のミステリファンには極めて懐かしいキャッチフレーズなのである。

東野の新作が、マスカレードシリーズというのは実に楽しみである。
それが「9月15日発売!」というのも、我々オールドファンには、何やらミステリに熱中した時期を思い起こさせ二重の意味でわくわくするのである。

…といっても、「クリスティ・フォー・クリスマス」を知る世代(まして9/15を知る世代)は少なくなっただろうなとつくづく思う。


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by kazuo_okawa | 2017-08-19 00:19 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

この7月、「ホームズ!まだ謎はあるのか?」(一葉社)というシャーロック・ホームズの評論集を発行しました。

もともとホームズ評論集というミステリファン向けの著ではありますが、読みやすく書いており決してマニアックには書いていません(つもりです)。
にもかかわらず、どうやら業者に買い占められたようです。
知人のシャーロキアンから、「書店にない、注文しても2~3週間かかるらしい」と聞いて驚きました。

まあ、確かに発行部数は少ないんですが…。
それでもまだ絶版ではない。

アマゾンを検索すると、何と、もはや定価(1500円+税)では売られておらず、「新品」を定価の2~3倍で売っています。
う~ん、何なんですかね、これ!
いやあ、驚愕です。
絶版でないのにひどすぎませんか!

要するマニアは拙著を2~3倍の値段でも買ってくれる、と評価していくれるのは、それはそれで作者としては嬉しいのですが、しかし、こちらは全ての人に定価で買ってほしい…。
ある意味で業者は「強欲資本主義」!

しかし皆さん、まだ絶版ではありませんので、どうぞ、どうぞ書店で注文して下さいね。




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by kazuo_okawa | 2017-07-12 23:43 | ミステリ | Trackback | Comments(2)