私の趣味やニュースの感想など好きなことを発信するブログです


by kazuo_okawa

カテゴリ:パズル・統計・数学( 32 )

謎を楽しむ上品さ

5月10日の日経新聞の文化欄に高島直昭氏の「どう作る?不可能物体」という興味深い随筆が出ている。

不可能物体とは、コーラの瓶に刺さった木の矢のように、一見作るのが不可能に思えるが実は人為的に作られた物体をさす。
まあ、立体パズルのようなものであり、出来上がった作品は見ているだけで不思議である。

5円玉に突き刺さった木の矢などは有名で商品にもされている。
5円玉の穴よりも、矢の先の部分は大きく、また尻尾の羽の部分も大きく、胴にあたる部分が穴に入っているが、どうして入れたのか本当に不思議である。

高島氏はその分野のマニアである。
高島氏はこの不可能物体の魅力とともに、「答えを言わない」ことが不文律と述べる。
つまり、自分なりの「正解」を探るのがこのジャンルのルールであり、またそれが楽しみなのである。

そしてその高島氏にしてすら、正解らしきものにたどり着くのは約3分の1だというから、この世界の難しさ、奥深さを感ずる。
つまり約3分の2は、謎のままなのである。

高島氏が上品なのはこの「謎を謎のまま楽しむ」という姿勢が出ているからだ。

私は、これまでのブログにも書いたが、簡単にマジックの種明かしをする風潮には不快感を覚えている。
同じように、不可能物体を、自らの頭を使って深く考えようともせず、ネットなどで簡単に種明かしを求める風潮も嘆かわしく思っている。
謎を楽しむジャンルであるのに、簡単にネットで答えを求める。
その姿勢自体を恥ずかしいいと思わないのだろうか。
無論、答える方も答える方である。

高島氏のように謎を謎として楽しみ、そして考える。

これこそが上品の極みである。



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2017-05-11 22:47 | パズル・統計・数学 | Trackback | Comments(0)
京大奇術研出身の世界的パフォーマー池田洋介氏の新著である。

数学を分かりやすく説明する啓蒙本はそれこそ山ほどある。
しかしこの「読むだけで楽しい数学のはなし」はそれまでの類書と違う。
現に私自身がを読んで感銘を受けた。

冒頭に述べられているとおり、これまでもあるようなテーマでありながら、全て池田氏の新しい切り口を加えるというのが素晴らしい。

冒頭の主題は、まさしく読者を惹きつけるいわば「つかみ」の部分である。
ここをどういうエピソードにするかが著者のある意味で腕の見せ所であるが、これがなかなか面白い。
球体とドーナツ体の違いを示す数学のエピソードは数あるが、池田氏のこの事例には唸らされた。

他にも、パスポートとケーニヒスベルク、水差しパズルと時計盤などその意表を突く組み合わせに幾つも感心する。
加えて、文章がウィットに富んでいる。

なかでも私が関心したのは、モンティホール問題のシンプルな説明である。
実は、大阪弁護士会刑事弁護委員会のメンバー複数で論文集を発行することになり、昨秋、私が書き上げたのが「数学的刑事弁護~検察官の誤謬に打ち克つ」である。
要するに、<確率・統計を使った検察官の証明には、誤りもあるので注意しよう>という趣旨の論文だが、例として、モンティホール問題を取り上げた。
そこでもわかり安い説明を取り上げたつもりだが、池田氏の説明は秀逸であった。
さすがに専門家である。

というわけで私自身が十二分に楽しめて面白かった著である。

数学好きも、或いは数学好きでなくても、皆さんにお勧めする。



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2017-03-03 21:42 | パズル・統計・数学 | Trackback | Comments(0)
小学生の時に習う鶴亀算などが、パズル的で面白かった。
「全部、鶴と仮定すれば…」という解き方も面白い。
中学生になって方程式を習う。
鶴亀算は一発で解ける。
この方程式の意味を説明した岩波新書の数学本が秀逸であった。

「式が代わって考えてくれる」

つまり、「全部、鶴と仮定すれば…」という思考方法を、実は、方程式が代わって結局同じことをしているというわけである。
これが非常に感銘を受けた。
以後、「式が代わって考えてくれる」という言葉は気に入っていた。

その後、大学受験でとある予備校の名物教師が、とかく受験生なら覚えている「根の公式」の「丸覚え」をよく批判していた。
思考することが重要だというわけだ。

そこから私は修正して
「式が代わって考えてくれる~しかし頼ってはいけない!」と使うようになった。

京大奇術研究会の後輩、池田洋介氏の新著「読むだけで楽しい 数学のはなし」が出たことを知り、(紀伊国屋書店になかったため)アマゾンで注文する。
アマゾンからは、他のお薦め本も知らされる。
悔しいことに、私の好みに合っている。

そこで、表題の古い言い回しを思い出したのである。

アマゾンが代わって考えてくれる~しかし頼ってはいけない!



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2017-02-24 22:00 | パズル・統計・数学 | Trackback | Comments(0)

2017年のパズル!

事務所報の2017年新年号にパズルを載せた。
覆面算である。
「おおかわ+かずお=あけおめ」が問題で、新年にちなんで「あめ+あ=29」とする。
これが問題である。

幸い好評を博したが、簡単すぎる、との感想も頂戴した。

実は、2015年に、私が
「『2』『0』『1』『5」を使って『27』を作りなさい」という問題を作ったところ、このときは難しすぎる、というご批判を受けた。
そこで、今回は、簡単な問題を作ったのである。
…が、まあ、頃合いというのは本当に難しいですね。
(このブログにも挙げたが、パズル作家河田智名人は見事である)

新年に、大学時代からの盟友小林看空氏から新作を受け取ったがこれが面白い。
もっとも将棋の問題である。

配置図は、玉方29玉のみ。
問題のユニークなのは、<一手前にもどして、そこで、持ち駒飛車で一手詰めせよ>という斬新な問題である。

<一手前に戻す>というのが面白い。



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2017-01-08 14:27 | パズル・統計・数学 | Trackback | Comments(0)
先ほどテレビで林修氏の冠番組を見ていると、日本の教育の問題点として次のような例を挙げていた。
「3.9+5.1=9.0」と答えると、間違いにされる(「9」が正しいという)。
同様に、直方体の体積をを求める問題で、縦×横×高さの順に計算しないと、間違いにされる(どの順番でも同じ体積なのに)。

いずれも「間違い」にすること自体が間違いであるが、その説明のために、フィールズ賞受賞者森重文京大教授に林氏がインタビューしてそのコメントを求めていたのが秀逸であった。

(森教授の天才ぶりは言うまでもないが)どうも、林氏が森教授へのインタビューを自ら希望したらしい。
実際のところ、この問題自身はわざわざ森教授に聞くまでもないことなのであるが、チャンスがあれば森教授にインタビューしたいと思うのは、数学ファンなら誰しも思うところであろう。

実は、今の日本の教育は、数学の本質を伝えることを目指しているのではない。
教師の教えた通りに答える生徒を作ることを目的としている。
(極端に言えば、従順な生徒を作り出す)
だから、先の通りおかしなことが起こっているのである。

もっとも森教授はそんな下品な事は言わない。
上品に、教える教師が数学の本質が分かっているのか心配ですね、とやんわりと述べるのである。

それで私が思い出したのが、約50年前の京大の名物数学者小針晛宏教授の著作に出ていたエピソードである。

円の面積の求めるという問題で、とある生徒が、円に横線を次々と書き、更に縦線を次々と書いて(そうすると碁盤のように升目が一杯出来る)「この升の数を数える」と答えた。その生徒に対して教師は無惨に間違いと断言する。

それに対して、小針教授は指摘するのである。
確かに、その生徒の答えは、教師の望んだ答えではないが、発想としては素晴らしい(積分に通ずる考え方である)。
そういうことを教師は説明しているのか、という指摘である。

無論していない。
教師は、数学の本質を教えることを目的にしているのではなく、「教師の教えた通りに答える生徒を作ることを目的としている」からである。

残念なことに、このことは約50年たっても変わっていない。




.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-12-26 00:29 | パズル・統計・数学 | Trackback | Comments(0)
パズル好きの私としては、毎週水曜日のデイリースポーツ掲載の河田智師のエッセイは楽しみの一つである。
同時に掲載されているパズル自体は、解いたり、解かなかったりであるが、本日(11月9日)のナンクロは秀逸であった。
ナンクロというのは、いわばクロスワードパズルであるが、升目には数字が打たれ、同じ数字は同じ言葉が入るというルールの下、わずかに示された幾つかの文字(番号がついている)から順次推理していくというものでなかなか面白いパズルである。

本日の河田師のナンクロは、何と、ヒントが中央に一文字、ただ、「エ」とある。

パズルファンなら分かるでしょうが、こういうヒントの少ないパズルは解いてみたい!という衝動というか、何というか、解答意欲を極めてそそるのですね。
といっても私の朝のルーティンは食事しながら朝日新聞を読み、デイリースポーツは最後にざあっと斜め読み、従って河田名人のエッセイは読んでも、パズルをその日の朝に解くことはない。

しかし、解答意欲をそそるパズル。
自宅を出て、最寄り駅まで歩く7~8分の間、頭の中で考える。
唯一のヒントが「エ」であるから、「エ」「エ」と続く単語が無いかを考える。
すると直ちに「エイエン」永遠は思いつく。
「エンエン」はあるかな、「エ○○ン」で駅伝とか、駅弁もありそうだとか何とか頭の中で色々と考えている内に7~8分たってしまった。

本日午後出張。
帰宅してから解くことも出来るのだが非常に興味深いため(二重になるのだが)駅の売店でデイリースポーツを買って早速車中で解く。
何と中央にいきなり「エAエB」と「エBエA」があり、エイエンとエンエイであることが分かる。
(ここで、そうかエンエイ遠泳があったかと、少し、河田名人に脱帽するのである)
そして、「CイインDン」とあれば会員権。
更に、「ケEイン」で消印、E=シと分かり、「シンシンFエイ」新進気鋭から,F=キ。
さらに「エイGイキFイク」から英才教育、と次々埋まり、問題の答え(番号をつなげて出来る単語)が、最初の中央の文字,絵、と対応していることに気付くのである。

一見難問に見え、解答意欲をそそりながら、それでいて難問でなく、むしろスムーズに次々と解けるという大変良い問題であるが、無論これは、河田名人の手の平に乗っているだけである。

多くの読者はおそらく意識していないだろうが、これはなかなか創れない大変素晴らしい作品である。
河田名人に改めて脱帽する。



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-11-09 19:16 | パズル・統計・数学 | Trackback | Comments(0)
サンマーク出版の表題の著が売れているという。

著者は科学者にして、「霊能者」。
大学でも教鞭をとっているという。
心理学・統計学の視点と、自身の「霊能力」の視点をあわせた今までにない解説が好評をえている、という。

まあ、これだけでも相当に怪しいが、阪急電車でみた同書の広告のうたい文句の一つが私には引っ掛かった。
「神社に参拝すれば幸福になる」!

著者によれば「神社参拝回数」「年収」「幸福度」を調べてみたという。
そうすると、神社参拝回数の多いものは、年収、幸福度も高く、したがって、神社に参拝すれば年収も増え幸福になるというのである。

あきれてものが言えません。

こういう調査自体が正しいかどうかは検証のしようがない。
その問題点はさておいて、仮に「神社参拝回数の多いものは、年収、幸福度も高く」という調査が正しいとしよう。
しかし、それは単に「相関関係」を示すものでしかない。

前者(神社参拝回数の多いもの)によって、後者(年収、幸福度も高く)が導かれるという「因果関係」は何ら立証されていないのである。

つまり、因果関係は逆かもしれない。
年収、幸福度も高いものが、神社参拝回数が多いのかもしれないのである。
或いは、もっと別に原因があるかもしれない。

このように「相関関係」と「因果関係」を誤る、というのは統計学上の初歩的なミスである。

こういう初歩的な(繰り返すが初歩的な誤りである)統計学的誤りを堂々と電車広告にのせながら、「理科系」というのであるから驚く。

まあ、問題は、何ら疑いなく、無批判に信ずる市民が問題なのだろう。

【追記】
こういうことを書くと、私は、神社参拝そのものを全否定しているように取る人もいる。
神社のある種の「ブラシーボ効果」は、私は否定していないので、念のため。



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-09-29 22:27 | パズル・統計・数学 | Trackback | Comments(0)
阪急梅田駅を経由して通勤している。
するとひときわ大きな看板が目を引く。
TBS系で「99.9刑事専門弁護士」というテレビドラマが始まるらしくその宣伝である。
そして「無実を証明出来る確率、0.1%!」はこのテレビドラマの宣伝文句である。

我が国における刑事裁判の有罪率は、長く99・9%であった。
(正確に言えば、裁判員裁判制度の導入により、わずかながら、有罪率は下がっているが、本稿の趣旨とは離れるので大雑把に議論する)

従って、無罪率は0・1%である。

しかし「無実を証明出来る確率」は、0・1%ではない。
何故なら、刑事裁判においてほとんどが有罪を認めて、無実を争わない。
それは94%ある(これもラフな数字です)

無実を争って、無実を証明しようとしているのは6%にすぎない。
とすると、その6%のうち、無実の証明が成功するのは、0・1%なのだから、
無実を証明出来る確率は、0・1÷6=約1・67%である。

まあそれでも大変な確率であることは違いないですが…。
ちなみに、この約1・67%は昔の司法試験の合格率とほぼ同じです。
単なる偶然ですけどね…。



.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-04-11 22:01 | パズル・統計・数学 | Trackback | Comments(0)
本日、タクシーに乗っているとニュースが流れていた。
それは阪神タイガースの優勝を願い、尼崎中央三丁目商店街で、恒例の「日本一早いマジック点灯式」が開かれたという。
そのマジックナンバーとは、143の試合数通り「143」だという。

あれっ!と思う。

プロ野球のマジックナンバーとは、、「他のチームの試合結果に関わらず、自チームがあと何勝すれば優勝が決定するのかという『勝ち数』」を意味し、さらに他の全チームに自力優勝の可能性がなくなった状況でのみこの値を用いることから、この条件を満たしたときにマジックナンバーが「点灯」したと呼んでいる。

この後者の自力優勝の点を、マジックナンバーの要件からはずして、単に、「自チームがあと何勝すれば優勝が決定する」という点だけとしても、「143」は正確ではない。

そもそもプロ野球の公式戦143試合は、交流戦18試合と同一リーグ内の対戦1カード25試合(対5チーム125試合)の総合計である。
仮に、ライバル読売も、阪神以外に全勝するとしても直接対決は25試合あるのだから、これを13勝12敗でいい。
つまり143勝しなくとも優勝出来る(無論143勝しても優勝だが、マジックナンバーの定義「あと何勝すれば」とはずれる)。
ということは143から12引いて、131がマジックナンバーとなる。

まあ、商店街のお祭りだから構わないのかも知れないが、気になった次第である。




.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-03-17 21:34 | パズル・統計・数学 | Trackback | Comments(0)
多湖氏が亡くなられたという。
パズルファンにとって多湖氏の名は欠かせないだろう。
1966年12月にカッパブックスから「頭の体操」を発行するとまたたく間にベストセラーになった。

その著そのものは、当時中学生であった私が読んでも、パズル自体は、マニアにとってはそう珍しいものではなかった。
現に、多湖氏は巻末にサムロイドのパズル著など6冊の参考文献をあげているのであるが、私は当時この6冊はすでに読んでいたからである。

無論、これらのパズル著は一般には読まれていなかったから、名作などを集めたこの「頭の体操」は受けたのであろうが、無論、ベストセラーになるにはそれだけが理由ではない。

多湖氏は、「常識を捨てよ」「過去の経験を捨てよ」などある種の発想法を創造的思考法と名付け、パズルにその意義を打ち立てたのである。
ここが凄い。
単なる遊びのように取られがちなパズルに積極的な意味づけをしたところに多湖氏の凄さがある。

当時、このシリーズが待ち遠しかった記憶があったのだが、今、本棚の奥から引っ張りだしてみると、何と1967年11月までに4冊出ている。
そして第5集の発行が、1977年年8月と大きく間が開いている。

人の記憶とは不確かなものであると思いつつ、思わず「頭の体操」に読みいってしまった。




.
[PR]
by kazuo_okawa | 2016-03-16 23:45 | パズル・統計・数学 | Trackback | Comments(0)