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by kazuo_okawa
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大川慎太郎「不屈の棋士」に考える!

土曜日、遠方の出張の行き帰りに表題作を読む。

大川氏は名うての将棋ライターであり、本書は、プロ棋士を陵駕しようとしている将棋コンピューターソフトについて、羽生善治三冠や渡辺明竜王など、プロ棋士11人にロングインタビューを敢行したものであり、大変興味深い。

行き帰りに一気に読み終えた。
プロ棋士とコンピュータソフトとの関係、実力差などここ数年のテーマでもある。
内容は観戦将棋ファンとして非常に興味深い。

私自身は、現在、将棋コンピューターソフトがトップ・プロ棋士の実力を上回っていることは間違いないだろうと思っている。
とはいえこれは「異種格闘技戦」であるから、ルール如何で棋士も勝つだろう。
しかし、完全に負ける日が来るのも時間の問題である。
ではそうなっても、人間同士の闘いは魅力がある。
人が懸命に知力を振り絞る姿はそれ自体感銘を受ける。
それが素晴らしい手を生み出したときは感動を呼び、また逆に人間は「ポカ」をするからそこにはドラマがある。
私はそのように思っている。

幾らイチローでも時速180キロでるピッチングマシンの球は打てないだろう。
だからといって「それがどうした」、というだけの話である。
無論、棋士同士の観戦に魅力があるのは(人間として)最高のパフォーマンスを魅せてくれるという前提があるからである。
そこが崩れていたのでは、将棋コンピューターソフトがどうのこうのという以前の問題である。

印象に残ったのは、棋士がいずれも真剣に自らの存在意義、職業としての意義を考えていることである。
当たり前といえば当たり前かも知れないが、トッププロは単に自分のことだけでなくて、業界全体のことを考えているということだろう。

一将棋ファンとして、大変、印象に残った本であるが、一般化して、技術の進歩,AIの発展により「消えていく職業」というテーマは、棋士に限らない。
そしてAIとの共存はどうあるべきなのか。

我が法曹界に照らしても、色々と考えさせられる。
パソコンの発展により、「タイプライター」という職業はなくなった。
この先、事務の仕事はどんどん少なくなっていくだろう。

「不屈の棋士」に、将棋コンピューターソフトを使っても自分で考えなければ読む力は落ちる、と多くの棋士は述べているがその通りだろう。

私たちの世界でも「判例検索」が容易になったことで、事案の結論は予測しやすくなったが、そのことは、「判例を変える」というダイナミックな力が落ちてきているのではないかと思わせる。

これは一例だがその他、何やら、将棋界に限らず色々なことを考えさせられる、ある意味で大変怖ろしい本である。





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by kazuo_okawa | 2016-07-24 21:09 | 将棋 | Trackback | Comments(0)